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大地転移 ~宇宙人に改造され、魔法少女にされかけた俺は、サイキックマインドを内に秘め異世界を突き進む!~  作者: PIAS
第一章 ノスピネル王国編

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第65話 生存確認


 俺達四人がキャンプでとりとめのない話を始めると、教官たちが慌ただしく動き始めた。

 まずはどこに行っていたのか不明だった、女教官のシュフと兵士達が一か所に集められていて、何やら指示を受けていた。


「なんだか、慌ただしくなってきましたね」


「あの魔物は想定外のようでしたから……」


「あんな奴に魔甲機装もなしに襲われたら、他の人はどーしようもなくキケンで危ないわ」


 樹里の奴は、魔物狩りに出て行った連中を心配しているようだ。

 まあ、それもある意味当然の反応だとは思うんだが、俺はあの魔物が人為的なものだと知っているので、不安を抱いたりはしない。


 ……もしかしたら、その事を知らなかったとしても、俺は樹里のように他人を心配する事はなかったかもしれんが。


 そんな事を考えながら教官たちの方を見ていると、指示を出し終わったらしく、二人一組になって兵士や教官たちが森に散らばっていく様子が見える。

 俺の超聴覚でその指示内容も拾っていたんだが、内容は危険な魔物が出没する恐れがあるので、日本人たちを捜索せよ、というものだった。


「皆出ていくみたいですね。他の班の方達を探しに行かれるのでしょうか?」


「……じゃないですか? 笹井さんが言うように、あんなのに襲われたら一溜まりもないですし」


 ……だが少なくともリュースイ教官は、俺ら以外の連中が危険な魔物に襲われる事はまずないと知っているはずだ。

 それでも捜索指示を出したという事は、他の教官や兵士達は裏の事情を知らない可能性が高い。


「みんな無事だといーけど……」


「笹井さん……」


 同じ日本人といえど、この世界に来るまでは赤の他人だった相手に、心配そうな様子の樹里。

 そもそも樹里は、これまでまともに他の日本人と交流も出来ていなかった。


 俺にはそういった、特別親しくもない相手の事を心の底から心配出来る樹里が、不思議に見えてならない。

 例えば、樹里に対して掛ける声が見つからない、といった様子の沙織はどう思っているんだろうか。

 俺と同性であり、樹里たちよりは考えが俺に近いと思われる根本ならどうだ?


 ……根本の場合は、不思議と俺と同じような考えな気がするな。





「…………」


「………………」


 しばし沈黙の時間が続く。


 せっかく話をしようと四人で残ったのに、すっかりしみったれたムードになってしまった。

 誰かが口火を切る事もなく、さりとてこの場を去るでもなく。

 沈黙が続くたびに、重苦しい雰囲気が俺達にのしかかってくる。


 そんな苦行のような時間がどれだけ続いたんだろうか。

 しばらくすると、森に散っていった教官や兵士達がチラホラと帰還し始めた。

 その全てがそうではないが、魔物狩りをしていた日本人も何組か一緒に帰還できたようだ。


「無事帰ってこれたようですね」


「後何人くらい残っているのでしょうか……」


 少なくとも日本人全員が帰還できていないのは明らかだ。

 キャンプに戻って来た兵士や教官たちは、拠点で待機していたリュースイ教官に報告をしていく。


 すでに時間は大分経過していて、そろそろ夕方に差し掛かろうかという頃だ。

 一度拠点に戻って来た兵士達も、互いに捜索した箇所などの情報を共有して、再度森の中へ戻っていく。


 しかし、そうした捜索をすり抜けるかのように、普通にキャンプに戻ってくる日本人パーティーの姿もあった。

 その中の一人の男を見て、若干眉をひそめた樹里が言う。


「フンッ、アイツも無事戻ってこれたようね」


  樹里が若干攻撃的な口調で無事を確認した相手は、ハーレムパーティーを組んでいたチャラ男だ。

 樹里も沙織も、チャラ男には良い感情を抱いていないのは知っている。

 ただ、それでも樹里の表情には、無事でよかったと書いてあった。



 そういった感じで、徐々に日本人たちがキャンプに無事戻り始め、あと戻っていないのは一組だけとなった。


「まーアイツがいれば最悪他の奴らはなんとかなるかもな」


「確かに火神さんは凄いですけど、あんなのに襲われたら流石にヤバイと思いますよ」


 うーん、そうだろうか?

 根本の言うように、最後に残ったパーティーは火神が率いるパーティーだった。

 俺はアイツなら無理さえしなければ、囮になって仲間を逃がす位は出来そうな気はするんだが。


 そんな話をしていると、森の奥から兵士が一人慌てたように駆けてくる。

 その兵士をみて、樹里がまた不安そうな表情を浮かべた。

 兵士達は二人一組で行動していたにも関わらず、一人で、それも慌てた様子で帰ってきたのだ。

 それも仕方ない。


「何かあったようですね……」


「…………」


 再び俺達の間にお通夜モードが訪れる。

 どれ、ちょっと今の兵士の報告を盗み聞きしてみるか。

 先ほどの兵士は、リュースイ教官の所へ一直線に向かっていった。

 やっぱ、あいつがこの現場で一番偉いのか?



『ジルベルト教官! 報告があります!』


 ジルベルト……?

 あのリュースイタイプの黒幕教官の名前か。

 ……まあ、別にアイツが全ての黒幕って訳でもないだろうけど。


『どうしたのだ?』


『ハッ! それが、森を探索しておりましたら怪しい三人組を発見致しまして……』


『三人……組?』


『その内の一人が言うには、異世界人たちを監視していたとの事なのですが……』


『…………それで?』


『あ、ええと、先に報告すべき事を忘れておりました。その三人組は様子が明らかにおかしかったのです』


『どういう事かね?』


『話を聞けた一人はまだ軽傷……といっていいものか分かりませんが、とりあえず話は出来る状態でした。しかし残る二人はその……』


『続けたまえ』


『ハッ、それが、一人はひたすら笑い転げておりまして、話を聞ける状態ではありませんでした。最後の一人は更に酷い状態で、精神的におかしくなってしまったようです』


『…………その症状が軽いという者に名前は尋ねたか?』


『ええと、はい。パラッツォと名乗ってました』


『……そうか。その三人組は今どうしている?』


『私と一緒に捜索していたゴットヘルフが、現場で取り押さえてあります。連れてこようにも、三人のうち二人がまともな状態ではなかったので……』


『分かった、後は私が対応しよう。君には後で道案内を頼みたいが、今は少し休んでおけ。私も教官と話があるのでね』


『了解しました!』


『ああ、それと、この事は他言無用だ。いいね?』


『ハッ!』 



 最後に軍人らしい返事をした兵士が、ジルベルトの元を立ち去っていく。


 ふうむ、あの最後に鬱にさせた彼はパラッツォと言うのか。

 あの三人の中で話が聞けるのは、確かに彼くらいだろうな。


「あ、さっきの兵士が帰って来ましたね」


「ちょっとあたし、話聞いてくる」


「あ、笹井さん……」


 沙織が引き留めるように声を掛けるが、樹里の奴はまっすぐに兵士の元へと走っていく。

 よほど最後に残った火神たちの事が気がかりらしい。


 兵士は俺達とは反対方向へと移動していたので、樹里も慌ててその後を追う。

 が、結局樹里は兵士に話しかける事はなかった。



「あっ。あれは……」


 俺と同じように、兵士の後を追いかけていった樹里を視線で追っていた根本。

 その視線の先、樹里がいる所より更に奥には兵士の姿がある。

 だが、根本が思わず声を上げたのはその更に奥。森の方からキャンプへと戻ってくる、男達の姿が目に入ったためだった。


「全員無事なようだな」


「……のようですね。細田さんはほとんどテントにいないですし、火神さん達が帰ってこなかったら、あのテントで大地さんと二人っきりになる所でした」


「おいおい、根本。嫌そうに言ってるが、俺だってお前と二人きりなんて御免だぞ」


「あ、いえ、別にそういう意味では……」


 先ほどの自分の発言に気づいたのか、慌てて言い繕おうとする根本。

 こいつはほんとこう、八方美人というか、誰にでもいい顔を見せる奴だな。


 まあとにかく、火神達が無事に帰ってこれたのは、兵士の後を追っていた樹里もすぐに気づいたようだった。

 すると樹里はその場でUターンをして、こちらへ戻ってくる。


 その樹里の表情は、ようやく全員の無事を確認出来て安心した顔になっていた。



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