Avenging - 29/08/2047 - / 復讐とは - 2047/08/29 - 1/2
はい、本編前に一つ謝罪を…………前回の内容がおじゃんになりました。
純粋に海斗を女子にしてみよ~ってノリで書いたらその後の展開が書けなくなったのでボツとなりました。そのため、消す前に見ていただいた方には申し訳ないのですがこちらが正式な本編です。
念のために消す前に書いていた特殊設定を記載しております。
赤井ゆの…………性別転換の影響は受けないが白髪・長髪の碧眼に変わる。
高階海斗…………低身長薄い水色の美少女に。何故かこちらの方が出力が強くなるが精神が不安定に
柚木なぎさ………高身長白髪イケメンに。ズボラな芸術肌なのは変わりない。
中村信也…………残念美少女に。髪が長いゆのに似ているとのこと。
蒼木和子…………一切影響を受けない。海斗の美少女化した姿は割と好み。
追記:あまりここで政治の話をするのは気が引けますが初の女性内閣総理大臣が決まりましたね。リアルでは2025年に決まりましたがこの物語では2047年時点で初です。下らないこだわりかもしれませんがこの物語では結城希が初ですのであしからず。
失ったものは二度と元に戻すことはできない。物も人もそれはどんなに同じようにしていても全くの別物になってしまう。なぁ、気づいているんだろ? お前の目指しているものは結果であって彼女ではない。そして、彼女も自分のことを見ていないことを気づいている。それが問題になることはそう遠くないはずだ。
- 29/08/2047 -
いつも昼休みの屋上は誰も居ないために精神を落ち着ける最高の瞑想場所だが、最近はグラウンドから聞こえる体育祭に向けた準備のために体力づくりと応援練習をしている人たちの声が聞こえてくる青春を感じるような場所になっていた。
「待っていたわよ」
私は呼び出した彼が来たことを察知して振り返る。
「毎回待ち合わせ時刻よりも早く着いたと思っても先に居るのはなんでだ?」
「待たせるのは悪いでしょ?」
「お前、ホントにそういうとこだぞ……」
海斗は何故か顔を伏せて手を当てていた。何か変なことでも言っただろうか?
「悪い、えっと要件は何だったっけ?」
「コレについてよ」
私はクラスメイトの筆入れやリュックサックに付いているその不気味なストラップを手にとって訝しむ。
「相変わらず流行っているようね。この不気味なストラップ」
「アヴェンジストラップだったよな? こんなの他の世界線では流行らなかったよな?」
「仕方がないわよ。私たちが行動する度、どんなに流れを合わせようとしても必ず何かが変化するのだから」
バタフライエフェクトという言葉があるように私が過去に戻っただけでも必ず何かが変わるのだ。
「それよりも私はこのストラップの名前が気になるわね」
「アヴェンジ………悪いが何語だ?」
海斗は頭が回るものの、英語はからっきしだ。私はイギリスに住んでいたから英語は普通に分かるが海斗の英語能力は平均レベルなのだろうか?
「ちゃんと英語よ。アメリカのマンガで有名なタイトルにもなっているじゃあないの。意味は復讐。リベンジもそういう意味があるけどこっちは正当なる報復っていう意味が強いわね」
「正当なる報復か。そのストラップからは今のところ何も感じないが能力によるものだとしたらやむを得ない状況とか?」
海斗からしたらあまり報復や復讐についての知識や経験は無いのだろう。彼の夢である正義の味方なんて綺麗ごとを言うような彼にはあまりにも耐え難いものであるから意図的に避けていた話題なのかもしれない。
「そこまでは分からないわよ。具体的な例があるわけではないからね。でも、世界を敵に回しても守りたい相手を奪われたのならば私は迷いなく報復に出るわね」
「…………分からないな」
海斗は缶コーヒーの栓を開けて口をつける。私には無理でも彼には明るい道を歩んでほしい。だけど、彼の夢は私のような考えがあることを知らなければならない。全てを受け入れる必要はないが理解はしなければならない。
「俺はそれでも、全ての人と仲良く手を取り合える選択肢を望むよ」
「えぇ」
私の憧れのどこまでも眩しいその生き方をするその彼の背中はどこまでも大きくそして、頼もしく感じられた。
下校途中にある公園は普段、子供たちの賑わう声で溢れているがいつもは居ない人物がそこにいるののが目に入った。
「おや、新たなお友達かな?」
褐色の肌をした所謂、石油王がしそうな格好をしたその男はビニール袋に入っていた沢山の飴から一つ取り出して私に手渡してきた。
「おじちゃん誰?」
我ながら慣れない行為だが、何かいつもと違う状況に対する情報を手に入れるチャンスだと考えた私は子供だと思われていることを逆手にとって見た目相応の演技をすることにした。大変屈辱的行為なのは言うまでもない。
「おじちゃん……か。うん。おじちゃんはねホームレスだよ」
爽やかにさらっととんでもないことを言った彼に悟られぬように分からないふりをする。
「ほ~むれす? なにそれどんな職業なの?」
「家がないってことさ。だから泊めてくれる人を探しているんだ」
「大変だね」
雰囲気は好青年であるものの、絶対に泊めたくないし、正直もう彼と関わってもろくな目に合わない気がする。分かった、誰かに似ているかと思ったら信也に似ているタイプだ。百害あって一利だけなタイプだ。
「君の家には……」
「ダメだよ?」
「家の人に聞いて……」
「ダメだよ?」
「探すの手伝って……」
「ごめんね?」
「そっか~」
悪いが帰らせてもらう。そう思って私の鞄に手を伸ばした時に私の手首を掴まれる。
「おじちゃん…………防犯ブザー鳴らすよ?」
「帰る前に……はい。コレあげるよ」
彼から手渡されたのは例のストラップだった。
「いらない」
「そう言わずに……ね?」
「じゃあ、貰うだけ貰っておく」
何度見ても不気味なそれは恐らく彼が流通元だろう。彼の衣装や顔つき、言葉なまりから考えると西アジアのものだろうか?
「じゃあね。捕まらないといいね」
「道半ばでは捕まらないよ」
意味深なセリフを彼が発したが私はそれよりも一刻も早く彼から離れたい気持ちでいっぱいだった。
「…………甘い」
貰った飴は危惧するようなものではなく普通の飴と何ら変わりない普通のものであった。
- 30/08/2047 -
「流通元らしき人物と会った!?」
「シー!!」
想像よりも大きな声で反応が来た。クラスメイトたちが熱心になっているストラップのことを
あまりよく思っていない私たちのことを知れば彼らはあまりいい気にはならないだろうし、むしろ排斥する可能性がある。であればこういうのは静かにことを進めるのが吉だ。
「それで? どんなヤツだったんだ?」
彼は少し興味ありげに聞いてきた。
「そうね。雰囲気は好青年の中東の男性で見た目は石油王だけどその実、ホームレスで信也のキャラを薄くした感じかしら?」
「わかったようなわからないような……」
「まぁ、会えばわかるわよ」
きっと、彼が会ったとしても同じ印象を抱くだろう。少なくとも私と彼の信也に対する認識がぶれていなければだが。
「ソイツは何処に居たんだ?」
「昨日は私の家の近くにある公園に居たわよ」
「なら一度確認してみるか」
「そうね」
私は外套のボタンを再び付け直した。
今日の夕方に海斗とともに例の公園に来たところ、やはりあの石油王もどきが居た。だが、昨日の演技で騙したことがある以上は隠し通す方が良いだろう。私は物陰に隠れて様子をうかがうことにした。それについて海斗は少し疑問に思ったようだが深くは追及してこなかった。
「おや、私に何か用かな?」
「あぁ、石油王の格好をした人がホームレスになっているって噂を聞きつけて何か助けになれないかと思ってな?」
俺はそんなことを言って彼に近づく。見た感じは何の異常が見れない。だが、何も異常がないということは能力者である可能性が高いとも言える。
「左肩が少し下がっているな。それは癖と言うよりも何か重い物を入れているように感じな。ざっと1㎏。拳銃かな?」
「残念、筆入れだ」
俺は胸内ポケットから筆入れを取り出して彼に投げる。色々入って1㎏に近いがかなり目の前の人物は異常だ。確かに拳銃がそこにあるのだから動揺しそうになったが聞いていたのかゆのが拳銃と筆入れの位置を入れ替えてくれたのだろう。
「おっと、これは悪かったね。早とちりしてしまったようだ」
「先入観を持っていたのはお互い様だ。アヴェンジストラップなんてものを配っているんだ。どんなヤツかと思ったらアンタみたいなヤツだとはな」
「ははっ、意外だったかい?」
「いいや、むしろ合点がいったよ。アンタ…………目的に対してどんな代償さえ支払うまさに復讐者そのものだ」
昨日、彼女から言われて親父の書斎で閲覧可能な事件のファイルを片っ端から漁って復讐者についてどんな人物なのか調べてみたが突発的なタイプと計画的なタイプが見られた。目の前の人物は計画的に物事を進め、全てを投げ打ってでも目的を果たすように感じる。
「そうかい。じゃあ、復讐する相手は誰だと思う?」
「そうだな……アンタのような中東の人間がわざわざ日本に来たということは日本でしか復讐することが不可能な相手だ。情報が少ないからありきたりな答えで言えば日本に本拠地を持つと言われる国際的な犯罪集団『ブラックジャック』か?」
その組織名を言った瞬間に彼の眼付が変わったように感じたがすぐに元に戻った。
「さぁ? どうかな? そもそもとして私は復讐者なのかどうかも分からないだろう?」
「それもそうだな」
やっていないものを証明することは難しく、所謂「悪魔の証明」とも呼ばれる程だ。彼が復讐者である決定的な証拠は何もない。
「一つ聞かせてくれ。このアクセサリー、アヴェンジストラップだが何故配った?」
「…………。いや、単なる趣味だよ。それにみんなが好き好んでいるようで何よりだ」
彼は少し俯いたがすぐに明るく返答をした。きっと、彼は嘘を吐いている。もしかしたら最初から全てが噓でできていたのかもしれないと思ってしまう。………なるほど。ゆのが抱いた感想はこれが原因か。
「そうか。なら好きにやってくれ。ただし一つ忠告だ」
「何かな?」
「全てを救えるなどと甘い考えは俺には無いが俺の周りに居る人達を傷つけることがあれば決してお前を許さない」
「肝に銘じておくよ」
俺はその公園から出たときに遠くで彼女が手招きをしているのに気が付いた。念のために少し迂回して彼女のもとに向かった。
「なんかかっこいいじゃない」
「俺はいつだってかっこよくありたいと思っているがな」
「貴方の生き方は無理にそうしなくてもかっこいい生き方よ」
「そう言ってくれると嬉しいな」
俺は少し照れくさくなって頬を掻いて彼女から視線を逸らす。
「なぁ、ゆの。昨日お前は『世界を敵に回しても守りたい相手を奪われたのなら報復に出る』って言っていたがお前の親友の柚木なぎさを何度も失っている。お前は復讐をしようと思ったときはあったか?」
「…………痛いとこ聞いてくるわね。確かに世界を敵に回して守りたい相手ね。彼女は現にブラックジャックという世界的な組織・公式機関を敵に回して救っている相手ね。でも、何かが私を狂暴化させるのを抑えているのよね。理性とかそんな簡単なものではないの。…………ごめんなさい。自分でもよく分からないわ」
「そうか……」
彼女はとても寂しそうな表情をしていた。純粋な興味ではあったが彼女を悲しませるつもりはなかった。彼女が復讐者となりうる条件があるのならば、そうならないように俺が守る。それがエゴだったとしても。
「赤井ゆのが復讐者になる条件………?」
私の側近はいつものようにニタニタと作り笑いをしながらそんな質問をしてくる。
「えぇ、純粋な興味です。貴女は彼女のことをこの世で一番理解しながら共感できない人でしょう?」
「だったらなんで聞くのよ?」
私は事務仕事を一切手伝おうとしない側近に少し苛立ちながら珈琲を淹れるように指示をする。
「やはり何度も飲んでも慣れないわね。飲み物は紅茶じゃあないと……」
「じゃあなんで珈琲なんて指示したんですか?」
「一緒じゃあ嫌だからよ。彼女が私を毛嫌いするように私も彼女が嫌いなの」
「さいですか」
側近は面倒くさくなると決まって「そうですか」ではなく「さいですか」と返答する。だが、この人物は私が身近で管理しないと何をしでかすかわからない人物だ。離れられると困るため、そろそろ回答した方が良さそうだ。
「彼女が復習者になる条件は簡単よ。一つ目、能力を完全に理解している状態で万全な状態でないこと」
「例の逆転ってヤツですか」
「それが理解していたら最悪だけどね。二つ目、自分の行動が一手遅れたせいで大切な人の命を失う。この二つが重なってやっと彼女の復讐の動機が完成ね」
「……というと、他にも条件が?」
「止めてくれる人が傍にいないとか、諸々の条件はあるもののさっきの二つが必須ね」
自分でも何を言っている良く分からないが彼女はそういう人間だ。そして一度そのタガが外れたら目的を達成するまで決して止まらない。
「私や貴方みたいな復讐者ではないのが気になるのかしら?」
「そりゃあ、素質が十分あるのにそこに至ってないのが不思議でしたが合点がいきました。この調子だとその機会を逃したら彼女は二度と復讐者にならないでしょうね」
「……どういう意味?」
「………………さぁ?」
全く、相も変わらず気に食わない態度だ。
私が復讐者にならないのかと聞かれたときに彼はどうなのだろうかと考えた。彼の生き方は復讐から程遠い生き方だが彼がもし、復讐に身を投じるのならばそれはきっと……。
「どうした?」
「なんでもないわ。ただ、貴方が居てくれて良かったって思っただけ」
「………へっ!?」
我ながら慣れないことをしている自覚がある。だからこそ、貴方は私から離れて死なないでよね?
「ほら、帰るわよ? もう日が暮れてきたじゃないの。貴方は夜目が効かないんだから」
「そうだな。じゃあ、また明日」
「えぇ。また明日ね」
嫌な予感がした。このまま彼と別れると二度と彼と会えないような…………そんな嫌な予感が。
嫌な予感がした。彼女とここで別れると嫌な事が起きる。巻き戻せるのはあと2回。それ以上はマズイ。であれば………
『ねぇ(なぁ)、…………え!?』
成程、同じ結論か。ならば、行動は決まってくる。
「いや、何でもない。じゃあ、またな」
「えぇ」
別れて少し経った後に彼女に連絡を入れる。周囲は開けた場所。人目に付きやすいし何かあってもすぐに分かる。
「今夜、お前の家に行っていいか?」
「貴方の家に私が行くわ」
「そうか。気をつけろよ?」
「お互い様よ」
俺は通話を切って目の前の人物に向き直る。
「まさか白昼堂々、俺の方に攻めてくるとはな?」
「そりゃあ、アンタの能力が『記憶保持』なんてチャチなモンじゃあねぇことが分かったら始末せざるを得ないよな?」
ごまかせるのはもう限界か。俺は意を決して内ポケットの拳銃に手を伸ばす。
「それはコッチの獲物だ」
「なっ!?」
予想外の場所からその声が聞こえた。そう。俺の立っている下から。
「アンタは!?」
「アナフィラキシーショックってのは知っているよな?」
石油王もどきが指を鳴らしたと思ったら近くの木から大量にハチが飛んできた。その種類は詳しくは知らないがスズメバチと呼ばれる種類だろう。
「毒性・攻撃性を能力で高めた。このハチの大群を前にして死なずに生きていられるか?」
余裕そうなその口ぶりだが何かまだありそうなきがしてならない。それにこれだけでも完全犯罪の成立だ。蜂に刺されて死んだとかそんな芸当は能力でないと不可能だ。しかし、能力者は絶滅しているという認知により犯人は捕まらない。
「成程、ハチを操る能力か。昆虫か? 虫全般か? 詳しいことは分からないが相手が能力者である場合を見誤ったな?」
「…………」
俺は周囲に能力を展開して標的にならないように調整しているが相手も何か対策があるようだ。
「あ、逃げた」
成程、確かに有効な手立てだ。ただ、逃げる速度が問題だ。走って逃げたために標的が完全に相手に移っていた。
「逃げられると思ったのか?」
「うおっ!?」
足元の排水口から化け物じみた跳躍力で地上に出てきた石油王はその手に持っていた杖の先を逃げる相手に向ける。
「穿て」
そう言うと急に彼の足元に穴が開いた。弾丸などではない。となれば彼の能力の虫に関連しているだろうが虫の姿が一切見えない。
「…………死にたくない……」
「命を狙ったんだ。奪われるのも覚悟の内だろ? それにそこの少年が例えかばったとしてもお前を殺す」
読まれている。あの石油王もどきはこの場においてどんな状況も予想の範囲内なのだろう。
「だとしても、みすみす人の命を奪う行為は見逃せない!」
「ほう?」
石油王はこちらに振り向くと同時に杖から弾丸が放たれ、刺客は脳天を撃ち抜かれた。
「残念だったな。甘い人間は意思の強いヤツの喰い物にされるだけだ。だから守りたいヤツを守れない。まぁ、本当に助けたい相手ではないだろう?」
…………何も言い返せなかった。俺は戦場に立つ者にしては考えが甘いのかもしれない。それに、いま殺された相手がゆのでなくてよかったと思ってしまった自分がいる。
「もう一度、思い返せ。呼び覚ませ。戦場に立つと決意したその意気込みを。お前は何のために戦場に向かう? 俺のようなヤツに喰い物にされるためか?」
「違う」
「よく考えるんだな。先程の言葉をそのまま返そう。お前が俺の邪魔になるなら許さないし、容赦なく殺す」
「…………ッ!」
生まれて初めてこれ程までに洗練された殺意を向けられた。よく、殺意の描写でナイフを首元に当てられたような感覚と表現されるがそんなチャチなものではない。首元どころか心臓、脳、あらゆる急所に寒気を感じる冷たい視線だった。今まで、ゆのに戦闘を任せることが多かったためにこんな体験はしたことはなかった。逃げ出したい。そんな気さえ起きても仕方が無い状況でも尚、彼女は戦場に立ち続ける。彼女はどんな気持ちで立っているのだろうか?
「酷い顔ね。何かあったのかしら?」
日が沈んで少し経ったころに彼女がやってきたが開口一番にそんなことを言われた。
「やはり、わかっちゃうのか」
「わかるわよ。それに、それなりに貴方との付き合いが長いから意識せずともわかるわ」
確かに彼女との付き合いは他者から見ても半年になる。この半年は寝食は共にしないものの、かなり一緒に居たと思う。
「そうだな…………」
「悩んでいるようね。私でよければ聞くわよ?」
「………そうだな。よろしく頼む」
「了解。お邪魔するわね」
海斗の話を聞いたところ私の解釈が間違っていなければ彼は自分の在り方に悩んでいるようだ。
「その答えは見つかりそうかしら?」
「いいや、まださっぱりわからない」
「そうね……自分が何のためにここに居るのか? 何のために戦うのか? その答えは自分で見つけないと意味がないと思うわ。ただ、参考として私は柚木なぎさとの約束を守る、そしてついでにこの世界の秩序を守る。それが私の意義よ」
……正直に言うと、拍子抜けだった。あれ程、死を前にしても折れない彼女は余程重いものを背負っているのかと思った。自分のために戦うものかと思えば誰かのために戦っていたのだ。
「その意思が折れそうな時はあるのか?」
「…………無いといえば嘘になるわ。私だって人間だもの。挫けそうになるわ。でも、私にはやらなければならないの。意志とかそういうものではないから」
「…………なんか………悪い。あまりきいてはいけない話題のようだな」
「問題ないわ。私の罪は私が向き合うべきことなのだから」
やはり彼女は強い。戦闘能力だけでなく精神面においても彼女は俺よりも強く眩しい生き方は俺の憧れだ。
「罪…………」
俺が背負うべき罪は償うことはできるのだろうか? 彼女ならばきっとその意識さえあればいつでも償えると言うだろうが俺はそんな彼女に何を償えばいいのだろうか?
「気負う必要は無いわよ。ただ、貴方の在り方を考えるのならばしっかり考えて貴方の納得のいく答えを見つける。それが私からできるアドバイスね」
「やっぱり、お前は強いな」
「…………そうかしら? 私には貴方の方が強く感じるわよ?」
夜が更ける。時刻はもう日付を越えていた。親は今日は遅く帰っていない。彼女はゲストルームで寝ている。集まった目的も忘れたまま俺たちは夜を明かした。
赤井ゆのの復讐者適正は前にも開示した設定で分かるように物凄く高いです。また、彼女の能力の潜在的なものを全て出し切った最高到達点に最も早く到達することができます。
本編で一切出てこないので設定だけ開示しておきます。
メインの武器は拳銃ですがかなり容赦の無い攻撃手段になります。
①因果逆転により必中
②過去・現在・未来における改変の阻止
③気体・液体・固体等の状態変化阻止および固体状態への固定
④対象の座標固定
⑤異能力剥奪
⑥死・消滅の無い相手に死・消滅の概念付与
⑦多次元移動の阻止
⑧複製体・贋作体・同一存在のリンク消去および存在の消去
⑨自己治癒力の消去
⑩他世界線の干渉遮断
が同時に行われます。なお、これに加えて
・血液逆流による肉体攻撃
・存在の抹消
・対信仰対象における信仰剝奪
・人格破壊及び消去
・対象の寿命に対するエネルギーの対消滅
・全組織・機器の無力化
・対機械における回路のオーバーフロー誘発
などを対象に合わせて発揮されます。
ただ、あまりにも強いのですが彼女はもう何も守るものが無くなった状態ですので自然と破滅していきます。




