Encount - 29/07/2047 - √A『彼についていく』
「よろしくお願いできるかしら? おじいちゃん?」
「あぁ、遠慮する必要はない。今日からは存分に甘えていいんだ」
「うん。うん。………………おじいちゃん!」
物心ついた時から居た両親は既に他界して頼れる相手なんてずっと居なかった。ここで頼れる相手ができてとても嬉しくて涙がでてしまう。このところ私の弱さが出てしまう。
「じゃあ、そういうことで。俺はこの子と帰るから後よろしく」
そうして私はおじいちゃんの手配したタクシーに乗って祖父の家に向かった。着いた祖父の家はとても暖かった。暖かったのだ。そう、とても優しかった。彼の能力のように。だからこそ許せない。私の大切な最後の家族を”殺した”あの組織を。
「私はどうやら真っ当な方法は向いていないらしい」
両手には生暖かい液体の感覚がする。人を殺した時の。そう、あれ程忌避した人殺しをしている自分がいる。なんで私はこうなったのだろうか。なぎさを殺された時だってこうはならなかった。家族であったから? それはあるが多分違う。優しかったから? これも同様だ。分からない。だが、唯一分かっていることはもう私は”時間干渉という能力を使えない”ことだ。つまりそれは私は二度とやり直すことはできず、陽の光を浴びることができない。
「赤井ゆの。貴女―――――――」
見知った人物がそこに居た。だからこそ私はその言葉に―――――――
赤井ゆの……彼女は実は復讐者としての適性はものすごく高いです。ただ、彼女の価値観的にその選択肢を選ぶまでには物凄く遠いのですがそこに至ったら彼女は誰にも止められません。もちろん、海斗やなぎさでも。
最後に会った人物は証人保護プログラムを受けたある人物です。その人物が誰なのかは次回作で…………。