拝啓馬鹿娘
アミダスの花も散り始め、春も終わりを迎える頃になりました。
貴女は元気ですか? 元気ですね。馬鹿ですから。
貴女がアホやってから半年が経ちました。
いきなり 「婚約破棄されるくらいならこっちからしてやるっ!!」 とか言い出して破棄を言い出してきたのは嫌な思い出です。
何が嫌か、簡単です。
事務手続きが面倒くさいんですもの。
だって神殿に保管してある仮契約書を変更・破棄するのに王家の許可と法務大臣の許可と政務次官の許可が必要になり、全ての許可が降りるのがひと月ですからぶっちゃけやってらんないわ。
と言うか、貴女がいつだかの夜会であの阿呆王子と踊ってから一目惚れして、結婚したい! とかしつこく言うから面倒くさくなって婚約まで持ち込んだのですよ。
それなのに今度は婚約破棄。
私は一生分の面倒を短期間で負った気分です。
ですが、良くやった!
これであの阿呆王家との縁続きにならないで済む!
あの阿呆共が歴史を紐解けば大概がろくな事をしないのは子供の頃に教えましたよね? 忘れたとは言わせませんよ。
今では当たり前に我が国でも売られてますが、それまでは隣国の独占状態だった蒸留酒の利権を狙い戦争を仕掛けて無様に負けるわ、当時の大国の王妃が欲しいとほざいて、戦争こそ回避出来たものの莫大な慰謝料を支払うわと挙げていけばキリが無い。
なので古くからの貴族のスタンスは『付かず離れる』
誰だって厄介事が必ず起こる所には近寄らないものです。
毎回妃を選出する会議が極秘裏にありますが、ぶっちゃけ押し付けあいですよ。
あんな見た目だけの張りぼて共に大事な娘を嫁がせてたまりますかっ!!
皆様方がそんな心境で望むので会議というよりもトーナメントバトルに近い状態になります。
勿論敗者が進み、最終的に負けた家が妃を出す。
今回は1回戦で勝ったので、やれ一安心と思っていたら面食いな貴女が引っ掛かってしまい阿鼻叫喚。
旦那様に貴女の一目惚れを告げた途端、白目を剥いて気絶。
すぐさま起きたと思えば、
「なんでそうなった!?」
と屋敷は上へ下への大騒ぎ。
説得しようにも人の話を聞きやしない浮かれお花畑。
結局諦めて生け贄候補の家に人を使いに出せば向こうも向こうで阿鼻叫喚からの狂喜乱舞で話しにならず、後日改めて行かせれば即承諾。
こっちはこっちで阿呆とはいえ王族に嫁ぐ家になったので嫁ぎ支度をしなければならなくなりました。
面倒を顔に出しながら一応間に合わせようと急ぎ、そしてあと数日で挙式という時にあの騒ぎです。
さっさとトンズラした貴女の尻拭いは更に面倒でした。
実に面倒でしたが何とかしました。ええ、何とか。
何人か王系図から消えましたが些細なことです。些細なことです。
阿呆共を思い出して腹が立ちましたが、貴女からの数年ぶりの手紙は嬉しかったです。
どこぞで野垂れ死んでいると思っていましたから。
そうそう、貴女の人生は貴女のものです。
好きに生きなさい、この古めかしく美しい世界を。
それと、孫の顔を見せにいらっしゃい?
性別も知らない孫の為に赤子用品を無駄に買い集めている旦那様の阻止も兼ねて。
最後に一言
誰を攻略したのか教えなさい、私の娘
楽しみに待ってますよ。
貴女の母より
久々に、とはいえ随分前からミジンコの如く書いていたものをぶっちゃけ無理くり書き上げました。
このままではお蔵入りしてしまう。
なので、せめて日の目を見せてやらねばと思いだしました。
文字数も少なく、中身もレタス1枚の厚さもありませんが、それでも読んで頂けたことを感謝致します。
ありがとうございました。