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第43話 ダンジョン探索終了


「どうしますか? キズナ様」

「えっと、何が?」

「ダンジョン探索に出発しますか? それとも誰かを喚びますか?」


 どういう意味だろ。メンバーは足りてると思うんだけど。ここに来るまでも大して時間を取らされる魔物もいなかったし、メイさんも参戦するなら問題ないと思うんだけど。


「意味が分かりませんか?」

「……はい」

「キズナ様は、まだご自分のレベルを疑ってらっしゃるご様子。でしたら試しに誰かを喚んでみては如何ですか? 私と同じ精霊クラスの者を。お勧めは韋駄天のイダジュウさんあたりでしょうか」


 テン君のお父さんだな。さすがにまだイダジュウさんには勝った事は無いけど、もしレベルが七〇〇だと言うのなら勝てるかもしれない。

 足に自信があると言っても、それは子供達の中での話しだからね。


「私が信じられませんか?」

「いえ、信じます。喚びましょう!」


 ここまでレベルについてしっかりと意見されたのは初めてだし、『クロスオーバー』の仲間が嘘をつくはずがない。

 僕はメイさんを信じる事にしてイダジュウさんを喚ぶ事に決めた。


「【クロスオーバー】イダジュウ!」


「おお! キズナ様! よくぞ喚んでくださった! もうテンの自慢話には飽き飽きしてたところですぞ!」


 ゲートの準備が整ったかと思ったら、一瞬で僕の前まで来ていた。さすがイダジュウさん、速すぎだ。


「どうです? キズナ様」

「……はっ! 確かにまだまだ喚べそうな感じがする!」


 そうでしょうそうでしょう。と、ドヤ顔で胸を張るメイさんだった。

 でも、本当に僕のレベルが七〇〇オーバーだったんだ。いや、二人を喚んだから六〇〇台になったかも。それでも凄いよ! さっきまでレベル五だと思ってたのに、お金だけじゃなく、レベルも凄い事になってしまったよ。


 だったら買い物で大人買いできなかったから、【クロスオーバー】で大人買いする?

 ここにズラズラ~っとみんなを喚んでさ。みんなでパーティでも…いやいや、もっと真面目に行こう。今はダンジョン探索が先だったね。


「では、参りましょうか、キズナ様。それとも、まだ何かありますか?」

「そうだねぇ、せっかくイダジュウさんに来てもらったんだから【ユニオン】しよっか」

「おお! それはいいですな。では、早速」

「ええー、私では無いのですか? 色々と教えてさしあげましたのに!」

「え? いや、メイさんには案内を……」

「むぐ…確かにそうでしたわね」


 もう! ジョンがへなちょこなのがいけないのよ! って文句言ってるけど、ジョン君がちゃんと案内できてたらメイさんは喚ばれてないからね?

 でも、喚んだおかげでレベルの事も知れたし、何かお礼ができたらいいんだけどな。


「メイ殿、申し訳ありませんな。では、遠慮なく行かせて頂きますぞ」

「私のお蔭なのにー」

「メイさんにも感謝してますよ。何かお礼をしますから」

「本当ですか! 素敵!」

「それではキズナ様」

「うん! イダジュウさん、行くよ!」

「承知しましたぞ!」

「合体魔法」


「「【ユニオン】!」」


 イダジュウさんと合体ユニオンすると、身体が頭一個分大きくなった。

 妖精達と【ユニオン】しても身体の色は変わっても大きさは変わらなかったのに、精霊となら少し大きくなるんだな。


「それではキズナ様からのお礼に期待して、取りこぼしの宝も回収しましょう!」

「え? でも、それって誰かが取る分じゃ……」

「いいえ、問題ありませんよ。次の人達はまだまだ後ろですから、ここから二〇階層分ぐらいからしか取りません。その人達が来る頃には宝物も復活してるでしょう」


 そこまで来れるとも思いませんが。ウフフとメイさんが不適に微笑む。


 次のグループ―――パーティっていうと、何階層まで来てるんだっけ。そもそもこのダンジョンの最高到達階層って…確か六五階層だったと思うんだけど。

 僕達って、今何階層にいるの?


「メイさん、今何階層なんですか?」

「九〇階層ですよ、キズナ様。残りあと十三階層です」


 という事は、このダンジョンは全一〇三階層で出来てたのか。中途半端な数字だね。

 でも、このランガンの町のダンジョン。通称『原初の海の女神迷宮ティアマト・ダンジョン』。

 ……まず名前からしていい予感がしない。一人の先生と同じ名前だから。まさかね……


「ジョン君、僕に捉まって!」

「わかったー」

「では、キズナ様、今度こそ行きますよ」

「はいメイさん。お願いします」


 探索を再開。メイさんの先導で、その後ろを付いて行く。

 その速度は先ほどまでの数倍。さすが精霊、妖精とは能力が違う。

 それでも、僕も精霊の韋駄天イダジュウさんと【ユニオン】してるから余裕を持ってついて行ける。これなら残り十三階層なんて、あっという間だな。


 メイさんの誘導は非常にスピーディ且つ優雅だった。

 僕も少し余裕があるからメイさんの仕草を見ていたら、途中途中で手をクイっと手招きしている。


 何なのだろうと不思議に思ってると、横道から盾が飛んで来たので驚いて急停止した。

だけどすぐにメイさんの仕業だと分かったので盾を眺めていたら僕の横を通り過ぎて後ろへと飛んで行った。

 そのアイテムの行き先を目で追うと、後ろにはアイテム群が飛んで付いて来ていた。

 うわー、これってさっき言ってた回収し損ねた宝物やドロップ品と、この階層の宝物だよ。あんなにいっぱいあったんだ。気配が無いから全く気付かなかったよ。

 アイテムを固めて浮遊させて付いて来させるなんて、便利な能力だなー。背負い袋が満タンになっても余裕で運べるじゃん。あの技を教えてもらえないかな。


 今は余裕があると言っても、雑談できるほどではないからね、還ってもらう時にでも尋ねてみよう。


「ここが最後の扉です。開けますか?」

「もう最後? 速かったねぇ。さっきの場所からまだ十分ぐらいしか経ってないと思うんだけど」

「うん! 超速かったー! ボクじゃ絶対追いつかないよー」

「それに、このお宝の山。いいの?」

「速いと言ってもキズナ様だって余裕があったではないですか。お宝の方が問題ないと思いますよ?」


 なんで疑問系なのか分かんないけど、ちょっと問題があるかもしれないのが分かったよ。


「それで、ここが最後の扉って事は、ダンジョンボスがいるとか?」

「ええ、おりますよ。ダンジョンのボスが」


 妙に引っ掛かる言い方するけど、いるんだね、最終ボス的な奴が。


「それと、気になってたんだけど、このダンジョンって、通称『原初の海の女神迷宮ティアマト・ダンジョン』って呼ばれてるんだって。それって原初の海の女神ティアマト先生と関係あったりする?」

「え? え…いえ、関係ない…ような気がします…ね」


 関係あるんだね。それをメイさんも知ってるんだね。もしかしてイダジュウさんも知ってるのか? ジョン君は…知らないみたいだね。


「じゃあ、先にお宝を仕分けてジョン君に持って帰ってもらおうかな。『クロスオーバー』に持って行ってもらったものって、後からでも取って来てくれるんだよね?」

「ええ、それはもう、しっかりと管理しています。ご指名頂ければ何時でも持ってまいります」

「いやいや、その時はスランチ達スライムに頼むよ。メイさんに頼んだら高くついちゃうから」

「そうなのですか…それはとても残念です。とてもとても残念です。でも、さっきキズナ様はおっしゃったではありませんか。お礼をしてくださると」

「えーと、そのお礼が喚び出せばいいって事?」

「はいー!」


 そんなにか! ま、でも本人がそれでいいと言うならまた喚んであげよう。


「何度でも喚んでください! 先日など、ピッピ達が何度も喚ばれるので、マリア様に捕まってましたよ」

「姉ちゃん! それ言っちゃダメー」

「あ……」


 もおう聞いちゃったよ。実はメイさんって意外と口が軽かったりするのかな?

 しかし母さん……何やってんだよ。はぁ、なんでピッピ達を捕まえたか知らないけど、またピッピ達を喚んで謝らないとね。


 メイさんが集めてくれたアイテム群の仕分け作業をする。

 剣や槍などの武器に、盾や鎧などの防具、アクセサリーに魔物の牙や鱗や皮の素材に、鉱石などの素材もあるし宝石もあった。

 他にも食用の肉もあったし、魔物の皮もあったし、魔道具まであった。本当に何でもあったよ。


 その中でもメイさんの説明を受けて、便利そうな物を幾つかチョイスした。


 『同化のネックレス』

 武器であったり防具であったり、何かと同化できるネックレス。これに僕は『八角鉄棍スラ五郎』を同化させた。

 背負ってるとそんなに邪魔にはならなかったんだけど、やっぱり手ぶらがいいもんね。

 黒い宝石のようなネックレストップを握って念じると『スラ五郎』に戻るし、再び念じるとネックレスになる。


 『ダンジョン脱出石』

 一度だけダンジョンから地上に転移できる石。一度使うと消滅する。ま、使い捨てだね。


 『身代わりの指輪』

 即死攻撃を一度だけ防いでくれる。効果が発生すると砕ける。


 『十センチ大のルビー』

 高価な大きな宝石。


 後は、背負い袋に入るだけ魔石を入れて、残りはジョン君と【ユニオン】を解除リリースしたイダジュウさんに持てるだけ持ってもらって、最後はメイさんが纏めて浮かせて運んでくれた。

 これって、メイさんだけで出来たんじゃないの?

 それでも折角手伝ってくれたんだからお礼を言っておいた。


「ありがとう。僕も行けたら手伝うんだけど、流石に僕はゲートを潜れないみたいだからね」

「いいえ、これぐらい問題ありませんよ」

「そうですな。メイもいるし楽な作業でしたな」

「姉ちゃんだけでよかったよねー」


 やっぱり誰でもそう思うよね。


「それではキズナ様。行きますか?」

「あ、ダンジョンボスの部屋だったね。今日は辞めとくよ」

「えっ!? この扉に入らないのですか?」

「うん、今日の目的は果たしたからね。時間も時間だし、今度みんなと来た時に挑戦するよ。だって長くなりそうでしょ?」

「それは…そうですけど……」


 目的はブラッキーさん達と合流した時に僕だけ到達階数が少なくて、二人の手を煩わせない事だからね。

 ここまで到達してれば足を引っ張る事も無さそうだし、『ダンジョン脱出石』も手に入れたから態々ボスを倒すまでも無いしね。

 ボスを倒すと地上へのショートカットがあるらしいけど、流石にラスボスと言うだけあって手強いだろうし、時間も掛かるだろ?

 戻るにしても二階層ほど戻らないといけないし、折角『ダンジョン脱出石』があるんだから使えばいいよね。


「じゃ、三人ともお疲れ様」

「「「え……?」」」

「僕ももうダンジョンから出るから、三人を送るよ」

「「「え……」」」

「送還!」


 普段なら『クロスオーバー』のゲートを開くだけで、さよならの挨拶をして自主的に還ってもらうんだけど、今日は疲れたし強制的に還ってもらった。

 「本当に行かないのですかー! 叱られますー!」という言葉だけがダンジョン内に響く中、メイさん達には還ってもらった。


 本当も何も、ダンジョン制覇なんてしようと思ってないし。ここまで来ただけで十分だよ。


 三人を還した後は、僕もすぐに『ダンジョン脱出石』を使って地上へと戻った。

 そして、僕達が去った後には、「いつまでわらわを待たすのじゃー。キズナ様はいつになったら来るのじゃー」と、ラスボスの声がダンジョン内に響くのだった。


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