第77話 七〇階層にて
いつも誤字報告ありがとうございます
「何とも無いわね!」
「はい、すこぶる快調です」
「けっ、七〇階層までだからな!」
六一階層へ突入した瞬間の三人の感想だった。
「キズナの作ったものだから信じてはいたけど、体調不良どころか逆に力が漲ってくるみたいだわ」
「ほぼ無効というのも、やっぱり怪しいですね」
「まぁ、異常が無ぇんだ、仕方ねーから使ってやるぜ」
「問題無さそうですか?」
何やら言い合っていたようだが、皆が毒状態にならないか確認してる隙に、メイさんを呼び出して合体を済ませたので聞いていなかった。
「キズナに聞きたいんだけど、このワッペンは『ほぼ無効』って言ってたわよね」
「はい言いましたが」
「うちのお抱えの鑑定士が『全無効』って鑑定結果を出したんだけど、それってどう思う?」
「教会の鑑定士も同じ結果でした」
「えー? ありえないよ。だって、ヒュドラ毒でギリギリ防げるぐらいの性能だよ? 暗黒龍なんて、その1.5倍ぐらいの毒や精神攻撃を仕掛けてくるのに、そんなワッペンぐらいじゃ防げないって。ヨミネプドラバーンだったらペンダントがあっても防げないから!」
「ヒュド……あんたの設定って……」
「暗黒龍……」
「ほぉ…ここにはヒュドラがいるのか。フッフッフッフ」
キズナの言葉に頭を抱えるホワイティとブラッキー。逆に不適な笑いを浮かべるバンであった。
「いたかなぁ……あ、いるね、ヒュドラ。九〇階層のボスみたい。でも、暗黒龍はいないみたいだね」
「あなた……一度通ったのよね?」
「はい……」
通ったというか、超スピードで通りぬけましたとも! 基本、イダジュウさんとの合体で力も上がって一撃だったし、メイさんのお蔭で素材も無視してたから、何と戦ったかなんて覚えてませんて。
そういや、あの時って少し身長が伸びてたんだよね。という事は、イダジュウさんはメイさんより格下って事なのかな? そう大差無いだろうし、得意な環境もあるだろうから一概には言えないかもだけどね。
「ほぉ、九〇階層か。さっさと行くぞ」
バンさんの号令で出発した。誰がリーダーなのかね? 僕じゃ無い事だけは確かだね。
実際、リーダーはブラッキーさんで、サブリーダーはホワイティさんだったよね。
バンさんが戦闘での中心的存在で、僕は……僕は? はれ? やっぱり要らない子? いやいや、今回もワッペンで貢献してるんだし、大丈夫! な、はずだ。よね?
ブラッキーさんだったかホワイティさんだったかが言ってたけど、状態異常攻撃をしてくる魔物は大して強くない。それでも、三〇~四〇階層の魔物よりは強い。強いが五〇階層あたりの魔物よりは弱い。
そんな魔物群を倒してきたパーティなんだから、さくさくっとブラッキーさんが先頭に立ってホワイティさんの補助を受けながら順調に攻略して行く。
僕は当然の事ながら、バンさんの出番も無いほどだ。
それでもバンさんの機嫌が何故かいい。
「さくっと頼むぜぇ! さっさと九〇階層に行きてぇんだからよ!」
早くヒュドラと対戦したいのね。というか、ヒュドラ以外に興味はなし、と。
ま、いいけどね。ヒュドラを意識してくれたお蔭でペンダントを外さずにいてくれるみたいだから。
バンさんの期待に応えるがごとく、ブラッキーさんとホワイティさんの快進撃が続いた。
一桁階層を行くが如く、立ち止まる事無く魔物を屠って行く二人。
「二人とも魔力操作が上手くなったよねぇ。ブラッキーさんなんて五連射しても一発分ぐらいしか魔力消費してないみたいだし、ホワイティさんも範囲指定の制度が凄く上がってる。これなら十年ぐらい前の僕といい勝負できるよ」
ぱっと振り返った二人の表情が笑顔から般若に変わる。
独り言だったので、小さな声で言ったはずなんだけど二人には聞こえてたみたいだ。
距離もそんなに近くないので聞こえないと思ったんだけど、聞こえてたみたいだ。
二人の成長を見ての正直な感想だった。ちゃんと褒めたのに睨まれるってどうなの?
それからは無言での行軍が続いた。
レベルも錬度も上がってるので、ブラッキーさんもホワイティさんも未だに魔力回復ポーションに手を付けてない。
メイさんと合体してるから【鑑定】ができるので、数字で見れるから正確な状態が確認できる。
あと少しで七〇階層のボス部屋だけど、半分ぐらい魔力を残してるね。
二人とも凄く成長をしてるよ。
そして、僕もバンさんもただ歩いてるだけで七〇階層のボス部屋前に到着した。
「少し休憩を入れてボスに挑むわよ」
「キズナ? 何か力の出る食べ物を持ってませんか?」
一階層三〇分程度でクリアして来たけど、それでも十階層分で五時間だ。夕方から入った事もあり、そろそろ日付の変わる時間でもある。
しっかりと睡眠を取って休養はしただろうけど、ボス戦前に一息入れるのは悪くない。
ブラッキーさんもホワイティさんも収納バッグは持っている。だけど、今回のダンジョン探索での用意はすべて僕が行なった。
合流するまではそれぞれが買出しを行なってたんだろうから少しぐらいの保存食は持ってるだろうけど、ここ一番の食事は別なんだろう。ホワイティさんが僕に求めてきた。
「サンドイッチはありますけど、何か作りましょうか?」
「おっ、いいね。キズナ様、肉を頼むぜ」
「私も肉がいいわね。ガッツリと食べたいわ」
「では、作る方でお願いします。私も肉系でお願いします」
はいはい、肉料理ね。
師匠と言われて少しぐらいは司令塔的な役割を担ってると思ってたんだけど、これじゃあポーター&パシリって感じだな。雑用君って言われた事もあったっけ。
料理を作るのは全然苦にならないし、下手な料理を作って食べさせられるぐらいなら自分で作った方がいい。
保存がメインの携帯食なんて以っての外だ。あんなのを食料とは認めたくない。
という事で力の付く料理を作った。
今はね、メイさんと合体中だからダンジョンの作りを少しいじれるので楽をさせてもらった。
釜戸? 迷宮操作で一瞬で出来上がったよ。
火? それも迷宮操作で火の代わりに溶岩が用意されたよ。鍋がヤバかったけど、肉とジャガイモたっぷりのスープにしたから何とかもった。
スープじゃなかったら鍋には穴が開いちゃっただろうね。
酒は無いのかってバンさんが煩かったけど、酒なんて用意して無いって。一応、収納袋の中にはあるけど、今回のために用意したもんじゃないから出さなかった。
バンさんにも出番があるかもしれないからね。
僕の料理に満足した一行は、少しの食休みの後、ボス部屋の扉を開いた。
ボスはガマ大将だった。
毒持ちの大きな蛙の魔物だ。体長三メートルぐらいで、口は横一線に引かれ、口を開けると自分自身でも飲み込めそうな大きな口をしていた。
攻撃は長い舌を一瞬で遠くまで伸ばして獲物を巻き取り捕食するものと、背中から多様な毒汁を出すものだ。
後はジャンプに警戒してれば倒せるだろう。
弱点は氷と火だけど、防御力は大した事は無さそうだ。ただ、大きいからその分皮膚も厚い。剣だけだと倒すのに時間が掛かるかもしれない。
遠距離からの魔法が有効そうだけど、ブラッキーさんの威力だと全然足りないな。でもブラッキーさんとホワイティさんが自信ありげだし、どうやるのか見ものだね。
まずは開幕の挨拶とばかりにブラッキーさんが火球の五連弾を放った。
全て狙い通り、目に当たったのだが、蛙特有の内側の瞬膜を閉じて防御した。
目と言っても、大きなガマ大将だから目もデカイ。十センチ大の火球程度で防御されてしまったらノーダメージだった。
次は反撃とばかりに大きな口を開ける素振りも見せずに一瞬で舌を伸ばして来た。
狙いはもちろんブラッキーさんだった。
ブラッキーさんとその後ろにいたホワイティさんが散開し難を逃れると、空振った舌が伸び切った所をバンさんが叩き斬ってしまった。
その手出しはいいの? と思ったけど、斬られた痛みでガマ大将がのた打ち回っている音が煩くて、疑問よりもガマ大将に注意を惹き付けられた。
すかさずホワイティさんがブラッキーさんに強化を施し、ブラッキーさんも炎魔法の準備を始めた。
同時にホワイティさんも次の準備を始めている。
その間も、ドッタンバッタンとガマ大将はのた打ち回っている。蛙の舌ってそこまでダメージがあるんだね、そこまでとは思わなかったよ。
そうしてる間に二人の準備も整ったようだ。ここに来るまでに長くても二秒程度の前準備しかしなかったのに、今回は十秒ぐらいかけてる。これは大技が来るのかな?
「ホワイティ! 頼んだわよ!」
「はい。私もいいところを見せたいので失敗しません!」
ホワイティさんが長杖を掲げてガマ大将に集中。そしてタイミングを見計らって魔法を放った。
「【ランデブー・バリア】!」
「【マルチ・エクスプロージョン】!」
ホワイティさんが魔法を放つと、少し遅れてブラッキーさんも準備していた魔法を放った。
先に到達したのはブラッキーさんの魔法だった。爆裂魔法ではあるけど、あれってそんなに威力は無いけど、一度爆発が始まると空間に高濃度の魔力がある限り、その魔力に誘発されて倍々に威力を上げて行くやつだね。
へぇ~、あれを修得できたんだ。何かのついでに教えたはずだけど、全然ものにならなかったから諦めたんだと思ってた。
ホワイティさんも一段上の結界を修得できたんだな。
あれって、物理的なものも魔法的なものも遮断する結界の上位版だよな。ただ遮断するのではなくて、味方の魔法と同時発動させると魔法効果が収まるまで消えない結界。
しかも、味方の魔法に合わせて強度を高めて行く追加効果もあったはずだ。
組み合わせとしては凄くいい、仲のいい二人だからタイミングもバッチリだ。
結果は見るまでも無かった。
立方体の透明な結界がガマ大将を覆うと同時に爆裂魔法が結界内で暴れ始める。
後は狭い結界内にある高濃度の魔力に誘爆して行くだけ。
結界内にある高濃度の魔力―――ガマ大将の内包する魔力に反応して威力を増しながら爆発を続ける。
結界はブラッキーさんの爆裂魔法の威力に応じて強度を高めて行く。
二〇秒ほど待つと、爆発も収まり結界も消えた。
残されたのは大きめの魔石と一つの小樽だった。
小樽の中身は……ガマの油(万能薬)と鑑定結果が出ていた。メイさんとの合体様々だね。
「万能薬(ガマの油)みたいです。軟膏なので塗り薬ですね」
「塗り薬!? 万能薬なのに!?」
「食事に毒を盛られたら何処に塗るのでしょうか」
僕の情報に質問を返すブラッキーさんとホワイティさん。
食事に毒をね……何処に塗るんだろうね。
「喉や胸あたりに塗ればいいんじゃないかな? 後は胃の上からとか唇とか?」
「そんな適当な……」
そんな事言われても流石に僕もガマの油については分からないし。最後にティアマトさんに会うから、その時に聞けばいいんじゃない? 日本の記憶でもそういう風邪薬があったしね。
「使い方は分からないけど効果は絶大みたいだよ。持っておいて損は無いでしょ」
「まぁ、それは鑑定士に任せますか。それで、このまま進みますか?」
ホワイティさんから僕に投げかけられた質問に、ブラッキーさんに視線を移す。
リーダーはブラッキーさんなんだから決定権はブラッキーさんにある。
なのに、ブラッキーさんが僕に決定権を譲ってくる。
「どうする?」
「え? 僕?」
「そうよ、キズナはもっと深くまで行ったんでしょ? ここから先に休めるとこはあるの?」
確かに一〇二階層まで行った。でもあんまり覚えてない。
今なら合体中だから分かるけど、記憶には残ってない。
で、結論から言うと、安全地帯までは結構ある。なので、ここボス部屋で長い休憩を取る事を提案した。
「わかったわ。なら、ここで一泊しましょ。キズナ、頼むわね」
なにが? いや、分かってるけど、僕の役目は何処から何処までなの? 戦闘以外は全部僕なの?
逆に戦闘してないから、それ以外の役目とか? だったら戦闘に参加させてほしいんだけどなぁ。
ま、三人とも料理できないのは知ってるし、そんな人に作ってもらった料理を食べるのは苦痛だ。料理を作るのも苦にはならないからいいんだけど、なんか納得が行かない。
これならマジックバッグを持って料理人を連れてるのと同じじゃん? 冒険者じゃなくていいじゃん? みたいな不満が出てくる。
食事が終わり、ボスのリポップまで一日以上あるみたいだから、今日はここで寝る事に決まった。
就寝前に少しパーティ内会議をするとブラッキーさんから提案があったので、今は四人で車座になっている。
「まずはここまで来れたのはキズナのワッペンとペンダントのお蔭、素直にお礼を言わせて貰うわ。キズナ、ありがとう」
同時にホワイティさんも頭を下げてくれた。
バンさんは、腕を組んで瞑想中か……あのまま寝るんだろうな。
「いえいえ、役に立ってよかったです。後は、九〇階層のボスのヒュドラまでは毒を持つ魔物はいなかったと思うんだけど、毒の罠もあるんでそのまま装備してた方がいいと思います」
「罠…ね。ここまで一度もかからなかったけど、それもキズナのお蔭なんでしょ?」
「はは……」
バレてるか。そりゃ、合流するまで罠にかかりまくってて、僕と合流した途端、罠に掛からなくなったら分かるよね。
メイさんの力で罠を操作して止めてるんだよね。
「それで、次に今回の目標だけど、このまま一気に最終階層を目指そうと思うの」
「なっ! それは無茶じゃないかしら。六〇階層台は状態異常対策ができたから予想以上に楽に来れましたけど、この七〇階層以降はそうは行きませんよね。でしたら、一度地上に戻って一週間ぐらい休暇を取って万全を期すべきだと思いますよ」
強硬派のブラッキーさんに対して、堅実で穏健派のホワイティさんの意見だった。
「でも、バンは九〇階層まで行かないと納得しないわよ?」
「別に一気に行かなくとも、近いうちに行けるんですから彼も納得してくれます。それに、当初の目標であった最高到達階層の更新もできましたし、なによりこれでAランクも確定でしょう」
「確かに一理あるけど、私達にはまだまだ余裕があるわ。Aランクに上がれるのは嬉しいけど、もう確定でしょうから、いつ戻っても構わないのよ」
そっか、彼女達はBランクに上がってたんだね。前回の時かな? これまでの話だと六〇階層到達って実力だけでも上がれそうだもんね。
「キズナも一緒にAランクよ」
「え?」
「当然です。私達はパーティなのですから」
いや、そうじゃなくって、二人とも知らないの?
「あの……」
「大丈夫。ここまでキズナは戦ってないけど、キズナの実力は知ってるから」
「そうですよ、Cランクから二段飛びですが例が無いわけではありませんし、何より私達はパーティですから」
えっと……凄く言い出し辛い。でもなんで知らないの?
「えーと、ですね……」
「辞退は無しよ。キズナも一緒にAランクになるんだから」
「いや、そうではなくて、ですね……」
「今回のワッペンとペンダントだけでも十分資格はあります。胸を張ってAランクを名乗りましょう」
「弱ったなぁ……」
「何か問題がある?」
「当然の権利ですよ?」
ここで言わなきゃダメだよね。後で分かる方がマズいよね。
「実は…その……僕はSランクになったんです!」
最後のところは意を決して大きな声で伝えた。
「エ…エス……?」
「…エス? 誰が……?」
戸惑う二人にキチンと説明してあげた。
「それで護衛から解放された後、奴隷を解放してようやく帰って来たところ、ラピリカさんの方が早く帰って来てたみたいで、冒険者ギルドのカウンターで更新してもらいました。ブラッキーさんもホワイティさんも隣のカウンターにいたので、もう知ってると思ってました」
「……それは大変だったわね」
「隣国の砦町ですか……話には聞いた事はありますが、奴隷制度……人として嘆かわしい限りです」
Sランクには触れないようだけど、一応は納得してくれたのかな?
最後に「キズナだから」って理由で二人して納得されたのには、こっちが納得行かなかったけど。
「実はバンも先日一緒にBランクに上がってるので、このパーティはSランクが一人にAランクが三人になりますね」
「名実共に上級者の仲間入りってとこね!」
「となると、問題が一つあります。よくあるパーティのパターンではリーダーが一番上のランクというのがあります。【三叉槍の魔法使い】ではどうしますか?」
「ダメよ! このパーティでは私の名前を売るって目的があるんだからリーダーは私よ!」
「提案した私が言うのもおかしいですが、私もブラッキーがリーダーの方がいいと思います。キズナもポーションでは名前が売れてきたようですが、上位冒険者ともなると貴族との付き合いが増えてきます。その点ブラッキーだと貴族の扱いに面倒がありません」
「僕もブラッキーさんを推します。理由はホワイティさんに賛成なのと、僕はここが終わったら王都に行かないといけないみたいなんです。何度もパーティから抜ける者をリーダーとして扱うのもおかしいですしね」
ここまで干されて裏方に回されてるのに、今から貴方はリーダーですって言われても誰も納得しないって。まず僕が納得できないよ。
僕は一番年下だし、王女であるブラッキーさんがリーダーの方がシックリ来るよね。
「じゃあ、これからも私がリーダーでいいわね」
僕とホワイティさんが肯いて了承する。
「じゃあ、話を戻すけど、キズナはどう思う? このまま最下層を目指すのか、それとも一旦地上に戻るのか」
「どっちも正解だと思いますけど、僕の意見としてはこのまま行きたいですね」
「どうしてですか? 理由を聞いてもいいでしょうか」
「理由ですか。まず、そんなに消耗してないですよね? まだバンさんも温存してますし、僕なんて何もやってないですからね。消耗を中断する理由にはできないです。食材やポーションなどの消耗品についてもまだまだ余裕はあります。保存食まで入れれば半年は行けるんじゃないかと思います。七一階層からは少し魔物も強くなりますが、偶にバンさんが手を出せば八〇階層台中盤ぐらいまではこのペースで行けると思いますよ」
本当の理由は、早く終わらせてメイさんを一度還してあげたいんだよね。
こうして合体してるから分かったんだけど、今回は残ってくれたけど、結構消耗してるんだ。
こっちの世界で僕と合体すると、少しはレベルアップするみたいなんだけど、ただ来てもらうより凄く消耗するみたいなんだよ。
これも、ダンジョン内なら鑑定のできるメイさんと合体したから分かったんだけどね。
話し合いの結果、八〇階層まではこのまま行って、そこから先はその都度判断して行く事に決まった。
ヤバそうなら地上へと帰還する。
こんな緩い結論を出せたのも、六九階層の宝箱で見つけた『ダンジョン脱出石』があったからなんだ。
『ダンジョン脱出石』一度だけダンジョンから地上に転移できる石。一度使うと消滅する。
『ダンジョン脱出石』を持ってる事はまだ皆には言ってない。宝箱係の僕だけしか知らない。
だからブラッキーさんもホワイティさんも八〇階層より先に行っても、八〇階層にある転送魔法陣に戻る前提で話してる。
だって言っちゃうとブラッキーさんなんか限界まで行っちゃいそうだろ? だから撤退ってなった時に教えようと思ってるんだ。
さて、しっかりと休んで七〇階層以降に備えましょうか。全然疲れて無いけどね。




