#27 教えて、表と裏
ユニーク400PV、ありがとうございます。
「ビバ! 雷門! 写真撮ろーっと!」
ということで、水族館を後にした俺達は浅草寺――その入り口である雷門の立っていた。
あれから無事合流することには成功したのだが、別行動を取っていた四人の表情はなぜか冴えていなかった。茂木曰く、大事なショーを見損なったらしい。……あの水族館、ショーとかはやってなかったはずだけど。
合流時に最も落ち込んでいた井寄だったが、雷門を前にすっかり元気を取り戻している。その活気が広がっていくように、班全体に笑顔が戻りつつあった。
「雷門というのは、この門の正式名称ではないそうだ」
「え! そうなの?」
堂島の雑学に、井寄がオーバーリアクションで応じる。俺も、初めて聞く話だった。正面にこんな堂々と雷門って書いた提灯があるのに、正式名称じゃないなんてちょっと騙された気分だ。
「正解は、提灯の裏を見てみれば分かる。みんなついてきてくれ」
堂島に続いて、全員で提灯の裏へと回る。威厳と存在感のある提灯の脇には、これまた迫力のある像の姿。たしか、歴史の時間に見たことがあるような。喉元まで出かかった名前を思い出すことができずにいると、雷門の背後に辿り着く。裏側に書かれた文字に、その答えはあった。
「風雷神門……あ、そうだ雷神だ」
「その通り。ここの正式名称は風神雷神門。そして、両脇に佇む像は風神と雷神だ」
「へぇ、詳しいじゃないか」
感心した様子の茂木に、堂島は誇らしげに鼻を鳴らす。
「夜更けまで調べた甲斐があった。ちなみに、この二体の像は――」
「ほのはなひ、ながくなりほう?」
堂島のうんちくを遮ったのは、何やら食事中の井寄だった。サクサクという音と共に漂う香りが、食欲を刺激してくる。そういえば、昼食はまだだったか。
「嘘でしょ……あんた何食べてるの?」
「揚げ饅頭だけど」
なんてことないような口振りに、九条は呆気に取られている。
「それ、後で食べようって話してたやつでしょ」
「だって、お腹空いたんだもん。薫君、話長そうだったし……」
「うぐっ……!」
茂木の持ち上げから一変、井寄に突き落とされ堂島は苦悶の声を漏らした。可哀そうに、俺も得意気になりそうな時は気を付けよう。人の振り見て我が振り直せとは、このことだ。
「本当勝手なんだから。夕夏もなんか言ってやってよ」
「へ? んー、そうだな……先に食べた分、みんなに奢るっていうのはどう?」
「そんなー! 夕夏は鬼だよ、鬼! 桃ちゃん太郎が成敗してやる!」
「うわっ、ちょっと桃! 分かった、分かったから! くすぐるのはなしだって! あはは!」
「どうだ、観念したか?」
「した、観念したからぁ!」
明海のはしゃぐ声を聞いて、胸に言いようのないつっかかりを感じた。あんなことの後だというのに、明海はいつもの調子……に見える。気にしてほしいなんて自意識過剰なことは思わないけど、あの告白が白昼夢だったんじゃないかと不安に駆られてしまいそうになる。
抱えていた気持ちを伝えることができたから、明海としてはスッキリしたのだろうか。
次思い悩むのは俺の番だ、という神様からの試練なのかもしれない。近くで鳴っているはずの喧騒が、なんだか耳に入ってこなかった。
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