第74話 初鑑定
いつも誤字報告ありがとうございます
ダンジョン探索は順調に進む。
何度かの休憩を挟んで、黙々と進んで行く。
途中、宝箱や隠し部屋や次階層への階段の方向などは僕が指示した。罠の位置を知らせては僕が解除し、宝物も罠があれば解除し、僕の持つ収納袋に詰め込んで行く。
そのついでにちょいちょいと三人には見られないように魔物を倒して経験値を摘み食いしている。
三人からは「なんで分かるの?」と質問攻めにされたが、キズナ(様)だからって理由で最後は納得してくれたようだ。
ちょっとその理由が分かりません。
それと、ブラッキーさんとホワイティさんには新しい魔法の手解きもした。
戦闘を見ている限り、次の段階に進んでも問題ないと判断したからだ。
ブラッキーさんには連射と並列魔法を。ホワイティさんには範囲結界魔法を学んでもらった。
二人の愛用する杖を借りて、ブラッキーさんの杖には以前に仕込んだ魔法陣の裏側に表裏一体となるような魔法陣を描いた。
これにより、魔力を通す量は二倍になるけど二つの異なる魔法の同時発動が可能となった。
連射については複写を覚えてもらった。
魔力の補充が完了した魔法陣を脳裏に焼きつけ複写する。まずは一つを複写するところから始めてもらって、行く行くは三つ四つと増やして行けばいい。
この複写のいいところは当然だけど同時発動や少しズラす事によって連射をする事ができる。デメリットはその分魔力を必要とするところだ。
ブラッキーさんの魔力量だと、今は複合と一つの複写でもいっぱいいっぱいだと思う。
これから更に深層に進むのだからレベルももっと上がって行くだろうし、複写の数も増やせると思う。
ホワイティさんには単純に結界魔法を覚えてもらっただけ。
但し、この結界魔法は非常に応用が利く。
範囲指定、サイズ指定、強度指定、分類指定、時間指定ができる。
これによって、例えば野営する時などに『四人の範囲を物理・魔法を遮断する中度の強度の結界を八時間維持する』など、色々と条件を定めて作成する事ができる。
その時に『結界内からの魔法攻撃はスルー』などの条件も付け加えられる。非常に汎用性の高い魔法なのだ。
但し、この魔法も慣れが必要で、条件が増える毎に魔法陣も複雑になる。その分、発動には時間も魔力も比例して増えて行く。戦闘時に使うにはかなりの修練が必要になる。
僕? 僕はブラッキーさんに教えた魔法もホワイティさんに教えた魔法も瞬時にできるよ。それだけの勉強はしてきたからね。させられたとも言うけど。
何故、こんなに余裕なのかと言うと、五五階層あたりからバンさんが暴走しだして、一人で無双を始めたからなんだ。
「こんなもんじゃ憂さ晴らしにもならねぇ!」だって。
初めて会った頃の無口なバンさんは何処に行ったんでしょうね。
そんな魔法指導をしながらも、二人が独自に練習を始めるとやはり暇になる。
で、三人のステータスも確認してみた。
このダンジョン内だとメイさんと合体してると見れるんだよね。
名前:キズナ・サカイ ♂
種族:人族(???)
職業:精霊師
レベル:51
武技:剣術・槍術・斧術・弓術・体術・鞭術・投擲術・杖術・棒術・棍術
魔法適正:火・水・土・風・樹・氷・雷・光・闇・精霊・付与
技能:トレジャーハンター、レンジャー、錬金術全般、鍛冶全般、家事全般、HP・MP自動回復(特大)、全状態異常耐性(特大)、身体能力上昇(大)、熱変動耐性(特大)
HP:446670 MP:5871248
STR(体力):89556
ATK(攻撃力):65900(+10000)
DEF(防御力):51599(+100000)
INT(知力:魔攻):300350(+50000)
AGL(敏捷性):182200
MPR(魔防):188350(+100000)
称号:マリアの愛息、皇太子、アイドル
加護:マリアの加護
自分のステータスを初めて見た感想だけど、ツッコミどころが多すぎ!
まず、なんで人族に(???)が付いてんの? 攻撃力なんかの横のカッコって装備の事だろ? 母さん、なんてものを着せてくれてんだよ、これで修行って言っていいの?
スキルも省略しすぎ! トレジャーハンターにレンジャーに錬金術って、全部職業じゃん! その職業の能力を全部持ってるからって、そのまま書く事ないよね!
あと、瞬歩や跳躍なんかのスキルは武技に纏められてるんだろうね。スキル欄に一つも書かれてないもん。
称号も加護もだいたい予想通りだからスルーするとして、無駄にステータスが高すぎない? ブラッキーさんやホワイティさんのステータスも見てみたから言えるんだけど、これって『オレTUEEEE』だよね。レベルが一桁の時のステータスも見てみたかったよ。
ジョブは……どうせスライム戦士に戻るんだから、いいや。
名前:ブラッキィ・ウル・バルバライド ♀
種族:人族 二十歳
職業:黒魔道士
レベル:54
武技:剣術・槍術・弓術・体術・投擲術・杖術
魔法適正:火・水・土・風
技能:王宮作法、並列魔法、魔法連弾
HP:651 MP:803
STR(体力):247
ATK(攻撃力):324(+105)
DEF(防御力):298(+350)
INT(知力:魔攻):553(+200)
AGL(敏捷性):211
MPR(魔防):522(+400)
称号:バルバライド王国第二王女、限界突破者
加護:初代王の加護
武技を複数修得してるのは王族としての嗜みってやつかな? 色んな先生がいそうだもんね。
でも、レベルが五〇を突破してるって事は、限界突破って事なんだよね? それでこのステータスって事は、結構上位のはずなんだけど、僕のステータスを見た後だからショボく感じるよ。
初代王の加護は王族ならではの加護なんだろうね。どんな効果があるのかは知らないけどね。
名前:ホワイティ・ノーブル ♀
種族:人族 二十歳
職業:白魔道士
レベル:50
武技:杖術
魔法適正:聖・結界
技能:王宮作法・MP回復上昇(小)
HP:448 MP:901
STR(体力):188
ATK(攻撃力):404(+100)
DEF(防御力):158(+300)
INT(知力:魔攻):454(+150)
AGL(敏捷性):140
MPR(魔防):604(+200)
称号:聖女候補、限界突破者
加護:女神テレーズの加護
ホワイティさんも王宮作法には通じてるんだね。さすが聖女候補だね。
なにげにブラッキーさんより攻撃力が高いのがおかしいんだけど、全身鎧で防御力を高めたら聖騎士になれるんじゃない?
あっ! 二十歳になってる。もう誕生日が来たんだね、おめでとう!
名前:バン
種族:真祖 442歳
職業:爆戦士
レベル:77
武技:大剣術・剣術・体術
魔法適正:闇
技能:体力爆発、身体能力向上(大)
HP:2553 MP:588
STR(体力):2805
ATK(攻撃力):3003(+500)
DEF(防御力):2990(+500)
INT(知力:魔攻):552
AGL(敏捷性):1880
MPR(魔防):1188
称号:キズナの従者、限界突破者
加護:キズナの加護
イケイケドンドンなステータスだけど、一つだけ言わせてほしい。
『キズナの加護』ってなに!? 僕は名付けをしただけで加護なんて与えてませんから!
こうやって見て分かる通り、僕のステータスは僕よりレベルの高いバンさんと比べても桁が違う。
理由は大体分かる。小さい頃からの教育の賜物と、母さんの加護だ。
たしか、加護をもらうために母さんと一緒に何十人の人達の下を訪れた。
なのに、加護は一つだけしかない。犯人は母さんしか考えられない。
そのお蔭でオレTUEEEE! なわけなんだけど、これってやり過ぎだよね。
バンさんとブラッキーさん達のステータスの開きもおかしい。レベル差以上にステータスに差がある。これは上位種と一般種の違いなのかもしれないね。
バンさんって吸血鬼の中でも上位っぽかった上に、更に名付けで数段飛びで進化しちゃったからね。一段階上昇の限界突破ぐらいじゃ、これぐらいの差はあって当然かも。
バンさん無双のお蔭でそろそろ六〇階層のボス部屋だ。
宝箱の取りこぼしも無い。ボスに挑戦してもいいと思う。
「せっかくですからキズナから教わった結界術を試してみたいのですが」
「いいわね! 私も試したい!」
「ふむ……敵は一体みたいだな。俺様の一撃で終わってもつまらんしな、構わねーぞ」
そう決まったみたいだ。ねぇねぇ、僕の出番は?
「では、まず私が結界を張りますので、その中からブラッキーだけが攻撃をしてみましょう」
「一撃じゃ無理だろうけど、魔力回復ポーションを使わずに倒せるかよね!」
「うっし、じゃあ行くぞ」
「オッケー!」
「行きましょう!」
「……」
出番は無いみたいだね。
六〇階層のボスは岩石龍だった。
マジで……?
岩石龍ってそんな立ち位置の存在だったんだ。僕、ワンパンならぬワンスラ五郎で倒しちゃったんだけど。
前回来た時はどうだったろうか……うん、まったく印象に残ってない。ほぼスルーだったからね。
結果は完勝だった。
ブラッキーさんの放つ魔法の連撃は魔力が枯渇するまで続いた。
途中、ノッシノッシと歩み寄る岩石龍だったが、ホワイティさんの張った結界を抜ける事ができず、一方的にブラッキーさんの魔法を浴び続ける事になった。
その結果、ブラッキーさんの魔力が枯渇すると同時に岩石龍も崩れ落ちた。
「はぁはぁはぁはぁ、ギリギリだったわね」
「でも、流石だと思います。岩石龍を完封です、誇っていいですよ」
「完封できたのはホワイティの結界のお蔭ね。あの岩石龍の突進をよく止められたわね」
「実はこっちもギリギリでした。あと数撃で突破されてたと思います」
「でも……」
「はい勝ちました!」
「うん勝ったわね」
「「やったー!!」」
疲れ果ててしまってるので、座り込んだ状態で手を取り合って喜ぶ二人。
バンさんは入れてもらえないんだね。
僕? 僕は初めから入れてくれてないよ…グスン。
そういえば、僕のレベルがもう一〇〇を超えたんだけど、なんで? 何にもしてないよ?
『パーティ分配でしょう。パーティで行動してるので、貢献度によって経験値が振り分けられてるのでしょうね。キズナ様は戦闘では何もしてませんが、罠を解除したり宝を回収してますので戦闘時にそれが反映されて分配されているのでしょう』
『え? こんなのでいいの? 僕、凄く楽してんだけど』
『彼女達がここまで早く到達できているのがいい証拠です。彼女達の五〇階層までの到達速度を考えると非常に貢献度は高いですね。外だと共闘しないと分配されませんが、ダンジョンならではの貢献度経験値です』
こんなのでいいんだ。しかもダンジョン限定なんだね。
でも、メイさんを送り返すのにも必要だから甘んじて頂いておきます。明日も来てもらわないといけないしね。
『そういやメイさんを召喚したり送還したりするのってどのぐらいのレベルが必要なの?』
『およそ一五〇ですね』
マジか…全然足んねーじゃん! いや、還すだけならギリギリ足りるか。
『明日も来てくださるのでしたら、私はここに残って待ってますが』
『え? でも、精霊達ってこっちに残るとこっちの住人になってしまうって聞いたんだけど』
『それは妖精などの低級レベルの者達ですね。あの子達なら丸一日が限界でしょう。私達中級以上の精霊でしたら一週間は問題ありません。それに、このダンジョンでしたら待機できる場所もありますので、そこででしたら『クロスオーバー』の世界と同じようにいられますから』
おお! さすが高い代償を払うだけある中級レベルだね。しかも待機場所まであんの? ダンジョン精霊ってダンジョン内だと別格なのかな?
『じゃあ、もし皆が地上に戻るって言ったら待っててくれる?』
『ええ、結構ですよ。恐らく一度戻られる事になると思いますが、二日以上待つ事になるようでしたら、一度戻らせてください』
『わかった。二日以上探索を再開しないようなら一度ここに来るよ』
さぁて、ここから深層と分類される六一階層だ、と張り切ってみたものの、メイさんの予想通り六一階層に入った途端、ダンジョン探索が中断された。
理由は六一階層から毒エリアになっていたからだ。
六一階層に入った途端、まずバンさんがフラフラしだしてホワイティさんが気付いて状態異常回復魔法を施したが、ブラッキーさんまで毒状態になってしまい、慌ててホワイティさんが結界を張りその場で回復まで持ち直す事ができた。
ブラッキーさんの状態異常回復もできたが、結界内から動けなくなってしまい、一旦六〇階層まで戻って相談した結果、ダンジョンを出る事になった。
ホワイティさんまで毒状態になってたからね、当然の判断だと思う。
僕? 僕には状態異常は効かないよ。そういった耐性は全部持ってるし、たぶん母さんがくれた服というか装備にもそういう異常無効ぐらいの効果が付いてると思う。
バンさんまで状態異常を食らうとは思ってなかったな。相当キツイ毒なんだろうな。
これは、また僕の出番かな?
キズナのステータスがしっくり来ないので、あとで微調整するかもしれません。
中途半端なレベルがいけないのかも。




