Festival - 09/08/2047 - √A『みんなと帰る』
「お祭り終わっちゃったね」
「そうだな。でも、結構楽しんでいたんじゃあないか?」
「なぎさなんて何本綿飴・りんご飴・ラムネ消費したんだ?」
「二桁超えるんじゃあないかしら?」
「そんなにいかないよ~」
そんな会話をしていた時だった。ふと目の前が暗くなった。正確に言うと、私たち以外の景色が全て黒く染め上げられた。
「なっ!? 何!?」
「ゆの! 気をつけろ! きっとこれは能力の類だ。下手をすれば死ぬぞ!」
「分かっているわよ!」
私は銃を構える。耳栓をしていたせいで反応が遅れた。仕方がないといえばそうだが失態だ。
「…………来ない?」
二分。緊張していたが全然人の気配どころか攻撃もなかった。待てど待てど攻撃はなく、一時間。二時間。そして気づけば五時間が経過した。
「コドク……」
信也がふとそう呟いた。
「私たちがいるんだから貴方は孤独じゃあないでしょ?」
「いいや、コドクだ。これは人間コドクじゃあないか?」
「人間コドク?」
コドク? 孤独? 蟲毒? そう考えた瞬間に寒気が走った。見ればここには空気以外の何も存在しない。水も食料も。
「能力が使えない!?」
私は何度も右手で音を鳴らす。本来ならば時間停止……もどきが発動するはずだがそれが発動しない。もちろん、彼の話で認識が変わったとかで発動しなくなったとかではないことは既にこうなる前にチェック済みだ。つまり、意地でも私たちを留める必要があるということだ。海斗やなぎさたちは人質としての有用性はあるにしろ、私の場合は何の意味を為さない。おじいちゃん……校長先生にどうこうなんて私ですら最近知ったばかりだしやはり私を巻き込む理由は人質としての意味ではないだろう。
閉じ込められてから二日が経過した。なぎさが死んだ。原因は脱水症状。五日目になると極限状態となった私たちは生き永らえるために彼女の死肉を泣きながら漁った。
十日目には信也が死んだ。私たちはもはや死因など推定できないほどに体力・精神的に参っていた。
「なぁ、ゆの。お前は生きてくれ」
「何言っているのよ。彼らのためにも生きて脱出しないと……」
そんなことを言ってはいるものの私たちは指を動かすだけでも精一杯な状態だった。ごめん、ごめんな。俺はお前の……だったのに。そんな声が隣から聞こえてくる。あぁ、そうだったのか。だから彼は――――
二十六日目、彼が死んだ。その瞬間、見覚えのある色づいた世界が私を出迎えてくれた。けれどそんなことどうでもよかった。おじいちゃんや蒼木先生が心配して泣いていた。高階・柚木・中村家の葬式にも参列したがもう覚えていない。
「そんな状態でも立ち向かうのね?」
「…………」
深紅の槍を構える彼女に立ち向かう。一つでも多くのデータを手に入れなければもう二度と失いたくないから………。
「意識は朦朧としていても普通に強いのが腹が立つ!」
腹部に蹴りを入れられそうになるが私は剣の柄でガードする。防がれたと驚いている一瞬に腹部に打撃を叩きこむ。以上、これにて終了。戦闘はもう不要。私は距離をとって左手で音を鳴らす。その瞬間、槍が私の頭に…………。
この惨いルートですがとある世界線に繋がっています。まぁ、その説明は後程……。
さて、このルートですがあの呪術マンガで有名な両面宿儺の元ネタが実際にこんなことをさせられています。あっちはこの日本という国が呪術の対象ですが、こっちの呪術は赤井ゆのという彼女単体に向けられた呪術になります。あ、このルートでは彼女は一応生きていますよ? 本編に続かないだけで。




