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第96話 戦地の町へ

いつも誤字報告ありがとうございます。

台風被害にあわれた方々、お見舞い申し上げます。


 フロントラインの町で達成報告をして、ランガンの町には戻らず鉱山の町マインに引き返した。こっちからの方が目的地であるブラッキーさん達のいる場所へ行きやすいからだ。


 樹木龍達についてはあまり心配していない。

 ノスフェラトゥさん達に任せたのもあるけど、五日間はムルムルさん達三人も残ってくれる事になったからだ。

 樹木龍達は本当に大人しい性格なのか、いつもジッとしていて戦う気配すら見せない。ボスである老樹龍にはセーさんが話を通してくれたようで、彼らの群れはここを根城にするようだ。


 樹木龍はデカイし防御力も高いので少々の事では負ける事は無いんだけど、この魔素溜まり周辺の魔物は強いので間違いがあっても困る。

 折角保護したんだから平和に過ごしてほしい。

 その平和を護るのがノスフェラトゥ達吸血鬼なんだけど、彼らもセーさんと対峙した途端、森の制覇を諦めたみたいだ。

 魔素溜まりは魔物にとっては良い環境だ。その場にいるだけで経験値をもらってるようなものだ。

 今後も見張りを続け、魔素溜まりに拠点を構えて魔物を倒し、レベルを上げてセーさんに少しでも近付くために修行を続けると言っていた。


 合わせてムルムルさん達、特にデュラさんが「三日で役に立てる程度には仕上げて見せましょう!」って張り切ってたから、吸血鬼達の実力も上がるんじゃないかな。

 デュラさんってムルムルさん以上のスパルタだって聞いてるけど、吸血鬼達も死ぬ事は無いだろう。

 死なないための修行なんだから死んだら意味無いし、そのあたりはデュラさんもムルムルさんも分かってるよね? ね?


 本来の予定だとランガンの町に戻ろうと思ってたんだけど、一番の目的はセーさんと拠点にできればいいなと思ってただけだから、今は心配なブラッキーさん達のいる国境線に急いで向かいたい。

 隣国との国境線と言っても、全周囲が国境線なので非常に広範囲だ。

 僕達のいるバルバライド王国と隣り合う国は二カ国。その大半が北西側の全域が国境線となるローゼンハルツ王国だ。この大陸でも一番大きな国で、先日獣人達を開放した砦町はローゼンハルツ王国の一番端の町だ。

 あと南側は小国が連なるが、国境線と接しているのはピョージル王国という交易だけで潤ってる国で、魔物も少なくそれに比例して戦力も少ない。


 あと東側は全域森だ。森の向こう側はほぼ人跡未踏と言ってもいい。森の向こう側に海があるなんて人類は知らないのだから。


 ただ、他が森じゃないのかと言われればそうでもない。

 先日行った王都までの道のりも半分以上は山越えだし、当然山の中は森になっている。

 砦町に行った時も山越え&森の中だったし、山が無い魔の森の方が起伏が無くて移動が楽なぐらいだ。魔物がいなければ、だけど。


 そう、この魔物がこちら側は少ないんだ。いても弱い奴だけ。

 恐らく魔素が少ないのが影響してるんだと思う。今回の魔素溜まり争奪戦を見れば、魔物が魔素を好むのが分かる。(これは習ってなかった)

 しかも強い魔物ほど強い魔素を好む。逆に弱い魔物は濃い魔素の場所に行けば、それだけで死んでしまう恐れがある。過剰摂取みたいなもんかな。


 だから、ランガンの町から王都に向かう街道でも魔物には出会わなかったし、森に沿って走っている街道でも魔素が薄いから弱い魔物しか現れない。

 盗賊は魔素に関係ないから出没するが、先日の地龍なんかは完全なるイレギュラーだ。


 で、まずは馬車に乗りたいとゴネるセーさんにお願いして鉱山の町マインに送ってもらい、そこからは仕方なく乗合馬車での移動となった。

 お金はあるんだから馬車を購入してもいいんだけど、使わない時の方が多い。使うのは広い町中か、町と町との移動ぐらいだから。

 森の中には行けないし、街道を移動する時なんてあまり無い。

 だいたい、収納袋があるから手ぶらでいいし、僕とセーさんは走れば馬の何倍も速いからね。


 気持ちは急いてるけど、今更感はある。

 隣国との争いも膠着状態とも聞いてるし、聞いてからでも二日目だ。報告はそれ以上に前だろうし、少しでも早く行きたい気持ちはあるけど、ブラッキーさんもホワイティさんも腕を上げてるしバンさんだっている。

 最悪の事態にはならないだろう。


なので、のんびりとセーさんと一緒に乗合馬車に揺られているんだけど、遅いし他に客もいない。

 そりゃそうでしょう! 好き好んで争いの火種に向かう人なんていない。

 この乗合馬車だって、最後の便らしい。当分は運行停止するそうだ。


 僕からすると、既に運行停止してくれてればよかったのにって思う。

 そうすれば走って行けたのに。

 セーさんは満足して瞑想してるよ。起きてるか眠ってるか分からないけどね。目が開いてるか開いてないかも分からないけど、開いてたら逆に怖い。

 一点を見つめながら長時間身動き一つしないって、やっぱり怖いよ。


 移動には五日掛かる。途中で戦火が大きくなってれば、そこから引き返すかもしれないとは言われている。

 そうなってくれれば走って行けるけど、そうなってるとなるとブラッキーさん達がもっと心配になる。

 このまま大人しくしてるしかないね。


 途中、ちびっ子妖精を順番に喚び出して、暇を潰しながら五日の旅程を終えた。

 主にポーション系を作って暇を潰してたよ。だって、薬草なんて採取に行かなくていいんだ。

 ぜーんぶセーさんが出してくれる。

 縄張りの森でなくとも、それぐらいはできるんだって。

 さすが世界樹の精霊だね。


 ちびっ子達も世界が違うからか、セーさんが精霊だと分かってても物怖じせず普通に話してたよ。挨拶だけだけどね。

 だってセーさんってばすぐに瞑想に入るんだから。

 ただ、朝昼晩の食事だけは欠かさず手伝ってくれたよ。主に素材の面で。

 セーさんって小食だけど素材に拘りがあって、肉も野菜も食うけど、一度不味いと思ったら調理法を変えても絶対口にしないんだ。


 僕が作った料理だから失敗は無いんだけど、素材はセーさんが用意してくれたものを使うからあまり美味しくないものができる事がある。

 素材の味だったり組み合わせだったり。

 一応、調味料で誤魔化しはするんだけど、口の肥えてきたセーさんには通じなかった。


 だって、セロリなんて、生でも火を通してもセロリの味がするし、またそれがよかったりするんだけど、セロリはセロリだ。

 茗荷もそうだよね。あんなののレシピなんて知らないし。何かの薬味としてしか使った事ないし。

 そんなのを料理しろって言われてもできないって!


 肉でも野菜でも食べるセーさんだったけど、ギョウザやハンバーグみたいなミンチ肉と野菜を混ぜてるものが一番のお好みみたいだ。

 ミンチ肉さえ作れば、後は火加減次第で楽な料理だから僕としても否は無いよ。セーさんは量も食べないしね。

 得したのは御者さんだな。一番食ってたよ。

 初めは戦地に向かう便だからってビビってた御者さんだったけど、最後は名残惜しそうにしてたからね。僕達の帰りの便まで待つとか言って。

 帰りの日程もわからないし、そもそも来た町に帰るとも限らない。王都に行くかもしれないしね。

 それに、帰りの便は大勢の客がいたみたいで、すぐ様出発して行ったよ。残念だったね、御者さん。


「さて、どっちだろ。セーさん分かる?」

「ふむ……ここは石と火が多いので分からんの」


 縄張りで無くとも樹の多い場所なら僕の探知より正確で早くて範囲の広いセーさんだけど、この町では分からないみたいだ。

 植物の頂点とも言われる世界樹の精霊だからね。転移まではできないようだけど、状況確認は樹が多い場所ならできるみたいだ。

 因みにこの環境はセーさんの強さにも影響してやや弱体化させるが、ノスフェラトゥさんにもムルムルさんにも負けるほどでは無いと言っていた。

 苦手ステージでも関係ないほどの実力差なんだって。


「じゃあ、聞いて回るしかないね」

「すまんの」

「ぜんぜん! こんなんでセーさんの価値が下がるなんてないから! 誰かに聞けばすぐに分かる事だしね」


 珍しくすまなそうにセーさんがするので、強めにフォローしてあげた。


「キズナは優しいんだの」

「普通だよ、普通」


 それから道行く人に聞いたら一人目ですぐに分かった。やっぱり誰でも知ってたみたいだ。

 防衛線は僕達が入門して来た反対側で、一般人は立ち入り禁止区域になってるそうだ。

 でも、僕達なら関係ないね。

 だってブラッキーさんとは元パーティ仲間だし、なんせ僕はSランカーだ。応援に来たと言えば入れてくれるんじゃないかな。


 で、アポなしで門番のところに行ったわけだが、当然の如く門前払いにあった。

 一応、冒険者カードも出してみたんだけど効果は無かった。

 冒険者だと逆に何かの依頼で味方に被害があったら困るという理由らしい。


 確かに敵の間者だったり、派閥違いで足を引っ張ろうとしてる貴族や軍属がいるかもしれないからね。

 当然と言えば当然だろうけど、ちょっと考えが甘かったみたいだ。


 でも、門番さんは親切な人みたいで、一つアドバイスをくれた。

 冒険者ギルドに行って紹介状でも貰ってくれば入れないことも無いと。


 いつもだったら冒険者ギルドには真っ先に寄るのに、今回は気が急いていたせいで忘れてた。

 確かにそうだよ、冒険者ギルドが先だったよ。


 僕達なら、入って来た門から外壁沿いにグルリと回って行けなくもないけど、それこそ敵認定されかねないので素直に冒険者ギルドへと向かった。



 冒険者ギルドの中は雑然としていた。

 臨時のパーティを組むために募集の声があちこちから上がっている。

 既に二〇人近く集めている者もいれば、未だに三~六人単位で固まっている者もいる。

 どうやら彼らは戦地である西側の門に向かう者と、町から脱出のためにパーティを組む者に分かれているみたいだ。

 そんな中でも依頼ボードの前で陣取って、依頼を請けようとする者もいる。


「むぅ、キズナよ。儂にはちとキツい場所だの」

「セーさんは人が多いところは苦手だっけ?」

「ふむ、別に多いのが苦手なわけではないが、統一性の無い感情が多くある場所は遠慮したいの」


 あー、人は自分の欲望に忠実なところがあるからね。そんなのが集団でいて、しかも統一性が無いとなると世界樹の精霊であるセーさんなら苦手かも。

 世界樹に集まる者って、皆世界樹を崇拝するような部分があるし、森の魔物だって自分の食欲や縄張りの事しか考えてないからね。

 人って色んな事を自分に都合のいいように考える所があるし、そんなのが集団でいたらセーさんも困惑するか。


「じゃあ、外で待っててもいいよ。僕が行って来るから」

「すまんの」

「いいっていいって、確認してくるだけだから」


 セーさんには外で待っててもらうように言って、僕だけ受付に向かう。

 これだけ人がいるのに、意外と受付に並んでいる人は少ない。皆、募集や今後の行動の話し合いに忙しいようだ。


「すいません」


 そう待たずに順番が回ってきた。


「はい、なんでしょうか」

「戦地に入りたいんですけど、冒険者ギルドから紹介状を貰って来いって言われたんで来ました。ここで紹介状を貰えるんですか?」

「えーと、はい、確かにそうなのですが、一人では難しいと思います。Cランクで十人、Dランクで三〇人以上のパーティを組んで頂かないと受け付けられません」


 Eランク以下は受付もしてないそうだ。

 結構、高水準な募集要項に思えるけど、有象無象がバラバラに動かれると戦場が混乱するだろうから分からなくもない。

 でも、この募集内容ならSランクだと一人でも良さそうな感じはする。

 なので、冒険者カードを出してみた。


「……!!」

「このランクだと何人ですか? もう一人いるんですけど二人じゃダメでしょうか」

「!! Sランクが二人!」


 いやいや、セーさんは最近冒険者になったところだからまだランクは高くない。

 枝の鑑定具のお陰でCランクスタートだけど、少なくともAランクの実力はあるだろうね。でも、ランクはCランクでSランクじゃない。

 それを正そうとしたら、ふいに後ろから声を掛けられた。


「……やっと見つけた」

「え?」


言い訳ですが、土曜日は台風対応、日曜日は町内運動会(主に裏方)でヘトヘトで何もする気が起こりませんでした。

月曜投稿できなくて申し訳ありません。

実は今週末もイベント盛り沢山でどうなることか……

平日に少しでも書いていかねば。


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