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午前3時の雨宿り

午前3時に雨宿りをするというお題で書いてみました。

好きだった女性と飲みに行き、終電で帰すと自分にはとっくに終電がなかった。

夜中の1時。ネカフェに入るのもカラオケに入るのも良いが、無性に歩きたい気分で散歩をすることにした。


彼女とは学生の頃に出会い、当時好きだったものの彼女が転校すると聞きなんとか連絡先を交換した。

彼女が学校に来た最後の日の夜、「君のことがずっと好きだった。だけど今はもう会えない。だから僕の好きだという気持ちを知った上で友達でいて欲しい」とメールを送った。

彼女は「好きになってくれてありがとう。わかった、友達でいよう」と言ってくれた。


そこから何年も経ち、きっかけは思い出せないが、大学生になって連絡を取り始めた。

彼女はやはり遠くに住んでいたが、他愛のない話をし、会わないけどいつの間にかまた好きになっていった。

大学生だったので深夜バスで年に数回会いに行ったことがあった。

だが、何事もなく会って6時間以上ぶっ通しで話し続けられるのが楽しくて、そして夜9時頃には彼女を家に帰していた。


彼女は都会の方に就職を機に越して来て気軽に会えるようになった。とはいえ会うのは半年に1回くらい。

かれこれ出会ってから10年程経ち、お互いに付き合う人ができたりと様々な変化があったが、人生で出会った女性の中で一番好きだったと断言できる。


そこまで考えているとポツポツと雨が降り出した。


雨の予報なんてあったっけ?と思いながら屋根のあるところに駆け込む。

雨の降る空を見上げ今日のことを思い返した。

今日、あんなにも好きだった気持ちが冷めていて彼女と冷静に向き合える自分がいることに気がついたのだ。

彼女も自分も成長し、変わった。

それが悪いことだとは思わない。

だが、自分の中で何かが失われた気がして寂しくなった。

雨でなきゃならない理由が必要だなって考えたけど、これでいいかなって。

雨が上がればまた新しい日が始まるんじゃないかなと。

読んでくれてありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 時が経ち、燃えるような恋愛感情ではなく、そこには穏やかな友愛の気持ちが残ったのかなと思いました。 なんだかんだで長期間逢いながらもそれ以上に関係性が発展しなかったというのは、そういうご縁だっ…
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