#70 出鼻をくじかれる
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週が明け、月曜日を迎えても、明海が俺の家を訪ねてくることはなかった。金曜のアタックは未遂に終わっているから、当然といえば当然なのだが。
今日こそは明海と話をするぞと、意気込みを抱えて学校の門を潜ったのだが、
「なんで、今日に限って……」
朝、明海は刻限通りに登校してこなかった。丸山先生曰く、連絡は入っていないそうだ。体調不良か、寝坊か。そもそも遅刻か欠席なのかすら、俺には確かめようがない。
「なんも聞いてないけど、そういう日もあるんじゃない? 私も、たまに行きたくないなーみたいな日あるし!」
「あんたはちゃんと来なさいよ。……しょうがない日は、そりゃあるけど」
すでに井寄達には話がいってるものかと、聞いてみたが結果は乏しかった。この感じだと、男子達に聞いても答えは変わらないだろう。
決心した反動もあって、四限までの授業には全く集中できないまま昼休みがやってきた。
「そんなに気になるなら、連絡取ってみたらいいじゃないか」
「うーん……」
食堂への道中、茂木は分かりきった助言をくれる。それができれば苦労しない、というかここまで悩まずに済むのだが、そんなことを言っても八つ当たりにしかならない。
俺には、是とも非とも取れない呻きを上げることしかできなかった。
そうして思考に靄がかかったような状態は、明海が登校してくる五限目の途中まで続いた。
「えー、これは先ほど習った文法の形に――」
練習問題の解説をかき消したのは、ガラリと開けられた扉の音。教室の後方に姿を見せたのは、重役出勤の明海だ。
「すみません、遅れました」
「はい、こんにちは。席に着いてください」
先生からの追及は特になく、明海は席へと着いた。教科書、ノート、筆記用具と、勉強道具が隣で一から展開されていく。食後の程良いまどろみに包まれていた教室では、その物音は一際大きく聞こえた。
そして、支度を終えた明海の視線は黒板へと注がれる。その横顔をちらと見て、俺は今すぐにでも声をかけるべきか頭を悩ませた。
授業中に話すこと自体、少し危険なことだ。先生にバレて、また未遂で終わっても困る。
明海が来たはいいものの、今度は別の要因で集中ができなくなっていた。解説は耳に入っては抜けていく。気付けば、最後の問いまで答え合わせが終了していた。
「明海さんが来たところですが、本日の範囲は以上になります。十分ほど時間が余っています、各自自習をしてください」
自習になれば、周りはより静かになる。きっと、どれだけ小声でも話せば目立つだろう。
なら、この時間を使って今後の作戦を考えるしかない。今日を逃せば、もうチャンスはないような気がした。
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