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蝉の詩
蛍光灯が
チカチカと光り
若干の痛みがあり
網膜に焼き付いてしまう
その焼き付いた残像の不確かさが
宇宙の深淵に似ている気がして
やがてそれが消えるまで
いつ眠ったものかと悩んでいた
エアコンの電源が落ちる
一時間のタイマーが切れたの
カーテンの隙間から淡白な月光
美しさのベールに哀しみを隠すなら
それはそれでいい
構わない
ただ夜が寂しくなるだけ
錆びついてしまうだけだ……
……嵐の季節が過ぎ
乾いた夏の訪れ
蝉の声はまだ聞こえないか
土の底から湧いて出るような声は
まだ聞こえないか