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第93話 森の依頼

いつも誤字報告ありがとうございます。


 翌朝の朝食も用意しようとしたが、商人から振舞われた。

 やはり値切りすぎて悪いと思ったのか、商人の手持ちの食材を他の人達で割り勘で買い取って料理をしてくれたものを振舞ってくれた。

 他の人達も便乗して同じ物を食べていた。

 これって商人も割り勘の中に入ってるんだろうけど、得したのは商人だけだね。


 味の方は大して美味しくなかった。普通だけど、あえてどちらかというと不味い部類に入ると思う。

セーさんも「あまり美味しいとは思えんな」と言いつつも、満足はしていたようだ。

 料理を食べるっていう行為が満足の要因みたいだ。


 集落を出発してからも一緒にいた冒険者が同道して護衛を務めてくれている。

 十五歳で“少し”背が低めの僕と初老のセーさんの二人だと頼りなく見えるんだろうね。

 護衛してくれるのは食事のお礼も込みみたいだし、気持ちなら有り難く甘えるしかない。

 でも、更に暇になる僕にとっては苦痛なんだけどな。


 因みにセーさんの正体はここまでバレてない。

 今回の夜営もそうだけど、町でもバレてない。

 セーさんとは友達になったけど、名付けはしてないので僕の従者というわけではないし力も分け与えてない。

 という事は目は赤いままなのだ。

 

 それなのに何故バレてないのかというと、セーさんは糸目だったのだ!

 ホント、目を開けてるかどうか分からないぐらいの糸目。さっきも、瞑想してるのか考え事をしてるのか、それとも寝てるのか全く分からない糸目なんだ。


 なら何故僕には分かったのかというと、初めはあんな場所にいる奴は絶対に魔物だろうと思って近寄っていた。魔物で無くとも、人間では無い上位の何かだと。

 で、近寄って見つかって「何の用だ」と言われ正面に立った時に、何に驚いたのかセーさんの両目が大きく開いたんだよ。後にも先にも目が開いたのはあの時だけだけど、真っ赤な目をしていたよ。

 その時はそれが普通の目だと思ってたんだけど、あれ以来開いた目を見てはいない。


 それと、セーさんって意外と面倒見がいい。

 お節介焼きと言ってもいいぐらい面倒見がいい。

 夜営での食事の件もそうだけど、いつも周囲に気を配っていて、昨夜も魔物の見張りをそれとなくやってたからね。

 一応、当番はいたけど、セーさんが先に対処してるから平和なもんだったよ。

 実際、セーさんって昨夜は寝てないと思う。というか、セーさんって世界樹の精霊だから寝なくてもいいのかもしれないね。



 道中も護衛はいたけど、縄張りでもある森でセーさんが遅れを取るはずもなく、魔物はセーさんが対処して何事も無く日が暮れる前にフロントラインの町に着き、冒険者ギルドに立ち寄った後、宿を取った。

 食事は冒険者ギルドも宿も関係ない、食事もできる酒場に行き済ませた。ま、普通の範囲の味だったよ。セーさんも満足はしていたみたいだけど、「美味いとは思えんな」って言ってた。少し舌が肥えてきたのかもしれない。

 だけど、ここでセーさんが酒を覚えた。

 「あの者達はえらくはしゃいでるようだが何かいい事があったのか」と聞かれたので、「酒を飲んでるからだよ」って答えるとセーさんも酒にチャレンジして、そして嵌まった。


 長飯のセーさんの食事時間が更に長くなってしまった。

 僕としても他のお客さんの情報が聞けて退屈はしなかったんだけど、本当にじっくり味わうタイプなんだね。

 一杯のエールに小一時間掛かってたよ。

 世界樹の精霊だからか、何をするにしても気長にやるよね。食材集めや戦闘に関しては素早いのにね。



 翌日、冒険者ギルドの仕事に興味を持ったセーさんに依頼の説明をするために依頼を受ける事にした。

 というのも、酒場や食堂でお金を支払う僕を見て、お金があると飯が食えると学んだようだ。

 どこで稼げるのか、となって稼ぐ方法を教えると、儂も稼ぐぞと言い出した結果だ。

 セーさんなら薬草の素材集めで十分稼げるだろうから冒険者ギルドは合ってるのかな?

 それだとランガンの町の方が向いてると思うけど、まずはお試しもあってフロントラインの町で依頼を受ける事にした。

 思い立ったら辛抱できないんだから仕方が無い。僕も付き合う事にした。


「セーさん、この町の依頼に薬草採取が無いよ。やっぱりランガンの町で受ける? 途中で薬草を集めれば町に入ってすぐに依頼達成になるよ?」

「別に薬草に拘らなくともよいだろう。森の事なら討伐でも問題ない。キズナのお勧めはどれかの?」


 僕のお勧めを聞かれても、僕はSランクだからどれでも受けてもいいってわけじゃないんだよ。

 しかもお金は稼いでる。それはセーさんだって同じだ。例のレベルを測る枝で白金貨十枚を貰ってるんだ。十分お金持ちの部類に入ってるよ。


 鉱山の町マインの冒険者ギルドでは、結局冒険者カードに振り込まず僕が預かってるからセーさんは今お金持ちなんだよ。態々ここで依頼を受ける必要はないんだけどな。


「どれでもいいんだけど、僕のランクから言うとどれが受けれるんだろ。低ランクのものでも付き添いならいいのかな? ちょっと聞いてくるよ」


 セーさんは水晶玉を破裂させたのと、鑑定の魔道具のお陰でCランクスタートだけど、それでも僕のランクとは差がある。

 一緒に行動するだけだからいいとは思うんだけど、そのあたりのルールが分からないので受付で聞いてみた。


「すいません。ギルドマスターのビリーさんと話したいんですけど」

「は? ギルマスですか? 何の御用でしょうか」


 受付でビリーさんとの面会を希望したら凄く白い目で見られた。返事も粗雑な感じだ。

 たぶん、いやかなりの高確率で駆け出し冒険者が何言ってるんだって感じなんだと思う。

 中々のテンプレだな。本拠地じゃないから知り合いもいないし、こういうのって久し振りかもしれない。

 ここはひとつ冒険者カードを見せて驚かせるしかないな。


「おいっ!」

「えっ!?」

「ここで何しようとしてるのかな? 君は。君はこちらへ強制移動だよ」

「え? え?」


 冒険者カードを出そうとしたら、いきなり首根っこを摘まれて強制移動させられた。

 犯人はお目当てのビリーさんだった。

 ビリーさんは受付嬢に心配しないでって声を掛けて僕をぶら下げたまま奥へと戻って行った。

 そのままマスタールームに連れて行かれ、ソファにポイってされた。


「受付を脅して嬉しいのかな?」

「脅してって、まだ驚かせてもいませんけど」

「脅す気はあったよね?」

「脅すなんて無いですよ。脅かす気はありましたけど……」


 驚かせる気はあったけど脅す気なんてない。『脅す』と『脅かす』、振り仮名違いで大違いだ。


「まぁいい。で? Sランク冒険者が何しに来たのかな?」


 前回来た時同様のイケメン口調で尋ねてくるけど、目は全く笑ってない。さっきまで僅かにあった微笑も今は無くなっている。

 ……怖い。ここは正直に答えなくては。


「あ、はい。最近パーティを組みなおしたんで依頼を受けてみようかと」

「パーティ? そういやキズナ、だったね。王女のとこ首になったらしいね。で、次はどこの王子と手を組んだのかな?」

「ク、クビじゃないですよ! みんなの方向性が違っただけです! ブラッキーさんは目標を達成したからだし、ホワイティさんは元々巻き込まれただけのようですし、もう一人は…その、自由な人なんで」


 バンさんって僕の従者のはずなんだけどな。自由だよね。

 でも、前に来た時のビリーさんとイメージが違うよね。もっと爽やかイケメン系な印象だったんだけど、今は爽やかさは無い。

 冒険者ギルドの支部の長だから厳しい人だろうなのは想像がつくけど、前回はラピリカさんにやり込められていて、今の姿は想像できなかった。

 軽い感じの口調は変わらないけどズバズバ来るよ。


「でもキズナと組めるほどの奴なんだろ? 普通じゃないよな?」

「……ええ、まぁ」

「強いのか?」

「そこそこはやりますね」

「へぇ、キズナが言うそこそこだったら仕事はある。これだね」


 と、一枚の依頼書を差し出された。

 そういや、この人ってどさくさ紛れに盗賊退治を依頼して来たっけ。

 そんな人の出す依頼って面倒な予感しかしないんだけど。

 でも、面倒事は率先して受け入れろって母さんにも言われてるし、ここは受けるべきなんだろうね。


「それともう一つ。これは元メンバーにも関わる事だから断らないよね?」

「え!? 元メンバーって誰の事ですか? ブラッキーさんですか? ホワイティさんですか?」


 喧嘩別れじゃないみたいだしね、と嘯くビリーさんだったが、僕にはそんなビリーさんの態度よりも内容の方が気になる。

 バンさんが関わってるなら荒事系だろうから、自分で何とかすると思う。

 依頼書には目も通さず、気になる話題を先に尋ねた。


「何があったんですか?」

「依頼書を見れば早いんだけど、要点だけ言うと、隣国との国境でブラッキー王女を旗頭に、聖女ホワイティが拠点で王女のサポート役と救護所を仕切り、『大剣暴風』のバンに至っては大暴れして活躍してるって話が届いてるんだ」


 なにそれ!? 僕が森の探索してる間にそんな事になってたの?

 それにブラッキーさんの王女は分かるけど、ホワイティさんが聖女? バンさんの異名って・・・ぷっ、誰が付けたの? ぷぷぷ、笑っていい?


「なにかおかしい?」

「いえ、おかしくはないです。でも、僕の知らない間にそんな事になってるとは」

「で、どうする? 王女の方は今のところ『大剣暴風』の活躍で押してるようだけど、元メンバーとしては心配だよね? こっちの案件も急いでるんで先にお願いしたいんだけどどうかな?」


 確かに凄く気にはなる。でも、『大剣暴風』(笑)の活躍で状況が安定してるのならこっちを優先してもいいのかもしれない。

 こっちの案件がどれぐらい時間が掛かるかにもよるけどね。

 そう思って依頼書に目を通す。


『樹木龍の討伐依頼』

 フロントラインの町より十キロ付近に樹木龍の巣が確認された。

 巣には十体以上の樹木龍が確認されている。ボスと思しい巨体も確認された。

 巣の殲滅が望ましいが、できる限り多くの樹木龍を討伐。

 討伐部位は角。素材は全て買い取る。

 討伐報酬は一体につき白金貨十枚。


「樹木龍ですか。でも、樹木龍って確かに地龍や火龍に比べて巨体ですけど人には関わらない龍だったと思うんですけど」

「たしかにそうだね。でも、巣を作った樹木龍は群れで行動するケースが多いんだ。樹木龍自体は意識して無いんだろうけど、群れで移動する場合でも、そこに町がある事なんて奴らは気にしてないからね」


 あーなるほど。町も森も同じ扱いであの巨体で踏み潰されたら町は壊滅しちゃうか。


「この町のエースが巣を見ただけで戻って来たぐらいなんだ。そこそこ高ランクの無謀な冒険者は何組もやられちゃったしね」


 確か、冒険者カードで生存の有無を確認できるんだっけ。

 という事は、既に樹木龍とは一戦交えてるんだろうから、人間は敵認定されちゃったか。

 どちらかというと温厚な性格の樹木龍も、敵認定すると見つかっただけで向かって来るからな。

 元々この世界の魔物って龍や精霊でも好戦的だからね。


「状況の確認をしてみてからの判断でもいいですか?」


 どの程度時間が掛かるか分からないからな。


「本当は討伐してほしいけど、詳細な情報が分かるだけでも助かるよ。キズナはここを拠点にしてる冒険者じゃないけどSランクだから他の町でも活動しないといけない義務があるだろ? ここでの成績は大いに評価されるよ?」


 そういうのがあったね。でも、ブラッキーさん達の事を聞いた後だから時間が掛かるようだと遠慮したいかな。

 先にブラッキーさん達の状況を見て来たいし。


「樹木龍か。倒せばいいのか?」

「セーさん?」


 これまで沈黙を護っていたセーさんが口を開いた。

 というか、聞いてる振りして寝てると思ってた。

 糸目だから分かんないんだよ!


「おお! 受けてくれるんだね! 助かるよ!」

「セーさん?」

「樹木龍には言い聞かせておったのだがな」


 どゆこと?


「人里には近付かぬよう言い聞かせておったのだが、何か異変があったのかもしれん。長殿、討伐しなくとも巣を無くせばいいのだろ?」

「言い聞かせてって意味がわかんないんだけど、巣を排除してくれればいいよ。巣が近くにある事が一番の脅威だからね。いつ襲われるかわかんないし。だから巣が無くなるのが一番だけど、樹木龍が付近から姿を消すのが前提だよ?」

「委細承知した」


 こうして依頼を請ける事になってしまったけど、セーさんが何とかしてくれそうだ。

 改めて時間が掛かるようなら後回しにしていいって確認だけして依頼を請けた。

 期限は無いみたいだけど、先に誰かが依頼を達成してしまうと僕達は依頼失敗になると釘は刺されたけどね。

 でも、討伐できる人がいないのでこっちにお鉢が回ってきたぐらいだから大丈夫でしょ。


いや~、久し振りにDQ5をやってみて没頭してしまいました。

迷わずフローラ選択です。ビアンカいつもごめん。

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