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第47話 魔物の冒険者ギルド登録

「それでハーゲィさんは薬草採取で少し森の奥に入ってて聞こえなかったんですね」

「ああ、ホントにヤバかったぜ。いつの間にやら魔物に取り囲まれちまっててな、逃げようにも見えねぇ壁があって逃げられなかったんだ」


 あ、それ【結界殲滅陣】の結界です。あの結界って、魔物も動物も何もかもを通れなくしちゃうんだよな。それが欠点と言えば欠点かな。


「ところがよ、俺ももうダメだ! って思った時に、周りが白く輝いたんだ。すると魔物達が死んでいくじゃねーか。正に九死に一生とは得たって感じだったぜ。ただよ、まだその続きがあってな、急にでっかい竜巻に巻き込まれたんだ」


 あー、シルフィーナさんがマゼマゼって言ってたもんね。だけど、よくハーゲィさんも無事だったな。


「今度こそもうダメだと思ったぜ。だがよ、あちこちぶつけてるはずなのに全然痛くねーんだ。いや、ぶち当たった瞬間は痛いんだが、すぐに痛みが癒されるって感じだった。不思議な事もあったもんだぜ」


 今回は聖属性を使いましたからね。それで傷が癒されたんだと思います。

 確かに装備はボロボロになってるのに傷は見当たらないもんね。


「で、魔物も白い光の影響か、死んだ奴からどんどん消えて行くんだ。あれが噂の昇華ってやつかもしれねーな。それでよ、魔物がいた場所には魔石が残ってるじゃねーか。結構、拾い集めたんだが、竜巻で吹き飛ばされちまってるからあんまり見つけられなかったぜ」


 初撃で結構倒したもんね。その後に吹き飛ばされたんなら見つけられないかもね。

 でも、こっちでは聖属性で消滅させる事を昇華って言うんだね。『クロスオーバー』では滅絶デリートって言ってたな。


「ま、それでもこれだけ魔石があれば、壊れた装備を新調しても余裕で釣りがくるぜ。運が良いんだか悪いんだか、わけ分かんねーぜ。一体何が起こってたんだろうな」


 ハーゲィさん、人はそれを運が悪いって言います。まさか僕も【結界殲滅陣】の中に人がいるとは思ってなかったしね。火属性や風属性にしなくてよかったよ、ホントに。


「でも、いつもと違う場所を探してたんですね」

「ああ、この前キズナに薬草の後処理を聞いただろ? それが他の場所でもできねーか試してんだよ。それと、採った薬草を別の場所に植え直して、そこでも魔力をやれば根付くかも試してるんだ。だから薬草をたくさん採ろうと欲張っちまった分、森を深入りしすぎちまったな」


 ハーゲィさんが言うには、薬草採取の場所が遠いのも人手不足の原因なのではないかと感じてるらしい。徒歩一時間…遠いんだろうか。

 そこでハーゲィさんは採って来た薬草を壁に沿って植えてみて根付くかどうか試してるらしい。


 うん、その方法なら成功率は半々だろうけど根付くと思うよ。

 だけど、それなら自分で菜園でも作った方が安全に実入りがあるのにね。若手冒険者のためを思っての事だろうね。優しい人だね、ハーゲィさんって。今度、毛生え薬でも作ってあげよう。


「んで、そいつらは誰なんだ?」


 吸血鬼達の事を尋ねてくるハーゲィさん。

 今まで会話の邪魔にならないように黙って控えていたが、ハーゲィさんの話の途中でも時折ダメージが入ってたようだ。

 僕達に【結界殲滅陣】を使わせる原因を作ったんだから反省もしているんだろう。


「えと……」

「余はキズナ様の一の家臣、ノスフェラトゥである」

「俺様こそがキズナ様の一の家臣、バンだ」

「僕が、一番目の従者のキュラです」


 なんて自己紹介してんだよ。しかもバンさん、俺様ってなんだよ、俺様って。俺でいいじゃん!


「キズナの家臣? なんだそりゃ」

「そうですよね? 従者が家臣を名乗っちゃおかしいですよね?」


 キュラ君? そんな事を言ってるんじゃないと思うよ。


「むっ、そうであったか。では一の従者のノスフェラトゥである!」

「違げーよ。俺様が一の従者のバンだ!」

「あー! ズルい! 言い直してる! 僕こそ一番目の従者ですからね!」


 こいつら何言ってんだ? みたいな目で見ないでください。僕も困ってるんですから。

 ここは必殺『話題のすり替え』だね。


「従者の件は置いといてですね、ハーゲィさんを見込んでお願いがあるんです」

「なんだ? 俺にも従者になれってか。ま、キズナには色々ためになる事も教わったしよ、別にかまわねーが」


 いいのかよ! そこはダメだと突っぱねろよ!

 何故置いておくのだ。とか横で言わない! 話が進まないから黙ってろ!


「従者なんていらないです。ハーゲィさんにお願いしたいのは、この三人を冒険者ギルドに登録に連れて行ってほしいんです」

「なんでだ? キズナの従者だって言ってんじゃねーか。お前が連れてってやりゃいいんじゃねーのか?」


 従者はいらぬと!? やはり家臣で行くとするか。って小声でも気になるから黙ってろ!


「いえ、この人たちは薬草採取希望の人なんですよ。三人で一緒に行動はできないようなんてですけど、町に入るのに証明書も持ってないそうなので、顔の広いハーゲィさんにお願いできないかと」

「薬草採取か! よし、任せろ! 登録は今日中に行くとして、明日から行動だな!」


 チョロイ、チョロすぎだってハーゲィさん。

 ホント、薬草採取“命”なんだね。


 話がついたので、三人を伴ってハーゲィさんと町の門までやって来た。

 吸血鬼の三人には道中に説明をし、絶対に町中では暴れないと確約をもらった。あと問題なのはハーゲィさんも言う彼らの服装だ。


「しかし、黒い服ってのは地味だと思ってたが、派手なのもあるんだな」


 そう、吸血鬼の三人は、デザインは違うのだが、三人とも黒のコートを着ていた。

ノスフェラトゥさんの黒コートには胸や襟元に銀の刺繍がされていて貴族然として見えるし、バンさんの黒コートには袖や裾に赤の刺繍がされていて力強さを感じられた。キュラ君の黒コートには胸元にワンポイントの小さな赤い花の刺繍がされていて、三人の中では一番地味な分、下っ端感が出ていた。

 序列で付けられる刺繍が決まってるって聞いた事があるから、それに則って付けられているんだろうな。


 気候的に長袖やジャケットを着ている人もいるので、そう厚手ではないコートは問題ないんだけど、三人の黒コートが並ぶと威圧感があって目立つ。どこぞのマフィアみたいだ。

 ハーゲィさんもそういう意味で派手だと言ってるのだと思う。

 他にこういう風体の人は見ないからね。


 ただ、三人とも進化の影響もあってか、全員が美男子なんだよ。

 ノスフェラトゥさんは元々男前ではあったけど、初老って感じがあったんだけど、今は内面に秘めた大いなる力を抑えきれずに漏れ出て若返ってる感じで、落ち着いた雰囲気の三十歳前に見えるし、バンさんは真っ赤なロン毛で細マッチョな長身のイケメンだから黙ってればモテる事間違いなしなのに、言葉が荒々しいからミスマッチな事この上ない。

 ただ、そういう需要もありそうだからやっぱりモテそうだ。

 キュラ君も背が伸びていて170センチ以上はありそうだ。まだ何処となくか弱そうなイメージは拭えないけど、黒髪に赤メッシュがイケメンを引き立てている。

進化前に比べて強くなったのは見た目でもハッキリと分かるよ。


 そんな三人を伴って訪れた門なんだけど、まだ混乱は収まっていなかった。

 逃げていた人達が警戒解除の鐘を聞きゾロゾロと戻って来ているのに対して、門は開放されたみたいだけど、入門担当の兵士が異常に少ない。

 本来は十人以上詰めている門兵が、今は二人しかいない。恐らく町の中で、警戒解除の後始末に走り回っているのだろう。


 入門の列がそう長くないのに進捗状況が捗っていないところを見ると、これから長蛇の列になるのは誰にでも予想できるだろう。

 それでも少しずつは入門できている。列の長さの割に時間は掛かったが自分達の番が来た。思ってたより時間は掛からなかったが、精神的に疲れた。


 並ぶのを嫌がる吸血鬼達が塀を飛び越えようとするのを阻止&説得に疲れたよ。

 ハーゲィさんに知られるわけにはいかないから、ずっと気を張ってたからね。バンさんがジャンプの予備動作をすれば肩に手を置き、ノスフェラトゥさんが背中から翼を出そうとすれば服を引っ張り、その合間に大人しく並ぶようにルールを説明したりと、一時間近く並んでたはずなのに五分ぐらいに感じるぐらい忙しかったよ。


「では、こちらの水晶に手を置いてください」


 ん? 水晶? あれって……ダメじゃん! あれって犯罪者を見分ける水晶玉じゃなかった? そんなのに吸血鬼が手を置いたら反応するんじゃ……


 気がついた時には遅かった。既に我先にとノスフェラトゥさんが水晶玉に手を乗せていたのだ。


 パッキーン!


 大きな音を立てて水晶球が割れてしまった。真っ二つどころか縦に何分割にも割れてしまって修復が不可能な事は誰の目にも明白だった。


「なっ! 水晶球が割れるという事は、凄い魔力量の保有者! 貴様は暫しそこで待て」

「むっ?」

「次の者!」


 門兵は水晶球が割れた事には慌てたが、すぐに冷静になってノスフェラトゥさんに待つように命令した。

 逆らおうとしたノスフェラトゥを僕が宥めて壁際へと連れて行った。

 その様子を見て、門兵は次に並ぶバンさんに進み出るように促す。が、手元にはもう水晶玉は無い。

 どうするのかと見ていたら、隣で検閲をしていた兵士から水晶玉を譲り受けている。一つの水晶玉で二列で行なっている検閲を乗り切るつもりのようだ。

 そういうマニュアルになってるのかもしれないけど、これから更に時間が掛かりそうだ。


 そう思ってると、三名の門兵が帰って来た。手にはそれぞれ水晶玉を持っていたので、合計四つの水晶玉になった。

 僕達にはもう関係ないけど、これなら入門も捗りそうだな。と思ってると、再び大きな音が響いた。


 パッキーン!


 音のした方に目を向けると、バンさんだった。バンさんが水晶玉に手を乗せると、ノスフェラトゥさんの時と同様に水晶球が割れてしまったようだ。

 ノスフェラトゥさんほどでは無かったが、四分割にされた水晶玉だったものがそこにあった。


「なっ! 貴様もか! 貴様も横に除けて待っていろ!」


 壁際で大人しくしているノスフェラトゥを見たバンさんは、やれやれといった体で大人しくノスフェラトゥさんの隣に並んだ。

 小声で「俺様は一の従者だからキズナ様には迷惑は掛けられんからな」とノスフェラトゥさんに言っていたのは聞こえなかった事にしよう。


「次……も仲間か……貴様も一緒に並んでろ!」


 次は自分かとウズウズしながら順番待ちをしていたキュラ君だったが、水晶玉検査をしてもらえず、肩を落としてバンさんの隣に並ぶ結果となってしまった。


「がっはっはっは! キュラは割れなかったようだな」

「割れなかったというか、触らせてもらえなかっただけです。触らせてもらえれば僕だって……」

「言い訳か? 男らしくねーぞ!」

「言い訳じゃなくて、事実なんですけど……」

「余もキュラは割ってくれると信じておったにの」

「いや、ですから触らせてもら……」

「言い訳とは見苦しいの」

「言い訳ではないですから! 事実ですからー!」

「喧しい! 町に入りたいなら大人しくしていろ!」


 まだ反論を言いたげなキュラ君だったが、門兵の一喝で黙るしかなかった。

 ニマニマと余裕ぶるノスフェラトゥさんとバンさんのオモチャにされているのだが、二人には実力も地位も劣るキュラ君には到底逆らう事はできなかった。

 そもそもキュラ君はからかわれてるとは思ってないから本気で言い訳してるようだけどね。

 意外とノスフェラトゥさんもノリのいい人だったみたいだ。


「次の者! あー、貴様か。貴様も律儀に並んでいたのか。通ってよろしい! 行け!」


 次はハーゲィさんだったんだけど、予想通りというか、いつも通り顔パスみたいだ。


「今日は今の奴らの後見人だから並んでたんだ。あいつらはいつまで掛かる?」

「なんだ、貴様のツレか。ならばこの後冒険者ギルドに行くのだな?」

「ああ、もちろんだ。すぐに登録させる予定だ」

「ならばよし! 本来ならば聴取を取って疑いが晴れなければ入れられないが、貴様が後見人ならば連れて行って構わぬ」

「そうか、そいつは助かるぜ。キズナ、いいってよ」

「ん? キズナ……?」


 門兵さんから了承を得られた事を教えてもらったんだけど、ハーゲィさんが僕の名前を呼んだ途端に門兵さんの態度が変わった。


「これは…! キズナ様もいらっしゃったのですね! という事は、キズナ様も彼らの関係者でしょうか!」


 ビシッと姿勢を正して僕に問い掛けてくる門兵さん。


 あれ? キズナ様? いつの間に僕の立ち位置がそんな事になってんの?

 何度も門は通ってるから僕の顔は知ってるだろうけど、冒険者カードを確認してもらうだけで話した事なんて無いんだけどなぁ。

 困惑する表情で呆けていたらハーゲィさんがフォローしてくれた。


「なんだ、キズナは知らなかったって顔してるが、お前って冒険者は元より、この町の有力者では有名になってんだぞ? もちろんいい意味でだがな」

「え? なんでですか?」

「そりゃ、薬草も含めたポーションでは国一番と言われてるメメジーの工房の師匠って話じゃねーか。実際、ポーションの質も上がったしな。そんなお前が有名にならねーわけねーじゃねぇか」

「はっ! 本官もあやかっております! リーズナブルで質の良いポーション開発、ありがとうございます!」


 師匠って……メメジーさんからは未だに小僧呼ばわりされてますけど?


「い、いえ、僕はメメジーさんの工房で少しアドバイスをしただけなんで、大した事はしてませんから」


 一ヶ月も軟禁状態ではあったけど、それなりに実入りもあったしね。


「国一番にアドバイスか。がっはっはっは! 俺にゃあ絶対に言えねぇセリフだぜ!」

「今後ともご活躍を期待しております!」

「は、はぁ…がんばります……」


 目立つつもりは無かったんだけど、結果として目立っちゃってたんだね。名前を売る気は無いんだけど、目立っちゃいけないとは誰にも言われてないもんね。


「お急ぎの所、失礼します」

「ん? なんでぃ」

「はい? なんでしょう」


 門兵さんに許しをもらえたので、吸血鬼の三人と町に入ろうとしたら、別の門兵さんに呼び止められた。


「先ほど警戒態勢が解除されたのですが、見張りの報告からしますと森の中から広範囲に渡る眩い光と巨大な竜巻が確認されております。ご両名は何かご存知ではありませんか?」


 あー……ここでも【結界殲滅陣】の話題か。そりゃ目立つ技だもんな。でも、ここはシラを切った方がいいかも。色々と聞かれて面倒そうだもん。


「おー! 俺もあれにゃあ驚いたぜ! なんせ、あの竜巻に巻き込まれて怪我ひとつ無ぇんだからよ」

「ふむ、何かご存知のようですね。聴取を取らせて頂いてもよろしいか?」

「もちろんいいぜ。だがよ、今は忙しいから後で構わねーか?」

「はい結構です。こちらも入門の整備で後の方が都合がいいので、明日の朝にでもお願いできますか」

「わかったぜ」

「ご協力、感謝します」


 ……シラを切れなかったよ。もう育毛剤は無しだな。


「キズナ様もご同席願えますか?」

「え? 僕も?」

「もちろんキズナも一緒に来るから心配ねぇ。な、キズナよ」

「え…ええ……」


 しかも当事者扱いですか。これは益々シラを切れなくなったよ。今から冒険者ギルドに行くからラピリカさんにでも相談しよう。ラピリカさんがギルマスだって話だから事情を話して何とかしてもらおう。


 門から冒険者ギルドまでの距離は近い。歩いて十分程度だ。

 門を通り抜ければすぐに到着した。


「では、ハーゲィさん、お願いします。みんなもハーゲィさんに従ってください。決して騒ぎは起こさないでくださいね」


 そう言って送り出したのも、冒険者ギルドの中は未だに喧騒としていて呼び出された冒険者達でごった返していたからだ。

 徐々に人は減って来ているが、ダンジョン攻略中の者も呼び出されたようで、待機料などの精算をしている人達で溢れ返っていた。


でもラピリカさんのいる登録窓口はガラガラに空いている。すぐにでも受け付けてもらえそうだ。それに、僕もラピリカさんに用がある。となると、行き先は同じになるのだ。

 でも、この方が都合がいい。列に並ぶフリをして三人の様子が伺えるからね。


「よぉラピリカ。今日は登録を頼むぜ」

「いらっしゃいませ。登録ですか? ハーゲィさんのお身内ですか?」

「身内ってわけじゃねーが頼まれちまってな。だが、薬草採取が得意だってーから、今後は身内になるかもしれねーな」

「おー! そうなのですね! それは有望な新人をありがとうございます!」


 ハーゲィさんと話しながらも、時折チラチラと視線を向けて来る。たぶん、ラピリカさんとしては先に僕と話したいのかもしれない。

 でも、順番は順番だ。抜かすのはマナー違反だ。それをラピリカさんも分かっているので、さっさと水晶玉を出した。


「おっと、そいつはいけねぇ。門でも割れちまったからな。デカイやつを出せよ、デカイやつをよ」

「そ、そうなのですね! それはまた素晴らしく有望な方々なのですね!」

「おぉ、まぁな」


 三人を褒められて照れてるけど、ハーゲィさんの事じゃないからね?

 魔力判定も恙無く終わり、三人の登録は簡単に終わった。

 今回は、ラピリカさんが僕と早く話をしたかったのか、統括との面談は無しだ。二人の統括は向こうで収集するのが忙しそうだしね。その代わり、三人ともDランクからのスタートだった。

 犯罪履歴とか何も言われなかったんだけど、結果はどうだったんだろう。凄く気になる。

 もっと気になるのは、普通に登録が終わってしまった事だ。この三人は吸血鬼まものなのにね。登録に関して人間と魔物の線引きって無いのかな。他にも魔物が登録してたりして……

 登録が終わるとハーゲィさんが宿の手配をしてやると言って、三人を連れ出して行ってしまった。

 あれ? 三人とも泊まるの? 森に帰るんじゃないの?


「お待たせしました。ようこそキズナ様、今日はどのようなご用件でしょうか。というか、半日ぶりではあるんですがね」


 冒険者ギルドの中は喧騒としていてもラピリカさんは平常運転だ。

 そりゃ、ここはガラガラだもんね。そりゃ、面倒事というか荒事は統括に任せてるし余裕もありそうだし、嫌味のひとつも出るか。

 てか、こういう時ってギルマスが仕切るもんなんじゃないの?


「あの、ですね……」


 森での魔物討伐は仲間と協力して自分がやった事だと説明した。精霊達の事は伏せて説明したのだけど、何処でどう勘違いしたのか、精霊達の人数と吸血鬼の人数が同じだったので、三人と説明した部分を吸血鬼の三人だと解釈されてしまった。

 原因を作ったのが吸血鬼で、収束したのが精霊なんだけど、精霊の説明をすると連れて来いって言われそうだから黙ってたのがいけなかったのだろう。あとで精霊達に知られたら怒られちゃうかもしれないよ。


「ナイスです、キズナ様。よくぞスカウトしてくださいました」


 サムズアップで上機嫌なラピリカさん。

 うん、完全に誤解してるよ。

 でも、今後キュラ君に冒険者として町に来てもらうんだったら、この方が都合がいいのかな? うん、そういう事にしておこう。


「そ、それほどでもー」

「では、今回のスタンピードの討伐としまして報酬は出せませんが、ランクを上げさせて頂きます」


 本来ならスタンピード発生時に緊急召集が掛かり、Dランク以上の冒険者は強制召集されるのだが、その緊急招集には僕は参加しなかった。

 だけど、町の外にいたためという理由でお咎めは無しだが報酬も無しなのだそうだ。

 冒険者ギルドとして行動したのではなく、個人での行動だったからという理由なんだけど、実際に討伐は完了している。それも、Aランクの冒険者でも出来ないような殲滅戦。

 真偽の程をどうやって知るのかは冒険者カードからだけど、しっかりと討伐数が記録されていたため、僕はBランクに昇級した。という事は、レベルも上がったのかな?


 ノスフェラトゥさん達は冒険者ギルドに登録前だったから記録はされてないけど、もし登録後だったら誤解されてなかっただろうね。

 因みに、腕輪アームレットだけど、ノスフェラトゥさんは縁は結構黒に近かったけど中央は薄い黄色だった。逆にバンさんは黄色が濃くて縁の黒が薄かった。

 キュラ君は二人より濃い薄黄色や薄黒だったので、内包している魔力や気力は少なくとも僕と同じ万能タイプなのだと思う。

 少ないと言っても、平均的なBランク冒険者より濃く見えるんだけどね。

 僕のは……と、袖の中に隠して着けている腕輪アームレットを見てみたけど、以前より更に色濃くなってるね。もうジャケット無しでは行動できないよ。メイドイン母さんだから脱ぐ気も無いけどね。封印封印っと。


 だけど、バンさん……吸血鬼なのに黄色が濃いっておかしくない? 吸血鬼は怪力だって話もあるけど、吸血鬼の怪力って魔力操作でやってるんだからね。血を吸ったりするのも魔力の補充だったり、コウモリに分化するのも全部魔力操作に長けてるからなんだよ? 脳筋の力技ってわけじゃないからね。


 門の兵士の所への出頭はラピリカさんにお願いして処理してもらえる事になった。ハーゲィさんには申し訳ないけど、日本人の記憶を持ってる僕としたら、やっぱり事情聴取ってあまりいいイメージが無いから、できるだけ遠慮したいよね。事情はもうラピリカさんに話したんだからさ。


 いい薬草が手に入ったらメメジーさんの所に行くより先に、こっちに納品しろと威嚇されて冒険者ギルドを後にした。

 魔石の情報も話したから、明日は【結界殲滅陣】を使った森の中で争奪戦が起こるだろうと言ってたから薬草採取は明日はお休みだね。

 だったら、そろそろブラッキーさん達と合流かな? ブラッキーさん達、どうしてるのかなぁ。


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