#88 第二試合:持っている武器が強すぎる
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続いては、俺と夕夏チームVS堂島と九条チームだ。直前の負けを払拭しようと、やる気に満ちているのが伝わってくる。
「さっき話した作戦通りでいいよな」
「うん。初見でびっくりすると思うから、二人には悪いけどね」
「これは勝負なんだ。九条はともかく、堂島は笑ってくれるさ」
俺達も、勝ちを易々と渡すつもりはない。勝負をするうえで最も冷めるのは、どちらかが手を抜いた時だからだ。
自分の持つ水鉄砲が、きっと勝利を引き寄せてくれると期待していた。
「準備はいい?」
井寄の問いかけに、試合に参加する面々はそれぞれに肯定を示す。
「よーい、スタート!」
試合が始まった途端、俺は敵陣に向かって一気に走り出す。これだけ見ると、さっきの試合の堂島と変わりはない。しかも、堂島と比べて俺の運動能力が劣っていることも知られている。単騎で敵を壊滅させる武将ではなく、飛んで火に入る夏の虫だと、堂島達は思っているだろう。
「威勢はいいが、一人で何ができる!」
その言葉と共に、堂島と九条が俺に狙いを定め、顔目がけて水が噴射される。その瞬間、俺は傘を開いた。
「なっ……!!」
敵に、困惑の色が広がる。
井寄が購入してきた水鉄砲の中でも、飛び抜けて奇抜なデザインをしているこいつは、なんと砲身から傘が生えている。つまり、攻防一体を兼ね備えた水鉄砲というわけだ。
これを活かすには、敵陣に攻め込む他ないと俺は考えていた。
「堂島、俺は勝つぞ!」
「くっ……!」
堂島はすでに、俺に攻撃を仕掛けてきた。ということは、もう水の残量はない。傘付き水鉄砲の最大の弱点は、前面しか守れないことだ。しかし、最初の奇襲で堂島の水を無くしてしまえば、あとは九条に張り付くだけで勝つことができる。顔を守っている俺に、水をかける術はない。
事前の作戦通りに事が運び、俺は勝ちを確信する。
「だが、甘いな友哉!」
なんと、水を切らしていたはずの堂島が、俺に水を放ってきたのだ。俺は慌てて、傘で顔を防御する。
「その水、一体どこから……?」
ふと、堂島の背中に小さなシルエットが見えた。砂浜にぽつんと佇むそれは、海水をなみなみに蓄えたバケツだった。
堂島は、俺が詰め寄る間にそこから水を吸引していたのだ。
「もう逃げられないよ」
油断していた俺は、前方を堂島、後方を九条に押さえられる。傘で守れるのは一方のみ。隙を突いてポイを破壊されるのは時間の問題だった。
「これで――……きゃっ!」
背後から、九条の悲鳴が聞こえる。それから間髪入れずに、堂島も呻き声を上げた。
「この水鉄砲、すごいね。本当に遠くまで飛ぶよ!」
俺を窮地から救った夕夏は、自分の武器の力にご満悦な様子だ。
長い本体から放たれる長距離射撃は、意識外からの一撃を生み出した。相手が二人いると分かっていても、がむしゃらに突っ込まれれば、注意は自ずと集中する。そうして俺が引きつけた後に、夕夏が持ち前の遠距離攻撃で仕留めるという算段だ。
結果は俺達の勝利。時間は少し短い十秒残し。全達成で六十秒をプラスして七十秒だから、一位の八十秒には届いていない。
「……さっきから顔に水浴びてばっかなんだけど」
不服そうな九条に、井寄が堪えきれずに笑い出す。
「あははっ、瑠璃びしょびしょじゃん!」
「誰のせいだと思ってるの」
「瑠璃、ごめんね。水、痛くなかった?」
「……次はもう少し離れて撃った方がいいと思う」
「うっ……ごめん……」
暗にダメージがあったと伝えられ、夕夏は盤外戦術で傷を負った。だが、まだ試合は終わっていない。茂木達の逆転劇を食い止めることができるのは、俺達だけなのだから。
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