零弐-人間として、妖怪として、魔法使いとして
「ぐっ……」
舐めてかかったのが間違いだった。こいつ、異常に強い……
「どうしました?妖怪とはいえ限界ですか?ならば株式会社アックスの名においてしっかりと退治させていただきますよ?」
「くそ!調子に乗りなさんな!」
私は力を振り絞り、攻撃をする。だが、奴には当たらない。いや、正確に言うと私の攻撃は当たっているのだが、まるで効いてないのだ。
「あなたの力はその程度ですか?でしたら終わりにしましょうか。」
「待てぃ!」
辰之助くんの声と共に、紫のスキマが現れ、中から彼が妖刀を振って飛び出てきた。
「あんた……人間じゃ……」
「今それ関係ねぇだろ!それよりこれどう言う状況だよ?」
「あなたは……あの時の……。まぁいいでしょう。私も暇ではありません。今回は引かせてもらいますよ。」
そう言って奴は消えていった。
「なんだったんだあいつ……」
「わからないけど……今は無事で良かったわね。」
「あぁ……そうだな……。にしてもお前……管弦楽部なのにそれなりに戦えんだな。」
「魔理沙うっさい!」
こうして私たちは助かったのであった。
あれから数日が経った。
結局あの男は何者かわからずじまいで、ただただ謎だけが残ったままである。
「ねぇたっつー、あの時妖刀振って出てきたけど、あれあんたのやつ?」
「ん?ああそうだ。あれは多々良小傘に作って貰ったんだが、不思議なことに、魔力だけじゃなくて妖力・霊力まで上乗せできるんだ。」
「ちょっと待って。ちょっと待って!?あんたほんとに人間よね?」
「んあ?そうだが何かあったか?」
「何かあったか?じゃないでしょ!普通人間は魔力しか扱えない筈よ!」
「ああ。これは俺の能力なんだが、『ありとあらゆるものを操る程度の能力』ってやつなんだ。応用すれば空だって飛べるしスキマも操れるぜ。まだ慣れてないけどな。」
「……なんかもう驚くのも疲れてきたわ……」
「おいおい、しっかりしてくれよ。これからもっと驚くことになるかもしれないんだぞ?」
「どういうこと?」
「この前の一件でわかったと思うが、俺は狙われている。多分またどこかで襲われるだろう。だからその時のために鍛えておかなくちゃならない。」「確かに……それもそうね。でもどうやって?」
「それを考えてるところだ。正直全く思いつかない。」
「困ったわね……」
すると突然教室の扉が開かれた。
そこに立っていたのはアリスだった。
「あら、おはよう2人とも。こんなところで何してるのかしら?」
「お前こそどうしたんだよ?」
「あんたのクラス、隣よ?」
「あら失礼。でも話があるの。」
「話?」
「そう。私も一緒に戦いたいと思って。」
「はぁ!?」
「ちょ、あんた何言ってんの!?」
「大丈夫。足手まといにはならないわ。それに、私こう見えても結構強いのよ?母さんからも言われてるわ。」
「神綺が言うなら相当だな。で、能力は?」
「『人形を扱う程度の能力』よ。これでどうかしら?」
「ふむ。まぁ戦力になるかどうかは置いといて、いないよりかはマシだと思う。」
「じゃあ決まりね。よろしくお願いするわ。」
「こちらこそな。」
こうして新たな仲間が加わった。
「一番謎なのは霊夢のねーさんだよなぁ。」
「そうそう。霊力の魔力変換量も常人離れしてるし、陰陽術だけじゃなくて剣術や魔術まで操れるしねぇ。」
「確かになぁ……」
そんなことを言っていると、突如として警報が鳴り響いた。
「お、早速来たみたいだな。行くぞアリス!ルナサ!」
「ええ!」
私達は学校を出て現場に向かった。
「なんじゃこりゃ……」
「酷い有様ね……」
並木道はへし折られ、建屋は潰れ、地面は大きく凹んでいた。そしてその中心には、奴がいた。
「よう。久しぶりだな。」
「ええ。先日振りですね。しかし今日はあなた方を殺しに来た訳ではありません。ですのでご安心を。」
「はっ!そりゃあどうも!」
私は奴に向かって弾幕を放つ。だがやはり避けられてしまう。
「くそっ!なんで当たんねぇ!」
「無駄ですよ。あなた方の攻撃は全て見切っていますので。」
「はっ!上等だよ!」
「私達もいるのを忘れないで欲しいわね。」
「あぁ、すまないな。」
今度はアリスとルナサが同時に攻撃を仕掛けた。
「ふんっ!」
「はぁっ!」
2人の攻撃が奴に直撃した。
「仕上げがまだだったな。」
辰之助が指を鳴らすと、奴はクレーターの壁に幾度もぶつけられ、頭から血を流していた。「ぐっ……!まさかここまでとは……。仕方ありませんね……。」
「なんだ?逃げる気か?」
「いえ。ここは一旦引きましょう。また会える時を待ってますよ。それでは。」
そう言って彼は消えた。
「逃げられたか。まあでも今回はこれで一件落着だな。」
翌朝から、学校の前の道路は復旧工事が始まり、私たちは裏門から入らざるを得なかった。
「はぁ〜。なんでこんなことに……」
「文句言うなって。これも仕事のうちだろ?」
「それはそうだけどさ〜」
「まあ頑張りなさい。応援してるわ。」
「あーい。」
こうして、いつも通りの生活が一旦戻ってきた。ー続くー




