Conflict
気が付くと私は知らない空間にいた。その空間は見渡しても果てしなく広がっている真っ白な風景。ちょうどいい明るさを保っているが光源が見当たらない不思議な空間だ。
「やぁ、よく来たな」
いつの間にか現れたバーカウンターのような席に目の前の人物は座っていた。そこに座る人物がこちらを蔑みつつ希望を見るような目で私を見つめていた。若そうに見えるが性別がわからない。姿形と声は確実に中学生くらいの少女だ。長く雪のように美しい純白の髪が動くたびに綺麗に舞う。だけど、本能が目の前の人物が男であると告げている。私はそんな目の前の人物に対して興味を持った。
「オレが何者か知りたいんだろ? だが、知ってどうする? キミに利益も不利益もない。であるのならば、説明不要ってヤツだ」
その人物は気だるげに立ち上がり、右手のそばにあった腕に装着する輪が取り付けられている杖をついてこちらに歩いてくる。
「それより、キミがここに来たのはオレの記録じゃなくて彼女の記録を見るためじゃあないのか?」
彼女? さっぱりわからない相手に疑問が出る。
「知らない様子だな。まあいいさ。ここに来たと言うことは記録を見に来たのも同然だ。ゆっくり見ていくといい」
そうして彼? は椅子に私を座らせる。
「さぁ、語るとしよう。彼女の血塗られた運命の物語を」
彼は後ろにあった本棚から古いようで新品のように輝きを放つその分厚い一冊の本を取り出してそれを語り始めた。
どうも皆さんこんにちは。竹中昴という吸血鬼の小説家です。初めましての方々が多いと思いますがこの作品は以前投稿していた文章をリメイクしたものです。ぼちぼち投稿していく予定ですので気長に待っていただけると幸いです。