alter
「生クリームは好きですか?」
彼女はそう呟くと、僕の顔に生クリームを投げつけて来た。
咄嗟に避けようとするも避けきれずに肩の部分にべったりと生クリームが付いた。
あまりの出来事に呆気にとられたが、次第に怒りが湧いて来た。
「いきなり何すんだよ」
思わずそう叫んだ。
すると、彼女は再び生クリームを投げようと俺の方に目を向け、こう呟いた。
「生クリーム、この世界での命とも言うべき重要なファクターだよ。さぁ、貴方の力を私に見せて。」
そして、僕の方に向けて、駆け出して来た。
どうすればいいんだ?
生クリームってなんだよ、あの白くて甘い、牛乳から出来たケーキなどの洋菓子に乗っている、あの生クリームの事か?重要なファクターってどういう意味だよ。
そうこうしているうちに、彼女はもう目の前に立っていた。
「たいした事ないね。これで終わりだよ。泡壁の霹靂!」
彼女のその言葉と同時に僕の目の前に大量の生クリームの壁が構成されて、あっという間に囲まれてしまう。
なんとかこの状況を打開しなければ。
本能的にそう感じた。が、体が竦んで、何もできない。
生クリームの壁はそうしている間にも迫り来る。やがて、息が出来ないほど密着し始める。
俺はこのまま訳が解らないまま死ぬのだろうか、そう思った瞬間、俺の身体中にチョコクリームの膜が現れた。そのチョコレートの膜は体中に密着した生クリームをぐんぐんと吸収していき、膨張したかと思うと俺の左手を伝って、俺の体に入り込む。すると、体中にエネルギーが湧き上がってくる。
「なっ、チョコクリーム!?この世界にはもうチョコクリームの使い手は存在しないはずなのに...」
彼女はあからさまに狼狽始めている。これはチャンスだ。
「なんだか、分からないが、今度はこっちの番だ!
カカオドレイン!!」
頭の中に突然浮かんだ言葉を叫ぶ。
すると、地面からカカオ豆が大量に湧き上がり、生クリームの周りに膜を張るようにその表面を埋め尽くし、吸収し始めいつの間にか、チョコレートに変化していた。
「ここは部が悪いわね。逃げなければ、、泡人生成弐」
彼女は生クリームで2体の分身を作り、退却を開始する。
「そうはさせるかぁ、、カカオ解放!」
吸収した生クリームをチョコレートに変えて、自らに装備させる。
生クリームの分身は瞬く間にカカオを含み、チョコレートに変化する。
彼女の生クリームの分身は瞬く間に消え失せた。
「私の分身をこうも簡単に打ち破るなんて...私の負けよ。」
彼女はそう言って、両手を上げ、降参の 意志を示した。
こうして、ひょんなことから俺のカカオマスターへの道は始まったのだった。




