ストーカーの獄中生活
ドンッ、ドンッ、ドンッ
ストーカーこと、スコーツ・ネックルは牢屋に入れられてから、休む事なく格子と反対側の壁を蹴り続けている。
「うるさいぞ!お前の処分が決まるまで静かにしていろ!」
見回りの警官がスコーツを怒鳴りつける。このやり取りが行われたのは一度や二度では済まず、見回りの警官は怒鳴っても止めない事くらいは分かっている。
ただ、職務として怒鳴っても誰からも文句を言われる事の無い現状を利用してストレスを発散しているだけだ。
見回りの度に怒鳴られるスコーツはただ、考え事をしているだけであり、考える事に集中し過ぎて周りの音が聞こえていない。そして、考える時の癖として壁を蹴っている。
考え事は夜まで続き、気づいた頃には牢屋の床に冷めた夜ご飯が乗ったトレーと昼ご飯が乗ったトレーが置いてあった。
スコーツはご飯を見て、自分の胃袋に何も入っていないという事にも気づき、床に座ってご飯を食べ始める。今、この場を見回りの警察官が見たら驚いただろうが、驚く事になったのはスコーツが眠りについて食器だけが乗ったトレーを見た時である。
―――
次の日、スコーツは保釈された。スコーツ自身も訳が分からなかった。
「何故保釈されたのですか?」
「俺も知らない」
理解できなかったが、この国のシステムが特殊すぎるというのを考えるとそこまで不思議な話でもないと思った。
実際、保釈の制度も他の国とは違う。他の国では保釈金を支払う事で裁判までの多少の自由を認められ、裁判に出れば保釈金は返されるというものが保釈だが、この国はよほど大きな事件でない限り裁判は行われない。
そこで、裁判が行われない事件でのみ特殊な保釈制度が存在している。警察によって処遇が決められ、刑務所にいられるまでの間まで保釈金を支払う事で自由を手に入れられる。
その金額はどこまでの自由を手に入れるかによって決まる。移動可能範囲の広さと自由な時間の長さに応じて金額が高くなり、同時に返金される金額が減っていく。
この制度は貴族、王族から高い税金を取らないが故の制度だ。取れる所から金を取っておこうという魂胆が見え見えの制度となっている。
そんな制度があるのだが、スコーツの保釈される時間は最大であり、移動可能範囲も最大となっている。最大の金額を払われての保釈となっている。
スコーツは誰がこんな事をしたのかという疑問を捨てて、自分の荷物を受け取ると明らかに自分のバッグの重量が増しているという事に気が付いた。しばらく持っていないというのに気づくレベルで増えている。むしろ、気づかない方が可笑しいほど増えている。
警察署から出て、しばらくしてから荷物の中を確認してみるとバッグの中には大量の札束が入っていた。
自分の親はこんな事をする人物では無い。訳が分からなくなったが、それでもこれから自分がする事は決めた。
これで異端者の吸収《あの人のあの時》の投稿は最後のつもりです。書きたくなったらここに投稿するかもしれませんが、しばらくは本編に集中すると思いますので、多分無いです。




