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第99話 vs勇者

いつも誤字報告ありがとうございます


「行ったか」

「あ、セーさん。うん、三人はローデンハルツ王国の王都に向かったよ。バンさんの方はどう?」


 吹き飛ばされたバンさんはセーさんが見ていてくれた。

 砦前の広い空間は戦場となっていたので、吹き飛ばされてきた森の中で負傷したバンさんの容態確認と回復を務めてくれていた。


「うむ、完全回復だの。回復は一番得意部門だ」


 世界樹の精霊だからね。回復は得意だろうね。

 でも、森の中限定だけど移動も一瞬だし、主と言われてただけあった戦闘力も高い。

 高いレベルの高ステータスのなせる業だろうね。


「ところで、この娘は」

「うーん、ハナノエさんはこっちに残るんだって」

「……話してる。それもたくさん」

「セーさんの事? そういえば、セーさんってあまりしゃべらなかったね」

「……初めて声を聞いた」

「お主らは姦しかったからの。儂はそういうのは苦手だ」

「……でも、目は開いてない」


 初めてセーさんの声を聞いたハナノエさんが驚いていたが、最後の言葉はちょっと失礼じゃないかな。


「キズナ様、次は如何いたしましょうか」

「まだまだ元気よー。なにするー?」

「……」


 一回り周囲の確認も終えたイダジュウさんとシルフィーナさんが戻って来た。

 シールダーさんはずっといたけどね。


「今のところは何もないかな。ここにいると色々と詮索されそうなんで、一旦還ってもらおうかな」

「「御意」」

「えー! まだいいじゃないのー。メタスランも帰って来てないし、私はもうちょっと残りたーい!」


 たしかにまだ戻って来てないね。シールダーさんとイダジュウさんは戦場で目立ってたけど、シルフィーナさんは上空高くいて目立ってないし、おっとりした女性だから少しぐらいいてもいいか。

 メタスランと一緒に還ってもらえばいいね。


「わかった。イダジュウさんとシールダーさんは先に還ってもらおうかな。助かったよ、ありがとう」

「「御意」」


 二人は深々とお辞儀をして還って行った。

 いつもなら『また是非喚んでください』的な事を誰しもが言って来るのに、二人は静かに還って行った。不穏な言葉を残して。


 シールダーさんもイダジュウさんも『勇者はまた来ます。負けはしませんが勝てもしませんので退散します』と言っていたのだ。


 スピード自慢のイダジュウさんは相手の攻撃は当たらない。防御力自慢のシールダーさんも相手の攻撃には耐えられるのだろう。

 だけど、攻撃力についてはそれほどでもない。イダジュウさんの一撃はスピード重視だから軽いし、シールダーさんの攻撃は重いが遅い。

 なので、勇者相手には一進一退で対処できるから負けはしないけど勝てもしないって意味なんだと思う。

 二人で組めば行けそうな気はするけど、僕が還れって言っちゃったもんな。


 ま、その情報だけでも有り難い。

 喚んだメインの戦闘の方でも来てくれた成果としては上がってるけど時間は短かった。しかもこっちの都合が終われば還れって、ちょっと我が侭がすぎるよね。


 よく聞く召喚魔法ならそれでもいいんだろうけど、僕の喚んでるのは友達だからね。少しぐらい還元しないといけないよね。

 有用な情報のヒントもくれたし、またすぐに喚んであげよう。



「あー! 君君! こっちでメタルスライム見なかったか!?」


 勇者ワタルだ。

 ホントに来たよ、まだいたんだ。あんたんとこの軍はもう撤退……たぶん全滅したよ? この辺りは砦と付かず離れずの中途半端な距離なんでほとんど人はいないけど、この人ここにいて大丈夫なの?

 砦には守備兵が沢山いるし、追撃して行った兵士もそろそろ戻って来るよ?


「いえ、見てませんが、あなたはここにいて大丈夫なんですか? 敵地だと思うんですけど」

「敵地? 僕には関係ない! 僕はただ暴れられる場所があるからとローデンハルツ王に紹介されただけだ。それより君、メタルスライムを……おぉぉ、なんと美しい……そこの貴女、勇者のパーティに参加されませんか」


 おいおい、自由すぎないか? 暴れられる場所を王に紹介されて来たってだけでローデンハルツ軍の一員確定だろ。

 それをメタルスライムを追いかけて戦線離脱した上にナンパしてるって、本能しかないのか! 僕の知ってる脳筋よりタチ悪いぞ!


「だーれ?」

「勇者ワタルです」

「勇者? ふ~ん」


 もう分かってると思うが、勇者ワタルが口説いてるのは風精霊のシルフィーナさんだ。

 女性に対しては声色が変わるようだ。

 もう一人女性はいるが、ハナノエさんは当然のように眼中に入ってない。

 という事は、美しい…ではなくて、口説きたい女性に対しては声色が変わるって事でいいのかな?

 どっちにしろ、聞いてて気分のいいものではない。


「隣のビヨンド大陸のファール帝国より大使と召還されて来たんだが、どうやら俺が導かれたのは貴女がいたからのようだ」


 う~ん、完全に口説きに入ってるね。気持ち悪い。


「さ、僕と行きましょう!」

「キズナ様~? この人、気持ち悪~い。処分してもいい?」


 いやいや処分って! 排除はしたいけど抹殺って意味じゃなくて放逐だったら賛成するけど、処分は破棄って意味だろ? ダメダメ! 今度は隣の大陸も巻き込んでの戦争になっちゃうって!


「ダメ! 絶対ダメだから! 母さんに面倒事には関わりなさいって言われたけど、自分で面倒事を作っていいわけじゃないから!」

「ほほぉ~? それは聞き捨てならないね。彼女が勇者である俺より強いって言ってんのか?」


 僕の言葉に反応した勇者ワタルが反論してきた。でも、何か落ち着かない様子にも見える。

 視線がシルフィーナさん、僕、僕から少しずれたとこ。そしてまたシルフィーナさん、と順番に三つに視線が移ってる。

 気になるけど、今は先に言い訳だね。


「そんな! 勇者より強い人なんているわけないじゃないですか。大人しくしててって意味ですよ」

「そー…なのか? そんな…ことより、君の名前を……」


 やっぱり勇者ワタルの視線がブレる。まったく集中できてないみたいだ。

 シルフィーナさん三割、僕に一割、残りの六割は僕の後ろに向いてるみたいだ。

 今は勇者ワタルに集中しないといけないと思いつつも、どうしても気になるので魔素を経由した探知で後ろを探ってみた。

 少し集中が分散されて隙ができてしまうが、向こうも集中しきれてない様子なので、その原因を探るべく探知してみた。


「うっほー!」


 後ろにメタスランがいるのは確認できた。予想通りというかお約束というか、さっきまで勇者ワタルはメタスランを見ていたのだろう。

 でも、今の驚きはなんだ? メタスランが何かした?

 後ろではメタスランがジッとしているだけで何の動きも感じられない。

 なのに勇者ワタルの表情が一変し、十割僕の後ろに気が行ってる。しかも一箇所だけでなく、もう目移りが酷い。

 既に僕も、それにシルフィーナさんの事も眼中には無さそうだ。


 さっきは一目散に追いかけて行ったのに、今回はまだその場を動かない。何か作戦でも?


「あー! ダメだ! もうどれだっていい! 選んでる場合じゃねー!」


 くっそ! どうせ魔法は利かねーんだろ! と叫んで、勇者ワタルは僕の横を猛ダッシュで駆け抜けて行った。

 一応、僕も勇者ワタルの攻撃は警戒していたので、彼の動向を目で追う。

 こちらには一切興味が無くなったようで、一目散に僕の後ろの森を目指していた。

 そして、彼が後方に行った時に、森の状況も確認できた。


「ブッ! なんだ~?」

「あは。なにあれ~! うけるんだけど~」


 勇者ワタルが入って行った森には、どんだけいるんだってぐらいメタスランがいたのだ。

 そりゃ僕だって呆気に取られたしシルフィーナさんだって笑ってるけど、勇者ワタルにとってはジッとしてられない状況だったのは理解できた。


「もしかしてセーさんが?」

「ふむ、彼奴あやつがそこのメタルスライムを気に入ってたようなのでな、沢山出してやったのだ」

「出してやったって、セーさんって召喚術が使えたの?」

「そんなもん使えぬわ! あ、いや、使えぬ事はないかの……だがあれは樹の葉を擬態させておるだけだ」


 召喚術、使えたんだ。なんで言い換えたかは知らないけど、僕だって使えるからね。スキル【クロスオーバー】だって召喚術みたいなもんだけど、普通に悪魔召喚や天使召喚も習ったからね。

 そんな僕への対抗意識みたいなもんがあったのかな?


「樹の葉を擬態させてるって…それじゃ、あれを斬っても……」

「ただの素振りだの」


 森の中を奇声なのか爆笑しているのか分からない大声を発しながら嬉々として森の中で剣を振るい、縦横無尽に駆け回る勇者ワタルがそこにいた。

 もうそこらじゅうにセーさんの仕込んだ偽メタルスライムがいるのだ。本物のメタルスライムと思い込んでるんだろうから、勇者ワタルの気持ちも分からなくも無い。

 でも、経験値は非常に高くとも攻略が難しいのがメタル系のスライムだ。

すぐ逃げるし超固い。そんな超固いので有名なメタルスライムが逃げもせず一刀両断されるのは違和感にならないんだろうか。

 ならないんだろうね。もう、口の端から涎を飛ばして大爆笑してるもんな。ちょっと危ない人になってるよ。

 あれで勇者って言っても誰も信じないだろうな。


 因みに勇者ワタルのメタルスライム攻略法の見解は正解だ。

メタルスライムは魔法無効を持ってるので剣で対処するのはいいんだけど、会心の一撃でも無ければ一刀で倒せはしない。

 それなのに、森の中では「会心の一撃の連続だー! それともレベルが上がって一撃でメタルスライムを倒せるようになったか!?」とか能天気な感想を大声で叫んでいる勇者ワタルがいた。


「あれ、どうすればいいかな?」

「放っておけばいいのではないかの。最後に罠を仕掛けておるので、他に被害を出す事もないしの」


 偽メタルスライムを追いかけて行くと、最後に落とし穴がある的な?

 いやいや、偽メタルスライムだけで十分に罠になってると思うよ。

 それなのに、まだ最後に大仕掛けがあるなんて、セーさんって極悪だったんだね。友達になってもらってよかった、よね?

 あんな半狂乱みたいな状態でいる奴なら勇者だろうが魔王だろうが簡単に罠に嵌まりそうだ。その罠が有効かどうかは別だけどね。


「儂の強化にもなるしの、ここは放置で頼む」

「そ、そうなんだ、わかった。じゃ、砦に戻ろうか。ブラッキーさんやホワイティさんにも会いたいし、バンさんも連れて行かないとね」


 自信の強化のためって、よっぽど極悪なユニークスキルを持った奴で無い限り、この大陸じゃセーさんは最強なはずだけど、更に強くなるんだ。意外と強欲な性格だったんだね。

 自分の事は棚に上げて、そんな感想で締めるキズナであった。





11月11日ですね。

何か記念日っぽいので調べてみたら、なんと44個もありました。

でも、くだらないものばかりで、金儲け臭するものばかりでしたね。

ポッキーの日やサッカーの日とか立ち呑みの日あたりまでは『くだらねー』って笑い話だったんですが、串かつ田中の日とかプラズマクラスターの日とかうまい棒の日とか…ワンワンギフトの日って……ギフトいる?

あと『勇者の日』ってのもありました。

11月11日に勇者が何をしたんでしょうね。


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