借金姉妹とメイドの要望
「聞いての通りだ。お前たちの借金は俺が肩代わりをした。お前たちをどうしよう働かせようと俺の勝手だというわけだ」
借金姉妹の姉は俺の睨みつけるようにして、妹を抱きしめる。
主人公なら、ここで解放してやって後日イベントだが、俺はそれをするつもりはない。
「各自学校に通って、放課後はこのシャーリーを先輩として使用人として働いてもらう。分かったな」
ぽかーんとした表情を浮かべる借金姉妹。そして仕方ない子を見る目で俺を見るシャーリー。いや、今後のことを考えると学校は行ってもらっておいた方がいろんなことを頼めるから。
「朝から夜までやること尽くしの大変なことだ。だが、お前たちは俺から300万Z借りている立場だ。やってもらうぞ」
信じられないような表情をしながらうなずく姉妹。
「シャーリー、この子たちを俺付きの使用人に育て上げる。そのためには教養が必要だ。姉の方は学園に編入を、妹も付属校に編入させろ。放課後はお前が教育するか、こいつなら任せられるという使用人に教育させろ」
「かしこまりました」
「住む場所もここでは不便だ。ミッドフィルド家の使用人の部屋を与えろ。あと、いうまでもないことだが、いらぬちょっかいがかからないように俺の使用人だと分かるようにしておけよ」
「はい」
これで俺個人に忠誠を誓うかわいいメイドさんが増えるわけだ。それも本当は0Zで。
「俺の名前はディーベルド・ミッドフィルドだ。こいつは俺の最も信頼するメイドのシャーリーだ。何かわからないことがあったらこいつに聞くといい。2人の名前は?」
まずは俺と同じくらいの女の子が口を開く。
「……私はエリス・クリシャです。そしてこの子が」
そして小さいほうが口を開く。
「ミリス・クリシャなの」
知っているけどね。名前は勝手に呼ばれたら驚くだろうし。
「なにか、質問はあるか?」
「どうしてそんなに良くしてくれるのですか?」
「良くなんてしていない。俺はミッドフィルド家のではなく、俺個人の使用人が欲しかっただけだ。学校に行かせるのは色々なことを頼めるように、できるようにするためだ。学校に行き、使用人の仕事をして、それからそれぞれの復習もしなければならない。非常に大変な仕事をやらせようとしているぞ」
真剣な表情で考え込む姉。心配そうに姉を見つめる妹。さあ、どうなる。
「分かりました。よろしくお願いします」
「よろしくなの」
そういうことになった。
俺たちは2人を貴族寮に連れて行って、使用人部屋に案内して、とりあえず食事を取って休んでおくように命じる。
「悪いが、シャーリーそういうことになった。あの2人を一人前のメイドに育つように手配してやってくれ。学校へ通学することも含めてゆっくりと使用人としての技能と心構えを仕込んでやってくれ」
「もう、ディーベルド様は甘すぎますよ」
「そうか?」
結構厳しいことを求めているような気がするが。呆れたようにしているシャーリー。
「ああ、あとあの2人は見たところ痩せすぎているし、疲れているようだった。医者に見せておけ」
「はいはい。編入手続きもしておきますね」
「頼む」
シャーリーが俺の部屋から一旦出ていく。医者の手配と編入手続きに必要な書類を集めに行ったのだろう。
これでクリシャ姉妹のイベントは終了と。あのままだったら、エロ取立人に毎週金曜日に散々奉仕させられたあげく、最後にはあいつらが経営する娼館で働くことになっていただろう。
これで今日予定していた変態退治と1個目のアダマンタイト、そして借金姉妹を手に入れたことになる。充実した1日だった。
シャーリーが俺の部屋に帰ってくる前に実家に手紙を書いておく。クリシャ姉妹をメイドにしたときに気がついたのだが、シャーリーはあくまでもミッドフィルド家の使用人であって俺個人の使用人ではないということだ。シャーリーはもう俺のヒロインだ。誰にも譲るつもりはない。実家に記憶喪失になったけれど、元気である旨をついでに書いておいて、本題にシャーリーを俺個人のメイドにしたいと書いておく。
赤色の蠟を垂らして、ミッドフィルド家の紋章を押しておく。廊下に出て、ミッドフィルド家の使用人を捕まえて、実家に出すように命じた。一仕事終了と。
もう一仕事、あったな。俺は焼却炉によると、今日はぎ取った少年とおっさんの服を捨てて、ファイアアローを打ち込んだ。こんなものをいつまでもアイテム袋に入れておくのはごめんだ。
仕事を終えた俺は上機嫌で、シャーリーが用意してくれた着替えを持って風呂へと向かった。
風呂から出てベッドに転がる。横にはシャーリーが腰かけて座っている。
手配した医者に見せたところ栄養失調と過労の症状がみられるらしい。しばらくは休ませた方がいいだろう。
まあ、クリシャ姉妹はそれでいいとして、俺には気になることがあった。
「そういえば、シャーリーの決めた今夜の内容ってなんだ?」
頼むから乗馬鞭とかロウソクを出すようなことはありませんように。
「ああ。今日はエッチ禁止です」
……そうきたか。俺はいままでシャーリーを追い込みすぎていたのかもしれない。
「負担だったか。シャーリー」
「いいえ。けれど、そういった愛し合い方に憧れがあったんです」
シャーリーは靴を脱ぎ捨てると、シーツをはぎ取って俺達2人を包んだ。
さらに俺にもたれかかると腕と指を絡めた。恋人つなぎだ。
俺はシャーリー自身について、知らなすぎたのかもしれない。
しっかりと手を握りこむ。
その愛らしい頬にキスをする。シャーリーの頬が少し赤くなった。
「よかったらシャーリーのこと、教えてくれよ」
「例えばどんなことですか?」
「うーん、じゃあなんでミッドフィルド家の使用人をしているんだ?」
「いきなり重いところにいきますね。……今は秘密です。出来ればディーベルド様自身に思い出してほしいです」
ディーベルド自身が関わっているらしい。それは思い出すのは無理かもしれないな。
「じゃあ今度は、今度は私の番です。ディーベルド様が一番うれしかったことって何ですか?」
「シャーリーが俺のことを、大切にしたい人って言ってくれたことかな」
「~っ」
シャーリーは我慢できなくなったように、俺にキスの雨を降らす。やめてください。高ぶりを抑えきれなくなるから。
「逆にシャーリーが一番うれしかったことって?」
「そうですね……ここ最近の出来事ではディーベルド様が記憶喪失になられたことですね。仕える主人がそのようなことになったことを喜ぶなんて不敬ですが」
「不敬じゃないよ。当然だよ」
ディーベルド・ミッドフィルドは作中屈指のクズである。そんな人物が傍にいたらストレスもすごいことになるだろう。俺になったからって理想の主人というわけではないと思うけれど。
「ディーベルド様の好物ってなんですか?」
「肉。最近はシャーリーとカザリナが作ってくれる唐揚げかな」
「あら、ほかの女性の名前を出したので罰です」
頬を甘くつねるシャーリー。全然痛くないけど罰なのかな。
「シャーリーの好物は?」
「……ワッフルです」
女の子だからね。甘味が好きなのか。
そんな感じで様々なことを話しながら眠くなるまで過ごした。
シャーリーの要望で俺はシャーリーを抱きしめるようにして寝ることになった。
「ディーベルド様。頭を撫でてください。私が眠るまで」
「あいあい」
シャーリーの注文が意外と細かい。色々やりたいことがあったのだろうか。
また、気が向いたらシャーリーの意向を聞いてやるとしよう。
俺はシャーリーが眠ったであろうと思える間まで頭を撫でてやった。
今夜の彼女は笑顔が多かったな。よいことだ。
俺も寝るとするか。……意外とこの態勢崩さずに寝るって気を遣うな。まあ、たまのシャーリーの我儘だ。頑張って朝まで耐えることとするか。俺は慎重に寝た。




