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リド・ワールド     作者: あおねこ
全ての始まり
7/33

相性がいい

「よし!ペアは組めたな!それぞれのペアに騎士が一人つくからそのペアの戦闘での役割、戦い方、連携、心構えなどを教わるように!」


相変わらず、大きな声だ、ダーリネル。と字余りの川柳を作ったトウル。周りのペアに続々と騎士がついていく中、自分たちのペアにだけだれも来ないことに勝手に川柳作ってごめんなさいと脳内で謝った。


そんなトウルの願い叶わず、トウルと広瀬の近くにはやけにニヤニヤしているダーリネル以外誰もいない。


「あの、僕たちにつく騎士さんが見当たらないんですけど。ダーリネル団長」

「何言っている?ずっと近くにいるだろ」

「え?まさか...」


隣に目を向けると広瀬も驚いているようだった。そのかわいい顔を見れたことを役得と思いながらダーリネルに目で質問する。


そんなトウルの視線の意味に気付いたからか、それとも関係ないのかダーリネルはトウルの疑問に答える。


「私が君たちの担当騎士だ」


ダーリネルはドヤ顔をした。正直なところうざいと感じるトウルと団長さんに教われるのはラッキーと素直に受け止める広瀬。


「じゃあ早速。君たちの立ち回りについて教えよう!」


そう言ってダーリネルは広場の比較的空いている場所に足を向けた。


「僕、声が大きい人って苦手なんだよなぁ」

「なんかいったか?」

「何も言ってませんよ。ええ、何も」


地獄耳かよと脳内でツッコんだトウルだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「まず、お前らの戦闘時の役割と立ち回りについてだな!」

「あっ、はい」


戦闘と言う言葉に違和感があるのか、頭に?を浮かべている広瀬。だがそんな広瀬に構わずダーリネルは説明を始めた。


「まずお前らの役割だが、一言でいうと『後衛援護型』だな。質問は?」

「とりあえず一から」


広瀬が混乱しているようだから代わりに答えた。


「仕方ないな。後衛援護型とはな、まあそのままの意味だ。陣形の後ろで前衛、中衛で押されているところがないか注意し、実際にピンチなところに支援をする役割だ。この役割が強いと相手はやりにくいぞ。なんたっていくら押しても後ろからの支援で相手を倒すことができなくなってしまうからな」

「なるほど。わかりました。後ろから困っている人を支援すればいいんですね。因みになんで僕らがその仕事を?」


ある程度予想できるが広瀬はわからないだろうから代わりに質問をする。ダーリネルは短く刈りそられた金髪をガリガリ掻きながら答えた。イラついているわけではないのだろう。


「ヒロセについてだが君は光魔法と性魔法、あと聖霊を召喚できるだろう?光魔法は六大属性、わからないか。すまないな。六大属性とは魔法属性の基本の六属性のことだ。炎属性、水属性、風属性、土属性、光属性、闇属性の六つでな。ヒロセの使う光魔法は正確性に優れ、威力も高いが魔法を放つまでに時間と集中力が必要なんだ。だから比較的安全な後衛に向いている」


ほかの魔法属性や聖霊について気になることはたくさんあったが黙って聞くことにした。


「カゲヤマについてはな。投げ師がすでに後衛のロールだし、君の博士というロールも本来は戦闘系のロールではないのだが、頭脳系で最高級のロールなんだ。それこそ伝説の[賢人]の次に性能の高いロールなんだよ。なので戦闘面においても後ろから敵を観察することで弱点を見つけられることや効果的な作戦を素早く思いつくことが期待できる」


説明の時は意外と静かに話すんだなと思いながらダーリネルの話を聞く。ダーリネルはそれにな、と続けた。


「君たちは相性がいいんだ。ヒロセが大規模な魔法を使っている間、飛び道具使いとしては正確性と連射速度が優れているカゲヤマの[投擲]がヒロセを守れる。万が一、前衛と中衛を抜けて襲ってきた敵がいたとしてもヒロセの[聖剣召喚]でカゲヤマを守れる。君たちは相性が非常にいいんだ」

「相性がいい。...非常に...えへへ...」


ダーリネルの言葉に広瀬が顔を赤くしていた。わからないのだろうか。後でかみ砕いて教えてあげようとトウルは考えた。


「とりあえず、ヒロセは私が光魔法を教えてやる。トウルは...投げナイフを支給しよう」

「あれ、僕に教えてくれる人はいないんですか?」

「ああ。投げ師で君に教えられるほどの実力者は恐らく王国内にはいないだろうな。投げ師は戦闘系のロールの中で弱いほうのロールなんだ。先ほども言ったが投げ師の投擲は正確性と連射速度の速さが売り。一定以上の強者になると攻撃力が低すぎて攻撃が入らないんだ」

「えええぇぇ」


非常に残念なことを聞いてしまった。そうなると旅の後半で全く役に立たなくなる,かつて強かった残念なキャラではないか。


かなりあからさまに落ち込んだトウルの様子を見てダーリネルは慌ててフォローしてきた。


「だ、大丈夫だカゲヤマ。王国内では聞かないが連邦のほうで強い投げ師がいるらしい。それこそこの私に匹敵するほどの強者がな」

「ダーリネルさんって強いんですか?雰囲気が一瞬で主人公に追い抜かされるモブキャラみたいな感じですよ」

「ぐはぁあ!」


モブキャラなどの単語は知らないと思うが言いたいことは伝わったのだろう。地面に膝をついている。


「うそ...だろ...?」「団長に膝をつかせた...だと?」「何者なんだ?あいつは」


と周りの騎士は戦慄の眼差しをトウルに向けたが、トウルは構わないことにした。なぜかというとクラスメイトの強い視線を感じたからだ。どうせ、なんでお前が目立っているんだ。あたりだろう。


とりあえず、ダーリネルから聞いた話をいまだに顔を赤くしている(原因はわからない)広瀬に説明することにした。






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