#86 井寄考案、決戦のルール
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昼食を賭けたチーム対抗戦、その番外編で選ばれたフィールドはビーチだ。
「今からみんなには、これを頭に付けてもらいます!」
井寄が順に手渡したのは、金魚すくいで目にするポイだった。そして、固定用のゴムバンド。知らぬ間に相当準備していたことがうかがえる。
「これを水鉄砲で破るのか?」
「トモちん、惜しい! これだけだとシンプルすぎるから、もう一個用意したんだ!」
と言って、井寄は砂浜に棒付きの旗を突き刺す。赤と青、距離を離して二本設置していく。ビーチフラッグをするには、一本多い。果たして、何をするつもりなのだろうか。
「さっきと同じで、チームごとの試合だよ! 相手チームに旗を取られないようにしながら、自分のポイを守ってね!」
説明されたルールはこうだ。相手陣営にある旗を取る、または相手チームを全滅させれば勝ち。それぞれの生死は、ポイが無事かどうかで決まる。
旗の入手で三ポイント、撃破した敵チームメンバー一人につき一ポイント、全達成で一ポイントが加算。チームを全滅させた時点で旗の入手は確定するため、合計六ポイント獲得することができる。
ここまで聞くと、旗よりもポイを狙うのが定石かと思われるが、試合の肝はもう一つあった。
「制限時間は六十秒で、最終結果は残った時間の長さで決めるよ!」
試合で手に入れたポイントは、一ポイント=十秒に変換される。つまり、敵を倒すことに腐心していると、最悪ポイントと時間の両方を失う可能性があるということだ。もちろん、最速で相手の二人を倒すのが最も近道ではある。だが、武器を持っているという条件が同じ以上、拮抗した勝負になることは予想できた。
堅実に旗だけを狙い続けてもいいし、時間を犠牲に六点を狙い続けてもいい。チームごとで作戦に違いが出てくるだろう。
「じゃあ、好きな水鉄砲を選んでね!」
俺達の前に並べられた水鉄砲は全部で五つ。残る一つは、井寄が購入者権限で持っていってしまった。ひょっとすると、威力や射程に優れたものだったのかもしれない。井寄と対戦する時は、警戒を怠らないようにしよう。
「桃ー、これって物によって勢いとか違うの?」
「うーん、どうだろう? テキトーに違う種類の買っただけだから、分かんないや」
「あんたね……」
大雑把な井寄の買い物に、九条は頭を抱える。ということは、水鉄砲のスペックは撃ってみるまで分からないらしい。見た目重視で選ぶか、はたまた機構に希望を感じるか。試合の運命を左右する選択だ。
「俺は、選ばない。最後の一つこそ、俺が手にするべき銃だ。残り物には福があると言うしな」
「その言葉、撤回するなよ薫。友哉、夕夏、良さげな物を早めに取ってくんだ!」
茂木に先導され、俺と夕夏は直感で水鉄砲を手に取る。堂島のチームメイトである九条も、自分だけはいいものを確保しておくべきだと、早めに手を伸ばしていた。
「よーし、みんな水鉄砲持ったね! 試合の順番は、じゃんけんで決めるよー!」
晴天の空の下、六つの拳が突き合わされた。
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