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大地転移 ~宇宙人に改造され、魔法少女にされかけた俺は、サイキックマインドを内に秘め異世界を突き進む!~  作者: PIAS
第一章 ノスピネル王国編

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第11話 魔甲機装


『…………何…………だと…………?』



 おおう、なんか魔術士長のじーさんが、ブラックケイプストロベリーのような反応をしているな。


 つうか、もしかして俺が召喚に応じなければ、もしかして三十二人でぴったしカンコンだったのか?

 確かに俺の場合は召喚に応じるというよりも、自分から無理矢理召喚に乗ったみたいな感じだったが……。



 部下の報告を聞いたじーさんは、こちらを険しい目で見ている。

 人数を数えてるっぽいな。


『たし……かに、三十三人おる……。バカな、召喚術のような高度な術は、わずかなミスでも命取りになる。失敗するなら術者の魔力が根こそぎ奪われるだとか、召喚される人間の命がなくなるといったもののハズだ!』


『しかし見ての通り、召喚は成功しているようだが……』


『一見そのように見えるが、この度の召喚は失敗に変わりはない。ただ、召喚そのものは成功したので、用途としては問題なかろう』



 用途、ねえ。

 まあ助けを求める声があったんだから、何か困りごとがあるんだろうが……。


 見れば、二人のむさくるしい男が会話をしている間に、召喚組の一部が騒ぎ始めていたようだ。

 「ここから出せー」だとか、「説明をしろー」だとかギャーギャーと喚いている。

 てかよくこの状況で呑気に騒げるもんだな?


 騎士団長のムキムキのオッサンと、やたらと長い白髭を生やした魔術士長の二人も、とりあえず召喚術に関する話はこれまでにして、俺たちの対処を始めるようだ。


『とにかくライアリー。話は任せたぞ』


『わ、分かったっス。説明はいつも通りでいいんッスよね?』


『それでいい。我らはニホンゴを解さないからな。話が伝わればそれでよい』


 お、今の『ニホンゴ』って部分だけは普通に聞き取れたな。

 まあちょっとアクセントは変だったけど。

 なんて事を思ってると、ライアリーと呼ばれてた奴が円陣のすぐ外まで近づいてきた。


「おう、お前ら! 俺の話をよく聞けぃ!」


 それまでなんかよく分からん言語で話してた奴が、急に日本語を話し始めたことで、円陣の中の日本人たちがライアリーに視線を向ける。


「日本語を話せる方もいるようですね」


「そうですね。……なんか妙にドスの聞いた話し方だけど」


 先ほど背中をさすってくれた大和撫子ちゃんと話をしてる間にも、ライアリーの口上は続いている。


「お前たちは今、我々の支配下にある! ピーチクパーチク騒ぐ奴は、刃物の冷たさを味わう事になるだろう」


「なっ……」


「ちっ、ありゃあやばそうな奴だ」


 ライアリーの恫喝に、先ほどまで騒いでいた連中も大人しくなっている。

 ってかさっき魔術士長と話してた時とは、えらい口調が違うな。


「さて……、お前らは我が『ノスピネル王国』の優秀な魔術士によって、異世界より召喚された。その目的は魔族との闘いに於ける戦力としてである!」


 一方的なライアリーの物言いに、しかし先ほどの脅し文句が効いているのか、表立って非難する奴はいない。


「何言ってやがる! ふざけた事抜かすのもたいがいにしろ!」


 あ……、いや、一人いたみたいね。


「ほう? 口だけは立派だな。ではこれではどうかな?」


 ライアリーが意味ありげに日本で話すと、今度は現地語で何やら話し始める。


『あ、あの。あの男が反抗的なんッスけど、ちょっと魔法で脅しを入れてもらってもいいッスか?』


『あの立ち上がってなにやら喚いている男だな? よかろう。ケアリック、適当なクラスⅠの魔法でも打ち込んでおけ』


『はい、わかりました』


 ケアリックと呼ばれた男が、何やら呪文のようなものを唱えていく。

 俺の耳でも聞き取れないってことは、さっきまで話していた言語とは別ものみたいだな。

 っつか、やっぱあのライアリーって奴は、身内に対してはやたら下手口調をしている。

 日本語に不自由なだけか、俺達を下に見てるかのどちらかだろう。


 やがて呪文を唱え終えたのか、ケアリックは光で出来た矢のようなものを生み出し、それを先ほど喚いた男に投げつけた。


「ぐ、ぐああああああぁぁぁ!」


 光の矢は男の右腿へと突き刺さり、ジジジッっと肉が焼けるような音をさせたかと思うと、消えていった。

 残されたのは、焼けただれた男の右腿と、微かに焼け焦げた臭い。


「ふんっ、これで自分たちの立場を理解できたか? まだ騒ぐ奴がいるなら、順番に先ほどの光の矢をお見舞いしてやろう」


 ライアリーは口調だけでなく、声の質まで日本で話す時には変化するようで、やたらとドスの効いた声で話している。



「あのような仕打ちを平然と行うとは……」


「そうだね。やばいね」


 俺は撫子ちゃんに生返事をしつつも、この光る円陣の解析に取り掛かっていた。

 先ほど外に出ようとした奴らが弾かれていたので、物理的なものを通さない特性があるようだ。


 しかし、先ほどの光の矢が通った事から、魔法ならば通るようだ。

 円陣についても常にチェックしていたので、あの魔法の放たれた瞬間だけ一時的に壁が解除されたとか、性質を変更したとかいう事でもない。

 それならば別に問題はないな。


「では話の続きといこう。まずはこれからお前ら全員に、適正検査を受けてもらう。その検査結果に応じて、お前らには『魔甲機装』が貸与される」


「まこうきそう?」


 聞きなれない言葉に、にわかにざわめきだす日本人たち。


「そう、魔甲機装だ! これこそ我が王国が魔族との闘いに生き残る事が出来ている最大の理由!」


 ふーん。

 名前からして、パワードスーツみたいなもんかねえ。

 けどなんでわざわざそれを俺らに使わせようとするんだ?

 名前に魔ってついてる位だから、魔法の使える連中に使わせた方が良さそうなもんなのに。


「お前たち、日本とかいう国の人間は、時折妙な知識を持っているものはいるが、基本的に戦力としては役に立たないゴミばかりだ。しかし、この魔甲機装があれば、そんなお前らでも歴戦の戦士以上の力を手にすることが出来るのだ!」


 ううん、自分たちで使わないってのは、なんか犠牲を伴うとかなのか?

 長時間使用すると死ぬ、とか。

 いやあ、それにしてもわざわざ異世界から召喚する位なら、そこらの農民にでも使わせた方がいいだろう。


「という訳でだ。いいか? これからお前たちを囲っている結界を解除する。そうしたら反抗せず、俺の後をついてこい。もし反抗した場合、先ほどの愚か者の三倍の苦しみを与えようぞ」


 そこまで言い終えると、ライアリーは俺たち全員を見回す。

 そんなことを言われても、素直に従いたいと思う奴はいないだろうが、脅しが効いているのか、反抗的な声はすでに上がらない。


「なんと非道な……」


 撫子ちゃんも小さくそう呟くだけで精一杯のようだ。

 こうして俺らはライアリーの案内の元、適性検査とやらを受けに、場所を移動する事になった。


 あ、ちなみに俺はいまんとこ大人しく様子をみてる。

 多分、さっきの魔術士の使った魔法を見た感じだと、本気で暴れなくとも多分一分以内に奴らを殲滅できると思う。


 でもまだ状況が掴めてないからな。

 暴れるのは後でもいいだろう。

 召喚時に結ばれた主従契約は、無効化してすでに機能していないから焦る必要もない。


 こうして俺たちの移動した先に待ち構えていたのは、ちょっと想像の範囲外にあるものだった。



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