目覚め~行動
いつの間にか眠ってしまっていた俺は、どこかのベッドで目が覚めた。どれくらい寝ていたかはさっぱりわからないが、とりあえずこの部屋から出て誰か探して聞こう。
ギィィ⋯⋯
ドアを開けると寝る前に見た風景の場所に、さっきまで話しをしていたお爺さんの姿が見えた。ドアから出てきた俺に気付いたお爺さんは俺と目が合うと、こちらに歩み寄りながら話しかけてくる。
「おぉ、思ったよりも随分と早い目覚めじゃったのぅ。二時間くらいか」
「いや、どれくらい寝てたかはわからないけど、ここはどこであなたは誰なんです?」
「ここに始めてくるやつは皆、同じ事を聞くもんじゃのぅ。ここに来る前に、声と話したろう?」
⋯⋯声? ⋯⋯あ~、あれか! あとから説明してきやがったあの声か!?
「フォフォフォ。思い出したようじゃのぅ。そうじゃ、ここはお前さん達から見れば異世界じゃのぅ。ごくごく稀じゃが、たまにお前さんのようなヤツがくるんじゃ」
「⋯⋯俺の他にもいるんですか?」
同じ環境の人ならば会ってみたい。ここでどんな生活をしているかも気になるし。
「あぁ、おるよ。最初は泣きじゃくるヤツもおれば、新たな生活に胸を弾ませるヤツまでそれぞれじゃがのぅ」
そりゃ素直に受け入れる人だけでは無いだろう。俺精神統一が趣味であった為か、スムーズに受け入れられてはいる。
「⋯⋯でじゃ、お前さんは何を貰った?」
「貰った? なんの事です?」
「おやおや、もう忘れてしまったのかのぅ。お前さんが望んだ物を声がくれたじゃろ?」
「⋯⋯っ! あぁ、あれか。えっと、最強です」
それを伝えた瞬間、今まで穏やかだった爺さんが、残念な奴を見るような哀れみの目を向けてくる。
「はぁ⋯⋯お前さん馬鹿じゃのぅ。そんなもの貰ったら代償がとんでもないじゃろうに⋯⋯。代償はなんじゃった?」
「あ~、なんか誰かを殺したら、俺も死ぬって言われましたね。まぁでもよくよく考えれば、人殺しなんて絶対にしないから関係無いですね」
「はぁ⋯⋯お前さんは何もわかっちゃおらん。そんなんでどうやって暮らすんじゃ。力を貰ったヤツは冒険者と相場が決まっておるんじゃが、お前さんは無理じゃし。頭は良さそうに見えんから商売は無理じゃろう、⋯⋯農家でも始めるか?」
暮らす? 冒険者? 農家? この爺さんは一体何を言ってるんだかさっぱりわからない。説明してくれるなら一から説明をしてほしい。
「⋯⋯すみませんが、何が何やらさっぱりわからないので一から説明をしてもらっていいですか?」
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爺さんの話しをまとめるとこうだ。
・元の世界で死んだ人の一部がこの世界に転生される。
・転生者は、転生したことを誰も隠していないので探せばすぐ見つかる。
・転生される時に能力がもらえるが、貰った能力の大きさによって代償が発生する。
・生きていくためには、何かしらの職業に就かなければならない。
・モンスターがいるこの世界では冒険者が注目されているが、モンスターを殺せないので、俺には無理。
・他の転生者は貰った能力を上手く使って生活しているが、俺は極端すぎて使い物にならない。
・この世界では死ぬとこの場所で復活をするが、復活するたびに所持金の30%が無くなる。手持ちの武器が全て無くなる。
・その為、進んで死ぬ馬鹿はいない。
・お情けで次に誰かが転生してくるまでは、先程の部屋は使っていい。
つまり、俺の強さは無駄な能力で、生活する上で転生者始まって以来の弱者と言うことだ。
話しは一通り聞いたが、自分の目で見て、体験しないことには納得は出来ない。爺さんにはお礼を伝えて、この異世界という場所を探索する事から始める為に、出口へと向かった――――




