#3 迷いこんだシーフ
健二は後ろ面のパッケージを読んでいた。
ジャンル欄にアクションRPGとだけ書いてあったのを確認し、プレイすることにした。
ゲーム画面がつくと
new game
とだけ、選択画面がでてきた、。
そのまま開始すると、真っ暗な画面から、どこか悲しげなBGMが流れ始めた。
すると、画面中央にぼんやりと何か文字が出てきているのに気づいた。
「交差する・・世界・・?」
今ではハッキリと黒い背景に、赤文字で[交差する世界]と表示されてあった。
健二はそれをジーッと見つめていた。
健二は段々と視界が狭くなっていくことに気づいた。まぶたが重くなり、眠たくて仕方がないような状態になったのだ。
「なんで急に・・・」
健二がつぶやいた。
体の力が抜けていき、いつのまにかその場に横たわっていた。
まぶたが完全に閉じた時、リビングの方から泣いている声を聞き、そこで意識がプツリと切れた。
のような事が同時刻に、2件も別な所で起こっていたことを健二は知るよしもなかった。
「うぅ・・・」
うめき声を上げ、横たわっている健二がいた。
ハッと、目を覚ました健二はその状態のまま首を左右に動かし辺りを見渡した。
そこには不思議な光景が見えた。
見渡す限りの草原が広がっていたのだ。
地平線の方には、山がズラリと並んでおり、体の右側には他の所とは違っており、草も生えてなく、それが進む道に見えた。
「どうしで僕がこんな所に・・・確か、自分の部屋だ。」
健二が記憶が途切れる前までを一生懸命思いだした。
「それから・・・・ゲーム。そぅ、あのゲームを始めて、文字がでてきて・・・・・・・・僕は寝たのか?」
自問自答を繰り返し、ようやく思いだしてきた。
「そうか!これは夢なんだ!こんなに意識がある夢は初めてだよ。」
健二は嬉しそうに、立ち上がり、もう一度だけ辺りを見渡した。
心の底から何かウズウズしてくるものを抑えきれず、健二は大声で叫び回りだした。
ぐぅぅー
健二の腹が鳴ったのだ。
そう言えば、お昼に食べた、母親の手作り弁当からなにも口に入れていなかった。
夢にも食欲は影響するのだろうかと、不思議にも思った。
「カツ丼!!」
健二が叫んだ。
が、何もでてこなかったし、何も起きなかった。
「あぁ、一般すぎたかな・・・燕のスープ!!!」
もう一度叫んだが、状況は何も変わってはいなかった。
健二は夢の中では自分が考えた事ができると思っていたのだった。
なんらかの力が足りなかったと健二は決めて、近くを歩いてみることにした。
周りには、見渡した感じでは何もないようだが、道らしき道の先に、何やら小さな物が点々とあることに気づいた。
健二は道の先を目指すことにし、歩き始めた-----
----1、2km進むと、そこには小さな家が何軒か集まってできたような小さな村だった。
健二は村の入口らしき所にあった看板を見ると、
[ティバ]
とベンキか何かで書いてあった。
村に入ると、真ん中に広場があり、それを取り囲む用に家が建っていた。
健二は一軒の家に向かった。
ドアの前まで来るとチャイムがなかったので、トントンとノックしてみた。
何秒間か待ってみたが返事はなく中には誰もいないみたいだ。
健二は悪いと思いながらもドアを開け中に入った。健二は興味津々に家の中を見回した。
家にはベッドが1つ端の方には、タンスが2つと本棚が置いてあった。
家とは言えるような所ではなく、倉庫にも思えた。
なにも期待はしていなかったが、少し健二はがっくりした。
「誰だ!?」
家中に低くハッキリとした声が響いた。
健二が驚きドアの方向を振り向くと 、頭にタオルを巻き、鼻と背の高い男性が立っていた。
若干、タオルがたれ目にかかっており、邪魔に思えた。
「あの・・ですね・・す・・・すみません!!」
健二は頭を下げながら謝った。
タオルを巻いた男の顔が一瞬だけ驚いた様子を見せ、不思議な事を言った。
「8人目なのか?」
「え!?あの・・・なにがですか?」
健二は聞き返した。
「職業は泥棒に推薦か!?」
健二と男の会話は全く噛み合っていなかった。