Ⅲ.第13話
自分の身体が自分のものであるという認識は、その身体に自分の意識があるからだろうか。
だとしたら、まさに、意識が身体から飛び出して違う器の中に入り込んだ、そんな感覚だった。
ひとつだけ違和感がある。
これは———?
レストの呼吸は停止したはずだった。
だが、彼女の光は、彼を生まれ変わらせた。
と、同時に彼の左目に輝きを与えた。
初めての視界。
アンバランスだった世界が、ひとつの完全な世界になった感覚。
「どう……?」
不安げな瞳に答える。
「なんだか、不思議だ。言葉に言い表せないほど……」
「あなたが生まれた時から失っていたものは、その左目の光だけじゃないわ」
「あなたの魂に欠けていたもの。それを私がずっと持っていたみたい」
それが何か、彼女は言わない。
「でも、そのためには、失わなければいけなかった。元の身体を———」
彼女は、居た堪れない気持ちで苦しげな表情を浮かべていた。
レストを救うため。
そんなことは一目瞭然だ。
「君は、今のオレの気持ちがわからないから、そんなに苦しんでるんだよ」
彼女の腕を引き寄せ、倒れ込んだ彼女を抱きとめる。
「つまりは、‟サイコー“ってこと」
石こそないが、彼が得たのは冥界の王家の力。
レストにはもう冥界の剣は必要ない。
新生、『D』の誕生。
彼女に会いたい時に会える。
レストは、それが何より嬉しかった。
彼女を両目で見つめることができる。
そこには、より完璧な姿のゼフィアが映っている。
涙を拭うように、そっと唇で触れた。
「レスt……」
言いかけた唇は言葉を続けられなかった。
レストはさらに強く、深く彼女を感じられるように、抱きしめた。
離したくないと訴えるかのように。
永遠は一瞬の連続。
その意味はまだ分からない。
でも、今は『この一瞬』の幸福感に浸っていたい。
ずっと欲していたもの、探していた場所は、地図に載っているどこかではなく、それは、彼女の隣だった。
彼はまた、血の絶えない旅へ出る。
求められるところへ求められる限り。
D
死はいつまでも纏わりつく。
永遠に……
《一先ず……en D》
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