1. コトノハジマリ
まったくの初心者がまったくの初心者丸出しで初投稿しました。生暖かい目で見守っていただけますと幸いです。
しばらくは毎日投稿頑張ってみます。
神、上位存在、創造主、言葉は違えど人々の想像など到底およびもしないもの
かのモノからすれば、星など瞬きする間に生まれて消えていく程度の矮小なもの
それはほんの偶然、かのモノが一つの星に対してほんのわずかな好奇心を向ける
かのモノにとって次の瞬間にはもうその星は存在しなくなる
しかしその星では、かのモノにとっての刹那の時間に生物がうまれ
文明を築き、滅び、また生まれ、それを繰り返した
その刹那の時の流れのなかで、かのモノの好奇心が収束する瞬間など
星全体からすればほんの誤差ですらなかった
あくまで星全体からすれば
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『目を覚ますと、そこには見たことのない中世のような街並みと、概ね中世ヨーロッパを彷彿とさせるいわゆる白人というイメージ通りの人々が行き交い、どういうわけか日本人の俺が理解できる日本語で会話していた・・・』
「あー・・・今って異世界転生ものっていうのが流行ってるし、何なら“なろう”の累計上位なんていうのも軒並み異世界転生ものだったりするわけだし、まあそれ自体は普通なんだろうけど・・・」
年寄りくさいかと思いながらあまりに退屈している3連休の中日に、俺はあえて声に出して言ってみた。
それにしたってこの春のアニメもかなりの割合が異世界転生ものだし、その原作がかなりの割合でなろう小説というのが、今という時代を表しているのかもしれない。それだけ人気の原作がたくさんあるということなんだろう。
とはいえ、だ。これだけ基本的な世界線が同じ物語がたくさんあれば、どうしたって似たような感じのお話が出てくるわけだし、そこを作者の皆さんの工夫でうまいことアレンジしていたとしても、やっぱり似たような雰囲気というのは残ってくる。
うん、それはそれでいいのかもしれないし、いいからこそ、今これだけたくさんの異世界転生ものが存在するということなのかもしれないんだけど。
かく言う俺自身、異世界転生ものって好きだし、アニメとかもついおさえてしまう。あぁ、日本は平和だ。
そんなこんなをつらつらと考えていて、それでもいつも思い至ることがある。
「やっぱりどこまでいっても異世界転生ってファンタジーだもんなあ」
何を当たり前のことを言っているんだと自分でも思う。確かに小説にしろアニメにしろ、漫画だって、そもそもフィクションなわけだし(もちろんだけどノンフィクション作品っていうものはのぞく、だ)、異世界転生を扱ってなくてもそういった創作物のシチュエーションが、現実からすればありえない状況だというのは当たり前ではある。
それでも、作者の皆さんの中にはものすごい知識量をお持ちの方もいらっしゃったりして、かなり現実世界と近づけてみたり、科学的な裏付けとまではいかなくても、なんとなく説明できそうな雰囲気の物語に仕上げている人だっているわけだ。
そういう作品は読んでて面白さが数倍増っていうのは、俺がゴリゴリの理系だからかもしれないが。
まあそれはいいとして、そういう作品を楽しんでいて、ふとした時にやっぱり思ってしまう。
うまく説明しているあたりは作者の腕と知識量の凄みだなあと思いつつ、同時にやっぱりどこか現実離れした部分というのは避けがたく存在して、むしろそれがあるから物語として楽しめてるのかも、なんていう屁理屈おじさんみたいな感想が出てきてしまう。
だから、なのかもしれないんだが、現実世界で今のサイエンスの延長線上で理解できそうな期待が持てるくらいの、それでいて今の常識ではちょっと考えられないような何かが存在する世界っていうのに、ぼんやりとした憧れみたいなものはあった。それはこんなことを意識し始めた、
中高生のころからずっと、だ。
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まだ日が昇るよりかなり前の、朝というより夜中といったほうがふさわしい闇の中、いつものルーチンの朝の支度を済ませて出勤した。
早朝なのにちゃんと支度してるあたりがマメなナイスガイの面目躍如といったところだ。
会社に着いていつものように誰もいないオフィスで快適に雑用をこなす。
早朝って誰もいないうえに絶対に余計な電話もメールもチャットも飛んでこないのがいい。
雑用といっても結局それが仕事を回す重要なものだったりするから、効率的にこなせることは何物にも代えがたい。
そう、たとえ朝の睡眠時間を多少犠牲にすることになっても。
こんな平和な、ほんのちょっとだけブラック臭ただよう日常をいつも通りに過ごしていた時、何を思ったかふと窓から外の景色が視界に入った。
微妙な違和感?なんとなく暗いような気がした。
もちろん、曇り空なら明け方の空はいつもより暗かったりっていうのはよくあることではあるし、特別どうということでもないんだが、ほんとに微妙に違和感を感じてつい窓から目が離せなくなっていた。
「ドンッ!!」
「おわっ!なんだ?」
たぶん上の階の窓だろうか、のあたりから突然の衝撃音がして、結構大きな音でちょっと体に響くような感じもあって、いい大人になってからの自分史上最高くらいにびっくりしてしまった。
「・・・これってやっぱり、確認とかしに行かないといけないやつ、だよな・・・」
心底めんどくさいと思いつつ、自分のオフィスのある1階の、音のしたあたりの窓が確認できるところまで外を歩いて見に行ってみた。
滅多にないことだけど、鳥が窓にぶつかるなんてことはあり得る話だし、実際カガミ張りのおしゃれな感じの都会のオフィスだったら、結構なバードストライクがある。
あれ、中にいるとかなりびっくりするというのは経験者ならわかるはずだ。
で、俺のいる会社はまあ結構な田舎にあって、おしゃれなカガミ張りであるはずもないんだけども、田舎ならではってことで自然は豊かで鳥も多い。
あ、カラスとかは多分東京とかより少ない気がする。
代わりに河川敷とかにキジがいたりするんだけども。
てくてく歩いていくと明らかにやや大きめの何かが件の窓の外にあたる地面に横たわっている。
そう、スズメとかハトとかのサイズ感じゃなく、もう二回りくらい大きくて、なんかきれいな赤っぽい色とか緑っぽい色とかが見える。
「ってこれ、キジじゃんか!!」
キジと言ったそばからこれか、などと思いつつ、いるとはいえ珍しい鳥が飛んできたもんだというのと、運悪くぶつかっておそらくは天に召されてしまったキジに憐みの気持ちも抱きつつ、
「明らかに事故だから鳥インフルとかって心配は少なそうだし、ビルの管理会社に連絡するだけでいいか。。。」
ちょっと事務的すぎる感情になったりもしつつ、珍しい鳥をなんとなく眺めてたのだけど、
「・・・ん?鳥っていうのは、何かにぶつかったらこうなるのか?・・・」
件のキジは、よく観察すると、きれいに縦に真っ二つに切断されていた。。。
あまりにも切り口がキレイすぎるからぱっと見わからなかったんだけど、よく見ると縦に切られた右半身が壁際あたりに落ちていて、結構な範囲が血まみれになっていたわけだ。
あたりを見渡すと左半身らしきものが壁際から結構離れたあたりに横たわっていた。
「をいをい・・・なんかいろいろとおかしくないか?」
そして俺は管理会社に連絡する前に、ひとしきりキジを観察して、写真に撮って、何とも言えない不思議な感覚になりつつ、多少ドキドキしている鼓動を感じていた。
違和感のある暗さがなくなっていることに全く意識が向かないまま。。。
よろしければお話にお付き合いいただけましたら幸いです。