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探索術とソロダン

 俺は教室に着くと、探索術におけるヒロインを探した。教室を見渡すといた。白いウサギ耳が特徴の獣人であるミューザだ。隣に主人公がいないな。主人公の姿を探す。主人公も冒険者志望だからこの授業にいるはずなんだが。再び教室見渡すと特徴的なツンツン頭を見つけた。


 主人公にミューザと絡む意図はなさそうだ。剣術の授業でアリエルとも絡んでなかったし、エロゲの主人公としてそれでいいのだろうか。今もクラリスと一緒に居る。リーゼインは政治家のコースにいるから選択授業ではいない。


 なら、俺がアリエルとミューザを攻略しないと彼女たちは不幸になってしまう。俺は周りの視線を気にせず。ミューザの隣に座る。ミューザがびくりと震えた。


「初めまして。ディーベルド・ミッドフィルドです。隣、失礼しますね」


 極めて紳士的な挨拶をした。


「やべえよ、ミューザさんが狙われているよ」「助けてあげなよ」「お前が行けよ」「絡まれたら怖いだろ」「あのマルコ・コーザとバルノ・ズークを部屋に引きこもらせたんだろ」「なんだよ。なんでそんなやつが風紀委員に取り締まられないんだ」「むしろ、風紀委員を牛耳ろうとしているって噂だ」「それでカザリナ先輩が……」


 外野がうるさい。

 ミューザはちょっと涙目になりながらいう。


「初めまして。ミューザ・ネカンですぅ。よろしくお願いしますぅ」


 蒼い瞳が涙目になっているところとかちょっと気になるけれど、ファーストコンタクトは成功だ。座っているお尻からのぞく白い尻尾が可愛らしい。さ、授業を受けよう。

 担当の先生はクサツ先生というらしい。カザリナやサクラ先輩の親戚筋のひとりだろう。長い黒髪を後ろでまとめている。


 探索術というのだから、何をするのかと期待していたが、当面の間はモンスターに関する授業をするようだ。まあ、この学園で冒険者を目指す人は自然とダンジョンを攻略することになる。その際にモンスターの知識、例えば毒の有無、攻撃方法、弱点など知っておくべきことは多くあるだろう。


 俺は実体験というかゲームでの戦闘で知っているだけなので、真剣に取り組むことにする。ゲームの戦闘では知らなかった習性や特徴なども結構説明される。これは、手を抜くことができないな。


 3時限目は化学だったが、新しい教師が雇われていた。この学園の底知れなさがうかがえる場面であった。この教師は変態ではありませんように。化学と魔法が混ざり合って、未知の学問になっていたが、要は実験をしてその結果を学ぶのが大切だ。俺の知識は役に立ちそうになかったが、素直に向き合って学べば何とかなりそうだ。


 4限目は国語だった。こちらも数学と同様にブランクが気になったが、そう苦にもせずできそうな感触がある。これも楽できそうだ。


 昼休みにはステラとカザリナと一緒にお昼ご飯を食べる。今日はカザリナがお弁当当番らしく、朝シャーリーからお弁当を渡されなかった。今日のお弁当にはハートの桜でんぶはなかった。しょぼん。


「あんまり反応がなかったから嬉しくないのかと思ったぞ」

「あれはあれで嬉しかったよ。あとこの唐揚げ最高に美味しいよ」

「だろうな。シャーリーからお前が美味しいといっていたレシピを教えてもらったからな」

「どうりで俺の好きな味なわけだ」


 俺のヒロインたちが仲よくすることによって幸せの相乗効果が生まれる。なんと素晴らしいことなのか。

 そんな話をしていると、ステラがむーっとしていた。どうした。


「ディーベルド。これあげる」


 メイドカロリーを貰った。


「あ、ありがとう」


 期待した反応ではなかったらしく。不満そうにしている。

 何か思いつけ、俺の脳味噌。働け細胞。


「ステラには、いずれ俺のとっておき装備を錬金してもらうからそのときに期待させてもらおうかな」

「まかせて」


 ステラが胸を張っていった。切り抜けた。無罪だ。小人の俺が無罪確定の紙をもって机の上を走りだした。


 緊張する場面のある昼食だった。ステラが嫉妬するとは思わなかったな。


 とっておきの装備とは作中最強の装備だ。入手方法が面倒だが、権力と財力と実力を持っている俺ならなんとかなるだろう。


 さあ、放課後だ。今日中にソロで攻略するべきダンジョンを攻略しておこう。明後日からはしばらくアリエルとミューザと一緒にダンジョンを攻略していくつもりだ。

 この2人の攻略にはダンジョン攻略が必須だからな。


 アリエルにはダンジョンによる技能値上昇とレベルアップが必要で、ミューザにはダンジョンによる依頼達成料が必要となる。

 どちらもさっさと攻略しておかないと学園から去って不幸な人生を送ることになるからな。俺がなんとかしないと。


 俺は売店で盾を購入した。いままで素手で何とかしてきたが、やはりパリィは盾があったほうがやりやすいからだ。ゲームでも盾を使っていたし。


 地図を片手に、学園裏の森の中にあった転移門を使って孤高の洞窟に潜る。この洞窟は異様に狭く、1人でしか戦えない仕様のダンジョンだ。現実となると圧迫感があって不快だ。


 さっさと行こう。真っ直ぐの道を進んでいくと錆びた鎧が襲い掛かってくる。横には避けられない。バックステップを選択。抱き着き損ねた鎧は倒れた。鎧の隙間に剣を差し込んで斬り続けた。瘴気に還った鎧は触腕をドロップした。


 進んでいくと、今度の錆びた鎧は剣を巨大な剣を持っている。振り下ろされる剣にパリィを決めて、剣を突き刺すと瘴気に還った。一撃か。金にものをいわせたのかディーベルドの装備は強力なものらしい。


 三体目の錆びた鎧は弓を持っている。放たれる銅の矢を剣で弾きつつ、接近する。シールドバッシュで態勢を崩してから修羅一閃を入れた。これが武技の使い方だ。


 四代目の錆びた鎧は魔法使いの杖を持っていた。足元に魔方陣が展開される。火柱(フレイムピラー)か。ディーベルドのダッシュの速度なら余裕で魔法範囲から脱出できるので近づいて、切り捨てた。


 さあ、次がボスだ。最後に広くなった広間に到達する。俺が入った途端上から石扉が落ちてくる。中には腕が八本あり、今までの武器を持った巨大な錆びた鎧がいる。戦闘開始だ。


 足元に火柱(フレイムピラー)の魔方陣が発動する。前方にダッシュしたところに矢が打ち込まれる。剣で弾く。更に前方に進んでいく。巨大な剣が振り下ろされる。斜めに走って何とか回避する。横に振られる拳を跳躍して避けて、首にある鎧の隙間に剣を突き刺す。剣の先端に火柱(フレイムピラー)を設置して発動する。


 結果、鎧の中に炎の柱が生まれる。俺は剣を離して距離を取った。鎧は、というより鎧を操作している触手は苦しいらしく、遮二無二に持っている武器を振り回す。冷静に回避する。隙を見つけては火矢(フレイムアロー)を鎧の隙間に打ち込む。


 暴れる鎧から剣が落ちてしまった。ダッシュ回避連続使用して拾いに行く。火柱(フレイムピラー)戦法を繰り返すこと6度。激しい攻撃に2発盾に受けるが大したダメージではない。とうとう鎧は分解して崩れ落ちた。ドロップはテンタクルスの触腕だ。やはりディーベルドのダッシュ間隔は癖になる早さだ。主人公ならここまではうまく戦えなかっただろう。


 俺は孤高の洞窟を帰還門から出た。まずは1つ目。もうひとつ行っておきたい。

 裏山の天辺にあるダンジョンだ。転移門の前に上級生がいる。この上級生、主人公が3年生になるまでずっとここにいる。暇なのかな。


「おい。ここのダンジョンは危ない。生きて帰ってきたやつがいないんだ。さっさと引き返せ」

「俺を誰だと思っている。ディーベルド・ミッドフィルドだぞ」


 怯えたようになる上級生。主人公であれば強制的に引き返すことになるが、ここで権力を使う。上級生はぼそっという。


「その傲慢さで、死ねばいいさ」


 聞こえているぞ。

 俺は試練の間への転移門を通った。

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