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第90話 初めての友達?

いつも誤字報告ありがとうございます


 ジョアンを『クロスオーバー』へ還した後、目的の魔素溜まりへ向かいながら思った。

 『一人で大丈夫かな?』と。

 ジョアン曰く、僕なら余裕で勝てると言ってたけど、ジョアンだって直接相手を見たわけじゃない。ジョアンを疑いたくは無いけど、ジョアンとの内包する魔力量を比較するしても歴然とした差がある。

 僕と比べると……自分の内在する魔力量って意外と分からないんだよね。

 だって、魔力操作をしても終わりが分からないんだよ。


 念のためも兼ねて、先ほど苦労の末に修得した【鑑定】魔法で確認した。



名前:キズナ・サカイ ♂

種族:人族(???)

職業ジョブ:スライム戦士

レベル:902

武技:全般

魔法適正:全般

技能スキル:トレジャーハンター、レンジャー、錬金術全般、鍛冶全般、家事全般、HP・MP自動回復(特大)、全状態異常耐性(特大)、身体能力上昇(大)、熱変動耐性(特大)

HP:380000000 MP:58000000000

STR(体力):33000000

ATK(攻撃力):41000000(+α)

DEF(防御力):27000000(+α)

INT(知力:魔攻):220000000(+α)

AGL(敏捷性):180000000(+α)

MPR(魔防):110000000(+α)

称号:マリアの愛息、皇太子、アイドル

加護:マリアの加護



 前にも違和感があったんだけど、【クロスオーバー】と【合体ユニオン】が無いんだよ。その二つってどの項目に入るんだろ。

 一番怪しいのは母さんの加護【マリアの加護】なんだけどな。

 数字は大きいな。その分大雑把な感じだ。これは僕の【鑑定】能力がまだ不足してるんだと思う。詳細を見るにはまだ熟練度が足りないってとこかな。

 ま、この方が分かりやすくていいけど。

 他も全般とか大まかになってるのもあるけど、(+α)って……雑すぎない? 装備品の効果とかだろ? 【鑑定】の錬度が上がると詳細も分かるのかな?

 称号に『皇太子』ってある。これは前見た時もあったと思うけど、ジョアンはこれを見て次期王とか言ってたのかもな。


 もう全部の数値の桁がね……

 比較対象は以前測った僕達だけど、あの時でもブラッキーさんやホワイティさんが三桁でバンさんでさえ四桁だった。僕でさえHPが六桁でMPが八桁だった。

 増えすぎじゃね? 僕の相手ができる人っているの? 因みにジョアンは平均が四桁後半だった。バンさんよりは強かったよ。


 で、目的地の相手は、ジョアンと比較して三〇倍ぐらいな感じ。四〇倍までは無いと思う。

 多く見積もってもステータスも六桁平均かな。よほど特殊な能力を隠し持ってない限り問題無さそうに思う。

 だって僕のステータスは相手の倍どころの話じゃないからね。



 出来る限り音を立てずに近くまで来た。

 スキル【隠密】ってほどじゃないけど、僕だって隠密行動は得意な方だ。

 みんなでかくれんぼをしても最後まで見つからなかった事は何度もあった。だからちょっと自信はあったんだけど、相手の一番近くの樹の陰に来たら早速声を掛けられてしまった。


「何の用だ」


 渋く低い声だった。声楽家で言うバスの声域だ。少し皺がれていてより味を出している。

 見つかったのなら仕方が無い。観念してゆっくり樹の陰から出た。

 魔素溜まりの中心にいたのは人型の魔物だった。

 初老の男性で背も一七〇前後で細身の体形だ。

 見た目はしょぼく弱そうなシルエットだけど、赤く鋭く光る眼光がそういった印象を全て打ち消していて、強者だとひと目でわかる雰囲気を纏っていた。

 身体から漏れ出る黒い蒸気――――魔力も、この世界で今まで見た魔物の中では突出していた。


 早速、【鑑定】魔法を使ってみた。

 一応、バレないように話しかけながらだけど。


「凄いですね。これでも隠れるのは得意な方なんですけど」

「ふん。それだけ巨大な魔力を隠さずにどの口が言う。儂に何か用か」


 おお! この魔物爺さんも相手の魔力が分かるんだ。しかも話が出来てる。

 目は……赤いけど、理性があるんなら友達になれるんじゃない?


「用は特にないんです。どんな人がいるんだろうって興味があったから来ただけなんですけど、話せる人でよかったです」

「興味本位だけと? そのような用向きでこの地域まで来たと?」

「そうだよ」

「……っぷ、くっくっくっく、あーはっはっはっはっはー! そうか、興味本位のみで来たか。脆弱なる者なら存在すら許されぬ欝然うつぜんたるこの森一の魔素溜まりに興味本位でとはの! して、興味本位で来てみてどうだった。その場には儂がおったがどうしようと考えておる。戦うか? 到底戦いになるとは思えぬぞ?」


 お? 意外と話が分かる人? やっぱり目は赤いけど、ここまで話ができる魔物ってノスフェラトゥさん以来じゃない?


「戦いたいんですか?」

「そうだな、手なりよな。とは言えども、其方そなたのように話しかけられたのは皆無だがな」


 全て有無を言わさず戦ったと。

 この世界だとそうなんだろうな。


「して、其方そなたの望みはなんだ?」

「はい、あなたのような話のできる人を探してまして、友達になれたらと思ってるんですけど」

「友達とな! ぷぁーはっはっはっは! このように何度も笑ったのはいつ以来か。あいわかった、友にでも下僕しもべにでも何でもなろうではないか」

「い、いえ、下僕しもべは間に合ってますので友達でお願いします」


 せっかく友達になれそうなのにノスフェラトゥさんみたいに従者とかになられたら普通に話しにくいじゃん。


「友でよいのか。欲の無い御仁だ。して、友になるとなると、ここにはおれんようになるのだな。ふむ、暫し待て。この場に未練は無いが次代に任せねばこの地が戦乱となる。そうなると魔素が散ってしまうでな。ここまでの魔素溜まりはちと惜しいので、その準備をする時間をくれんか」

「えっ!? 一緒に来るの?」

「違ったか?」

「いや、合ってる…というか来てほしいと思ってたけど、そんなに簡単に決めていいの?」

「ふっ…強者が何を言うか。其方そなたに逆らうほど儂の眼力は落ちぶれておらん。いや、服従者ではなく友になるのであったな。であれば儂も生き残れるか」


 あー、この人分かってるって、僕の方が強いって分かってるって事か。

 でも、友達になってって誘って、それに同意してくれたんだからいいんだよね?


「それで用意にどのぐらい時間が掛かるの? 何日も掛かるようなら出直すけど」

「なに、そんなに時間は食わん。飯でも食ってれば終わる程度だ」

「そう。じゃ、何か作って待ってるよ」


 さすがにここにポットちゃんとパンくんは喚べないんで、自分で作る事にした。

 食材は収納袋にも入ってるし、調味料もふんだんにある。

 昨日は海鮮三昧だったから、今日は山の幸にしようかな。偶には西洋料理もいいよな。

 あっ! チーズが無いのか。だったら作る? いやミルクが無いよ。

 そう言えばここに来るまでにいたよな。時間があるならちょっと行って獲って来よう。

 加工は間に合わなくてもミルクさえ確保してればいつでも作れるからね。

 森の主さんは何やら瞑想を始めたので、邪魔しないようにその場を離れた。


「たしかこの辺に……いたいた。ジャイアントホルステーンだ。この巨牛型の魔物の乳って濃厚で美味しいんだよね。群れてるけど、全員眠らせればいいか」


 体長三メートルはゆうにあると思われる牛型の魔物の群れを睡眠魔法で眠らせた。

 数としては五〇は超えていると思うけど、一頭分で十分だ。


 これって飼えないかな? なんとか継続的に確保したいよね。あっ! ノスフェラトゥさん達か獣人村で何とかしてもらおう! という事は、この眠ってる群れを向こうに連れて行かないといけないか。

 転移魔法で何とかできないかな。


 乳絞りを終えて魔素溜まりに戻ると、森の主さんは瞑想を終えて立って僕を迎えてくれた。


「おかえり」

「あ、はいただいま! 準備は終わりましたか?」

「うむ、用意は終えたのだが、今ひとつ不安でな。ここに定期的に戻っても構わぬか」

「もちろん! 友達なんだから自由でいいよ」

「そうであったな、友であった。束縛されぬ上下関係というのも難しいものよな」

「上下関係も無いって。友達なんだから」

「うむ、友とは対等な関係か。新鮮な立ち位置に胸躍る気分だ」

「それで、気になってるんだけど、準備ってその樹?」

「そうだ、この大樹さえあればここが護られるであろう。大樹の守護には此奴らがいれば、ま、何とかなるであろう」


 大樹の周りには大小様々な妖精が飛び交っていた。

 幼女ぐらいから少女ぐらいまでの大きさの羽無し妖精がフワフワと大樹の周りを飛んでいる。

 タンポポの種やシャボン玉のように風に吹かれるように、羽も無いのにフワフワと飛んでいた。

 やはり目は赤く、誰も僕に視線を向けない。ガン無視状態だ。


「もしかして、あなたは精霊?」

「なんだ、そんな事も分からずに声をかけていたのか。ならば改めて自己紹介だな。儂は世界樹の精霊だ」


 おお! 世界樹の精霊とは珍しい。『クロスオーバー』の世界では若い女性だったけど、こっちでは初老の男性なんだね。

 という事は、この樹は世界樹!? ちょっと葉っぱ貰っていい?


「僕はキズナ。この世界には修行に来てるんだ。修行が終われば元の世界に還れるんだけど、まだ途中なんだ。それでこの世界のあちこちを巡る予定なんだけど、一緒に来てくれると嬉しいかな」

「ほぉ、この世界の者では無かったか。そう聞くと納得行く部分もある。目的は旅だな。儂は長らくここにおるのだ、この森以外、あまり役に立たぬぞ?」


 世界樹の精霊だからね。そんなのがあちこち移動してる方がおかしいって。


「別に目的も無い気侭な旅? 旅になるのか、そうだね旅だね。目的地って特に無いから情報はいらないよ」

「そうか、森についての知識は魔物も含めよく知っておる。その点は頼ってくれていいぞ」

「そうだよね。でも、僕も案外詳しい方だから気にしなくていいよ。それより、向こうで魔物を眠らせたんだけど、何か移動させる方法は無いかな」

「どこまで移動させるのだ?」

「吸血鬼の城の近くなんだけど知ってる?」

「ああ知ってるとも。最近城主が変わったようだな」


 そんな事まで知ってるんだ。確かにノスフェラトゥさんが最近ナンバーワンになったって言ってたもんな。


「その城の近くに獣人村が出来たんだけど、その近くで飼えたらいいなって思ったんだ。でも移動させる手段が、あるにはあるんだけど、まだ一人ならいいんだけど沢山だと精度に自信が無いんだよ」

「儂に任せるがいい。この森の中ならば移動も思いのままだ。移動させるのは眠らせているジャイアントホルステーンでいいのだな?」


 へぇ~、そんな事も分かるんだ。話が早くて助かるよ。


 先に獣人村の近くに広めの拠点を作り、一気に五〇頭を移動させてくれた。

 拠点と言っても樹を伐採したり柵を作ったりはしていない。

 範囲を決めて結界を張り、ジャイアントホルステーンが結界から出られないようにしただけだ。だから樹もそのまま生い茂っている。


 凄っ! 超便利じゃん! 今の術式、上辺だけは覚えられたけど、僕だとここまでスムーズに且つ正確にできないな。

 後で教えてもらって練習しよ。


 その後、僕達も説明のために獣人村まで移動してもらった。

 説明しておかないと獣人達が食っちゃうからね。説明しても食いそうだけど。

 ミルクとチーズやバターなんかの乳製品の作り方を覚えてもらったら、たぶん食べないと思う。というか、食べないでくれ。と切に願う。


 獣人村に立ち寄ると、今回は沢山の獣人がいた。

 前回は魚を大漁に分捕られたんだよね。今日は無いって言っておこう。


 まず背中にトゥーラを乗せたコガネマルが現れ、わらわらと獣人達も寄って来る。

 ヒマなの? あなた達ヒマなの?


 折角大勢集まったので、実演と練習を兼ねて乳絞り体験をしてもらった。

 ミルクの評判は上々で、今後ジャイアントホルステーンの世話を約束してくれた。

 世界樹の精霊さんの話では、お腹さえ満たしていれば乳搾りをしても怒らない魔物だとか。


 目は赤いのに凶暴じゃないんだな。この世界じゃ珍しい部類の魔物だな。

 お腹を満たすための野草もこの結界内に多く生えるように設定してくれたようで、ジャイアントホルステーンは満足気に見える。

 後はチーズとバターの作り方を教えて、一晩世話になって村を後にした。


 ジャガバタやホウレン草バターを作ってバターの良さを味わってもらう事でバター担当が居残り組みの過半数を超えたのはご愛嬌だ。

 ミルク粥などの別メニューも今度来た時にでも伝授しよう。次は海鮮を使ったホタテバターも出してあげよう。


 因みにトゥーラのお父さんの村長さんは今回も不在だった。

 村長を含めた取り巻き衆は、未だにノスフェラトゥさんの城に行ってるらしい。

 行くと面倒なのは分かりきってるので、今回もノスフェラトゥさんの城はパスだな。


う~ん、ヒロインがー

何故初老の男性にしてしまったのか……orz


候補のカーシマシーはいずこへ?

それとも別の……

もう90話なのに確定ヒロインがいない。解せぬ。

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