アーサーのソウヤと帰っている時
7月3日はアーサーの誕生日
なのでアーサー視点の話です。
僕――アーサー・ジークフリートは昔から友だちがいなかった。
貴族の端くれでしかないジークフリート家は貴族と余り仲良くできてなかったため貴族の子供たちとは仲良く出来ず平民から貴族は嫌われていたから平民の子供たちとも仲良くできなかったからだ。
という言い訳をずっと心の中で念じ続けて友だちが居ない事を時間が空くから特だと思い込もうと必死になっていた。
友だちと言っていいのかは分からないけど貴族の交流がある子供が九人ぐらいいる。
僕は十人目にしてようやく胸を張って友だちと言える人ができた。
その人の名前はソウヤ。
アリナの紹介にされて初めて会った時にソウヤは僕に自信を持つべきだと言ってくれた時は嬉しかった。
それから迷宮探索に行ったりして交流が増えて今一緒に帰っている。
「ソウヤはどうして棍を選んでいるんだい?」
「アリナの家にある武器を強い順に並べたら一位と二位が棍だったんだよ。新しい武器を買う金がないからずっと棍にしているだけ。」
「剣なら余っているからあげようか?」
「そういうわけにもいかないだろ」
本当にいらない武器が貯まっているけどソウヤに合う強い武器は余り余っていない。
それでも一、二本はあげられるんだけどな。
そういえば僕の部屋の隅にいい物があった気がする。
しばらく放置していたから忘れていたし、もうどっかにいったかもしれない。
それでもあげる物としては丁度いい品だ。
「後でプレゼントをあげるよ」
「プレゼント?貰ってもいいのか?」
「勿論。昔僕が家の倉庫から引っ張り出してきた物だから無くなっても誰も気づかない程度の物だから気にせず受け取ってよ」
「なら有り難く貰おうかな」
珍しくソウヤが物を貰う気になってくれたのは嬉しい。
それからしばらく歩いていると道端に踞っている少年がいた。
「ソウヤ、助けにいこうよ」
「え!?誰を?ああ、あの人か。アーサーは目がいいな」
僕が駆け出すとソウヤも着いてきてくれたから一緒に助けてくれると受け取って踞っている少年に駆け寄る。
「どうかしましたか?」
「お腹が…痛くて…」
「ちょっと待っていてくださいね」
僕は急いで魔力を練り上げる。
「【背負う道は厳しくとも代わりに】《代行》」
痛い。
この少年はこんなにも苦しい思いをしていたんだ。
可哀想に。
「もう大丈夫ですよ。今は痛みが治まりましたが念のために病院に行く事をお薦めします」
「ありがとうございます」
そういって少年は立ち去っていった。
「ソウヤがいてくれて助かったよ。ソウヤが周りの魔力を無くしてくれたお陰で魔法効果が高まったよ」
《代行》は魔力の繋がりが大事になるから他の魔力があると弱まってしまうけどソウヤのお陰で高レベルの繋がりを維持できた。
「俺はなにもしていない」
ソウヤは感謝されるのは好きじゃないのかな?それとも照れ?もしくは何もしていない人間が感謝をされるはのおかしいと思っているのかな。
どんな理由で感謝を断ろうともソウヤのお陰で助かったのは事実だ。
ソウヤはもうちょっと自信を持ってもいい気がするんだけど。
それから少しして僕の家の前についた。
「ここで少し待っていて。すぐ戻ってくるから」
「ああ」
僕は玄関の鍵を開けて家に入ってから急いで自分の部屋に向かう。
僕は部屋に入り次第バッグをベッドの上に投げて部屋の隅に置いてある物を回収した。
どっかいってなくて良かった。
僕は家から出てソウヤに回収した物を渡す。
「収納魔方陣が彫ってある魔石。中に物は入っているけどそれも受け取って」
「ありがとう」
「それじゃあ、じゃあね」
「ああ、じゃあな」
ソウヤは歩いて帰っていった。