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鼓動
廃れた音楽が
いまも心地よく耳にさわる
やわらかな絹のあたし
感慨を狂わせたリズム
いつのまにか
望むものより失いたくないものが
おおくなってしまって
時は必ずまわるように
歯止めをかけることは知らない
もうすこし
きみがわかればきみのことが
大きくなってしまって
知らないバスの
最後部の座席に
おそらく長く居座ったせいで
鮮やかな神様の肖像を
いまにも忘れかけているのだ
――音楽は止まぬ
どれだけの残酷を見せつけようとも
ここで音楽は
きみの鼓動になって