情けは人の為ならず
変態どもをやっつけた次の日。4月の第2週の土曜日のことである。
ミューザが集合場所に来ていない。それに集合場所に来ているアリエルもどことなく落ち着きのない感じがする。これはミューザとアリエルのイベントが次の段階に進んでいるな。
俺はアリエルとステラにいった。
「今日はどうもミューザに何かがあったらしい。解散しよう。俺はミューザの方を探ってみる。アリエル。何かあったのか?」
「あ……ああ。兄上から結婚するように命じる手紙が来てな。私が断ると恐らく兄上と決闘することでどうするか決めることになるだろう」
「別にいいじゃねえか。今のアリエルは相当に強くなっているよ。無理矢理結婚させようとしてくる兄ちゃんを吹っ飛ばして、私は騎士になるって伝えろよ」
「そう……そうだな。悩むなんて私らしくなかった。私は私の道を剣で拓く。ディーベルドありがとう」
「とりあえず、今日は皆でダンジョンってわけにはいかなそうだ。自主練するか、初級ダンジョンで自分がどれだけ強くなっているか確認してみればいいんじゃないか?」
「分かった」
アリエルはそういって去っていった。あとは、ステラか。
「ステラすまないが、今日はダンジョンに行けそうにない。俺もミューザが心配だから捜索してみる」
「ディーベルド、私の手助けは必要?」
「今のところは大丈夫だと思う。また必要なときに頼らしてもらうよ」
「ん。分かった」
ステラは俺のシャツの胸のところを引っ張るとしゃがむように要求する。
しゃがむとそっと触れるようなキスをする。
「ミューザのこと、頑張ってね」
「おう」
ステラはどこまで見通しているのだろうか。気になるところではあるが、今はミューザだ。手遅れになってはいけない。
俺は中央区の行政機関にまず向かい、そこから娼館などがある北区画へと足を向けて歩いた。ウサギ耳のあるミューザだ。注意しながら歩けばそうそう見落とすこともないと思うが。
「あ、あの、急いでいるので離してください」
「そんなこというなよ。ちょっと付き合ってくれればいいんだ」
「そう、2時間くらいなぁ」
「グランさんってば鬼畜ぅ」
まったくこっちの方は治安が悪いな。周りの人間は遠巻きに見るばかりで助けようともしない。
俺はそちらの方に足を向けた。
「邪魔だ。さっさと解散しろ」
「ああん?邪魔なのは手前の方だ」
「殺されてえのか。俺達を誰だと―――」
「手前らこそ俺を誰だと思っている。ディーベルド・ミッドフィルド様だぞ」
「ミッドフィルド……だからなんだっていうんだぶち殺―――」
猿に名刺を渡しても仕方がなかった。俺は有無を言わさず。2人にヤクザキックとみぞおちパンチを決めて、うまいことゲロの中に沈めた。
絡まれていた女の子、周囲の観客は引いている。
「すまんが、白いウサギ耳の女の子を見なかったか?」
「え、はい。見ました。ここから北に行って二番目の脇道に行ったところにある娼館の前で立っていました」
「ああ。ありがとう」
これが情けは人の為ならずか。このままいっていたら、娼館通りのメインストリートを進んでいて見落としていてかもしれないな。
俺は教えてもらった道に沿っていくと、娼館の前で立ち呆けたようなミューザがいた。
「おい、探したぞ」
「……ディーベルド?」
声を掛けてようやく顔を上げるミューザ。これは相当ショックだったんだろうな。
「何はともあれ女の子がこんなところにいるべきではないな。いくぞ」
「…あっ!必要なんです。お金が」
ミューザの手を掴んで引っ張って、娼館から引き剥がす。
「それこそ、パーティーメンバーの俺様を頼らないのが謎だよ。さっさといくぞ俺がどうにでもしてやる」
「……はい」
呆然としたまま俺に手を引かれるミューザ。危なっかしい状態だな。
これで後は何とかしてやれば大丈夫だ。そう思っていたんだがな。
「探したぜえ、ディーベルド・ミッドフィルドォ!」
さっきの奴らが500人くらい仲間を連れて来やがった。おかしいな、こんなイベントはなかったはずなんだが。
「ディーベルド、何をしたんですかぁ!?」
「見苦しいナンパをしていたからのしただけだ」
「それで、なんでこんな復讐のされ方になるんですかぁ!?」
「知らん」
「ミューザ、自分の身だけを守っていろ」
「分かりましたぁ」
さっきゲロに沈めておいた男が先頭に立っていう。
「俺達エイトヘッドドッグに手を出したのが間違いだったなぁ。ディーベルト・ミッドフィルドォ。ぶち殺してやる!」
「短気すぎないか?まあ、いいや。かかってこい」
俺がすたすたと近づいた。振られる拳、パリィをして、ヤクザキックして、みぞおちパンチでもう一度ゲロの中に沈めてやる。
一斉に襲い掛かってくる。俺はなんだか笑えてきた。剣を抜くまでもない。
避ける。まとめて攻撃する。弾く、蹴飛ばして後ろの奴らも巻き込んでやる。ビビッて動かなくなってきたのでこちらから殴りかかる。ナイフを取り出して必死になって襲い掛かってくるので、ジャスト回避。ぶん殴る。
ミューザに手出しをさせないようにして、ただひたすらに無心で繰り返した。
気がついたら、警察に囲まれていた。
「俺はシールズ学園生のディーベルド・ミッドフィルドだ。こいつらがナンパをしていたのを払ってやったら、復讐に来た」
警察官はミッドフィルドの名前に恐れおののいていた。それにエイトヘッドドッグとかいう不良集団も有名だったのかもしれない。倒れている不良どもを連れて行く。
俺はミューザを連れてさっさとその場を離れる。警察官は俺からも事情を聞きたそうだったが、俺の今の優先事項はミューザなんだ。
俺は、ミューザを連れて、中央広場に来た。果実水を買ってきてミューザに渡した。
「それでなにがあった」
「私の家なんですが、土地の税を滞納しているって急に役人にいわれていたんですぅ。その税はディーベルドたちと一緒にダンジョンに行っているうちに、貯めることができたんですけど、昨日支払いに行ったら遅延利息がどうとかですごい金額になっていて支払えなかったんですぅ。このままじゃ、私たち家族の家がなくなってしまうんですぅ」
どう考えても、その役人はクロだと思うが、とりあえずは正攻法で行くか。
「ミューザ、いまからその役人のところに行くぞ」
「えっ。ディーベルド?」
俺たちは行政区の税務課のその役人を訪ねた。
「ミューザ・ネカンさん。何度来られようと金額は……あなたは?」
さも不愉快といわんばかりに俺の方に目を向ける役人。
「俺か?俺はディーベルド・ミッドフィルドだ。お前の名前は?」
額から汗をだらだらと垂らしながら、しどろもどろになっている。
「わ、私はイセフ・トフコロです。ミッドフィルド家の方がどのようなご用件でしょうか?」
もう絶対クロだろこいつ。まあこいつの処分は後だ。
「俺のパーティーメンバーが、当初言われていた金額を納めようとしたところ。遅延利息がどうのといわれたらしくてな。一体いくらなんだ」
「ち、遅延利息が300万Zです」
「そうなのか、ミューザ?」
「……はいぃ」
「その程度の金で解決できるなら安いものだ」
それにしてもまた300万Zか、ろくでなしの決める金額は似たり寄ったりなのかもしれない。
俺はアイテム袋から300万Z取り出して、一括で支払った。
「これでいいな。領収書を出してもらおうか」
「は、はい」
震える手で領収書を書く、イセフ・トフコロ。
「これで、もう。支払う必要のある金は無いな。きちんと精査してくれ。あとからどうのといわれると苛立ちのあまりに暴れてしまうかもしれない」
「あ、ありませぇん」
呆然としているミューザの手を引いて行政機関を出る。日差しが温かい。今日はいい天気だな。そんなことに今更気がついた。俺もミューザのことで冷静ではいられなかったらしい。
「どうだ、ミューザ。これで家のことは心配いらない。安心して学園に来い」
「ディーベルドはどうしてここまでしてくれるんですかぁ」
嘘をついても、仕方がないな。
「ミューザが魅力的だからだ。俺はミューザを口説きたいのさ」
ミューザはくすりと笑った。
「そこはパーティーメンバーのためだとか、仲間のためだじゃないんですかぁ」
「嘘はつけない」
ミューザは俺の腕に抱き着いた。
「ディーベルドになら、いいですよぉ」
「おう。頼む。俺の女になってくれ」
「はい」
俺は貴族寮の俺の部屋でミューザの服を脱がしにかかっていた。
「いくらなんでも早すぎますぅ」
「今日にでも身体を売りかけていた女が何を言っているんだ。それにミューザの体つきがエロ過ぎなのが悪い」
「ディーベルドってときどきばかですねぇ」
シャツを脱がすと、ボロンという言葉が浮かび上がるほどの勢いでミューザの胸がまろびでた。おおっ!なんというボリューム。ミューザを膝にのせて、舌を絡めあいながら、ゆっくりと身体をほぐしていく。
胸と尻がすばらしい。ぴょこんと出た尻尾はかわいい。全体がすばらしいボリュームだし、ハリがあってしっかりと反発してくる。そしてこの細い腰。すさまじい。俺はゆるゆると攻めていった。
次第にミューザの下着が濡れてきた。感じているのだ。
「ディーベルドぉ。そろそろ」
「まだもうちょっとほぐしてからだ」
俺はミューザのパンツに手を掛けた。とろとろにしてやろう。
そうは思っていたが、完全にとろとろに蕩けたミューザはすごかった。
初めてだというのに留まることを知らない。連戦に連戦を重ねて、俺は自身の精力を振り絞ってミューザを満足させた。
後日談だが、シャーリーに頼んでイセフ・トフコロについてきっちり調査してもらったところ、やはり納税者に過剰に納税させて懐に納めていたらしい。イセフはクビとなり、俺とミューザはきっちりとお金を返してもらった。




