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Ⅱ.第4話 ゼフィア②
なぜレストは、あぁなのだろう。
人間は皆そうだとしても、彼だけは違うと思いたかったのに。
私を見つめる好奇心に満ちた瞳、優しく触れる手。
その全てががこの花のせいなのに、思わず偽りのものだと忘れそうになる。
でも、分かっているからこそ、流されることなく冷静でいられるのも事実。
「ふぅ……」
深いため息がこぼれたのは無意識だった。
こんなもの、使わなければ良かった。
花の香油の入った瓶を手で払おうとしたが、直前で止める。
でも、父を暗殺するまでは彼を繋ぎとめておかなくては。
そのためなら、彼を騙すことも厭わない。
きっと彼はこう言うだろう。
あの無邪気な笑顔で、
「君になら騙されてもいい」と。
知らぬ間にゼフィアは微笑んでいた。
母との約束を強く思い出す。
父の死を見るまでは、他のことに惑わされはしない。
まして、誰かを愛するなんてことには……
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