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ついでに
「朝陽のついでに好きといえたら
どれだけ美しいんだろう」
凍りついた日々のあたたかさは
どこにしまったのか
春を待つような侘しさと
責め立ててくるような哀しみが
ひしめいてやまない
「明日のついでに恋を知れたら
どれだけやわらかいんだろう」
禍福転換のしようもない
昏いだけの日々
うまく生きてうまく死んで
それだけを考えている
あたしは人ではない
「あなたのついでに秋を見たら
どれだけ騒がしいんだろう」
心が煩くて耳を塞いでも
きっと欲しい音もすっかり消えて
日々にはなにも残らないのだ
あどけないように苦しみを愛して
それだけで生きていける