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大地転移 ~宇宙人に改造され、魔法少女にされかけた俺は、サイキックマインドを内に秘め異世界を突き進む!~  作者: PIAS
第一章 ノスピネル王国編

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第26話 ヘイガートリオ


 ダァァンッ! ドオォォォンッ!



 辺りに権助どんの攻撃による爆音が、定期的に発せられる。

 その音の主な発生原因は、拳で殴りつけようと地面を殴りつけた時か、足で踏みつぶそうとした時に地面に接した時のものだ。


 最初は拳による攻撃が多かったのだが、それだと半分サイズの俺相手では中腰にならなければならず、操作がやりにくかったようだ。

 なので、途中からは踏みつぶし攻撃を基本にしかけてきている。


 その間、俺も無策で逃げ回っていた訳ではない。

 権助どんのオツァーガマンサクを"鑑定"にかけて、弱点を探っていたのだ。

 すると、構造的に一番脆くて攻撃しやすいのは、向こう脛の辺りだと判明した。

 よし、それなら……。


 これまで逃げ回っていた俺だが、ここで虚を突いて反転し、接近戦に持ち込む……ように見せる。


「む? そこだべか!」


 そんな真正面から迫る俺に対し、権助どんはこれまで通り右足で俺を踏みつぶそうとしてくる。


 しかしそんな事はミエミエだったので、俺はギリギリ躱せる程度に権助どんのストンピングを躱し、先ほど"鑑定"で調べて判明した弱点部分にクリティカルな突きを放つ。


 魔甲機装は視覚を使用者とリンクし声を伝えたりもするが、基本はパワードスーツのようなものであり、痛みまでを伝える事はない。

 しかし構造的な欠陥を付けば、機装の方が耐える事が出来なくなる。

 すると……、



「な、ななななっ!?」



 権助どんの意思に反して、オツァーガマンサクが膝をついたような態勢に移行していく。

 その動きに合わせ、俺はガクンと下がった頭部のあご部分目掛け、突き上げるようなアッパーを繰り出す。


 俺は会心の一撃を放ったような感覚を覚えると共に、すぐさまその場から立ち去る。

 すると、膝立ちになったオツァーガマンサクが、更にゴロンと前方に倒れていった。



 俺はその状態で少し様子を見る。

 すると少ししてから自然に魔甲機装が解除され始め、そこには地面に倒れた状態の権助どんが現れた。


「なるほど。これがあん時ストレイダー卿がやってた奴か」


 魔甲機装は使用者の周りを魔甲核が覆う事で、外部からの攻撃から身を守る事が出来る。

 しかし、強すぎる攻撃……この場合は"衝撃"を受けてしまった事で、機装は大丈夫でも中の人が耐えられない事がある。


 そして魔甲核は高い位置……頭部から胸部辺りに格納されているので、その辺りをピンポイントで強打すれば、このように無力化もできる訳か。


「あれ、大丈夫なんですか?」


 俺が今の闘いについて考察していると、近くから声が聞こえてきた。

 振り返るとそこには奴がいた。

 そう、根本だ。


 ……って、また根本かよ!


「さ、さあ? 死んではいないようだけど」


「ううん、僕のタンゾーでは人のケガは治せないんですよね」


「いやあれケガっつうか、ただ気絶してるだけだろ」


「……僕も良く見てなかったんですけど、一体何をしたんですか?」


「俺もよく見てなかったんだけど、勝手に権助どんが転んで、勝手に気を失ってたんだよ」


「……へぇ、そうなんですか」


 俺の言ってる事を微塵とも信じていない様子の根本。

 まあ、別にこいつにどう思われようとどうでもいいけどな。


「う、ううぅぅ……。お、おら一体どうしちまったんだべか」


 お、目を覚ましたみたいだな。

 一応声くらい掛けておくか。


「戦闘中に転んで頭を打ったんじゃないか?」


「え、そっただ事になってただか。言われんてみんば、そげな気してきただ」


 おおう、なんという騙され体質なオッサンなんだ。

 詐欺師の恰好の的になりそうだな。


「っつー訳で、お前も訓練に戻ってろよ」


「そうですね。ただあの人は少し休ませた方がいいと思います」


「あー、わかったわかった」


 最後に忠告を残して去っていく根本。

 ただまあ、言ってる事は間違ってないか。

 あんなデカイ魔甲機装を操ってるとはいえ、中身はただのオッサンだしな。


「権助どん、彼の言う通りそこで少し休んだ方がいいですよ」


「ご、ごんすけどん? ……そうだすな。なんか記憶ば少し飛んだよやし」


 あれ? 名前権助じゃなかったかな?

 なんか反応が少しおかしかったけど……。


 そしてそれから十五分くらい、休憩を挟むことになった。

 俺は権助どんと世間話をする趣味はないので、権助どんに断って一人着装して仮想敵訓練を行っていた。

 わずかな時間も無駄にしない、俺のこの姿勢よ!


 その後は復帰した権助どんとの対戦が再開されたのだが、どうもさっきより動きが消極的になってるね。

 俺の方も、余り衝撃を与えすぎちゃうと権助どんにダメージがいっちゃう可能性があったので、結局鬼ごっこのような事を延々と続ける羽目になってしまった。






 こうしてこの日の訓練は終わり、次の日以降も毎回相手を変えての対人戦が行われていく。

 そうした日々が数日続いていくと、日本人たちの間にある傾向が現れ始めた。


「お前とは対戦まだだったよな? お前クラスとタイプは?」


「え、その、ジンガーボーシュ……ですけど」


「え、ジンガーかよ。そりゃあ楽出来そうだぜ、へっへ」



 いつものように訓練場に向かう途中、そんな会話が聞こえてきた。

 話しかけられていた女は……、確か初日のテストでシンガーの在庫がないからってジンガーを割り当てられた女だな。


 男の方はヘイガートリオの一人、か。

 ヘイガートリオってのは、まあ勝手に俺が名付けた名称だけど、意味的には三馬鹿トリオに近いな。

 ヘイガータンゾーを割り当てられた、まんまる眼鏡を除いた三人のヘイガーの使い手。


 その内の一人は先日権助どんを責めていた女で、残り二人の男の内の一人が、今さっき話してた奴だ。

 確か松本敏郎(まつもととしろう)とか言ったっけか。

 それとあと一人、神経質そうな眼鏡をかけた、七三分けの平良純也(たいらじゅんや)という男。


 こいつらはこれまで見た感じだと、ろくな奴らではないという印象だ。




 そして、今日の昼休み。

 いつものように沙織と根本と三人で昼食を取っていたのだが、その時根本が松本の対戦訓練の時の話をした。


「……正直見ていて気分がいいものじゃなかったですね」


 なんでも同じボーシュタイプでも、性能が高いヘイガーボーシュを操る松本が、ジンガーボーシュの女をぼっこぼこにしていたらしい。


「何日か対戦してみて分かったけど、魔甲機装はちょっとやそっと殴られたくらいでは、中の人に身体的な影響はでないんです」


 そこで根本は俺の方へ、ジッと視線向けてくるが……。

 男の視線など知らん知らん!


「……ですけど、攻撃されているという恐怖感は、魔甲機装でも防いではくれません。泣いてやめてと叫んでる彼女を、それはもう楽しそうにあの男は甚振ってましたよ」


「なんとそのような! 止めに入らなかったのですか!?」


「そう言われましてもね……。その時の僕の対戦相手は、あの最強と呼ばれてる、火神剛三の操るオツァーガガムシャーでしたから」


「それなら彼に状況を説明したらいいではないですか!」


「いや、それはしたんですけどね。『弱者は戦に必要無し。あの場から立ち上がれぬようでは、所詮戦場では生きられぬ』みたいな事を言われて、相手にもしてもらえませんでしたよ」


 そいつは随分とアレな考え方だな。

 まあ別に大きく間違ってはいないと思うが、生まれつき強者な奴が発するセリフだろう、それは。



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