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無題
たぶんコンクリートが冷たすぎるせいで、この街はかじかんでしまう。街灯も、標識も、寂しそうにつっ立って、そういえばいまは季節の狭間だった。だいだい色のひかりが夜道におとされて、あまい寒さに指をこする。
おそらく知らないところで誰かが恋に破れていて、それはあたしにurtoを与えない。残念だけど、夢のない空気。それがどれだけやさしいことなのだろう? 哀しみにあてられない、かえって夜は豊饒たる瞬間になる。
闇は常に温かく、それゆえ光は美しくなりすぎてしまった――許し難く美化されてしまうから、醜いくせに。頼りがいのない皮膚、縋りようのない感度。ずっとこの夜が続いていけばいいのに。でもありきたりな嘘だ。
まだはっきりと熱が残るの。まるで夜は蛹。表層的な蛹。地下深く、マントルが畝り、あたしたちはその頂点で空虚な朝陽を浴びてしかたない。ああ、この街は蛹の嘘でできているの! 二度目の恋はないの。二度目の恋はないの。