Festival - 09/08/2047 - √C『屋台をもう一度見て回る』
「私、もう一度屋台を見て回ろうかしら」
「なら私も!」
「気をつけろよ」
そんなことで私はもう一度屋台を見て回った。大した変化もポッポ焼きの屋台も見当たらなかったが少し楽しめた。
「楽しかったね。ゆのちゃんは何が一番楽しかった?」
「私は……最後にやった金魚すくいかしら?」
育てる余裕がないのでとれた金魚は店員に返したがポイを最大限に活用してなぎさと三十近くの金魚をつかまえたのが印象的だ。
「ゆのちゃんなんでも上手だよね。苦手なものなんて無いくらいに」
「私は音楽関連が苦手よ?」
「そうだったね」
自分で言っては何だが人に言われると少しムッとなるが事実であるため否定できない。
「…………誰か居る」
私は前を行くなぎさを左手を彼女の方に出して静止する。気配を殺し、潜むやり方。このやり方は間違いなく一般人ではない。私は右手をポケットの拳銃に伸ばす。
「遅い!」
私は投擲されたナイフを銃弾でなく足で弾く。そうして拳銃に伸ばしていた両手を背中の剣の方に持ち替えて投擲した人物目掛けて一瞬で距離を縮める。
「………居ない!?」
確かにここから投擲され、足音など動いた音がない。絶対にここに居ると思ったが………。その瞬間、私の喉笛が搔っ切られる。
「…………カヒュ!?」
ありえない位置からの攻撃。それは私の目の前で起きた。見逃すはずがない。聞き逃すはずがない。であれば最初からそこに居たのだ。
「やっと………捕まえた!」
私は声に出ない悲鳴を上げる。襲撃者の瞳は異様に黒く濁り光さえ届かないようでありながら救いを求めるような瞳。洗脳され絶望からの救いの一筋を見出したような目だった。
「貴女が! 貴女のせいで! 私の彼は! 私の彼が死んだ!」
訳が分からない。私はこの世界では誰も殺していない。私が倒した相手は間違いなく警察に引き渡している。であれば、彼女は誰のことを言っている?
「私の彼! ジェームス・モリスは貴女のせいで殺された!」
私は彼女に何度も何度も刺されながらその名前を思い出した。彼は、『弾丸操作』の能力者。教室を襲撃し、私が撃退した相手だ。警察に引き渡した後はどうなったかわからないが彼を引き渡す前に彼は狙われていたから警察に引き渡された後に暗殺されたのだろう。
「だからあなたは死を以て償いなさい! 死ね死ね! 死ね! 死ね! 死ね!!」
ただのナイフではない。彼女の持つナイフには毒が塗られていた。服毒の耐性がある程度ある私も傷口からこうもなんども毒を入れられるとさすがにマズイ。なぎさも恐怖で動けていない。彼女に助けを求めてもパニックになっているために期待はできないだろう。彼女の行動はある意味では正解だ。こういう相手を刺激しないだけマシだ。
「レティシア・モリス………」
「誰!?」
暗闇から声が聞こえる。幼げなその少女は深紅の服に包まれた服装で異様に目立つ白い手袋をしていた。彼女が手袋を取った瞬間に私を刺していた彼女の表情が恐怖に歪む。
「なんで! なんで貴女が!」
「なんでって自覚あるでしょ?」
少女は一瞬にして彼女との距離を詰めて手袋を取った手を彼女の額に押し当てる。
「『破壊』………」
私が最後に見た光景は彼女が全身から血を噴き出して倒れる様子と冷たい瞳でそれを見つめる少女の姿だった。
はい。こっちが本編に続きます。いや~動画配信者時空の彼は死んでいないのですがこっちではしんでいますね。うん。だからこそのポジションです。
最後に出てきた少女。言わずもがな緋山みなみさんです。




