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第41話 単騎ダンジョン探索

 勢いよく町へ繰り出したが、結局、溜まっていた宿代を払っただけで、他に使う事は無かった。

 宿代と言っても、荷物を預けていた預かり賃みたいなもので、一応部屋が満室になる事が無かったので部屋に置いていたちょっとだけの荷物(ポーションの入った袋など)の置き代だったので非常にお安かった。宿代の1/5程度。一ヶ月空けていたのに金貨一枚にも満たない。

 部屋は占有してると言ってもいいのに、非常に良心的だと思って感心してしまった。


 で、町でお金を使わなかった理由……欲しい物、必要な物が無いんだ。

 本当に何も無かった。

 装飾品? 必要ない。武器? 【スラ五郎】があるじゃん。防具? 母さんの服以上のものがある? ポーション? 今までポーション作りに没頭してたよ。食料? 調味料も含めて現地調達だよ。以前、購入したものもまだ残ってるしね。


 という事で、結局使ったのは宿代だけ。しかも荷物の管理費のみ。


 不完全燃焼だー! 初めての大人買いとか考えてたのに、結局いらないものは無理に買わない、買う必要が無いと思ったら全部無駄遣いに思えて来て、なーんも買わなかった。

 なんなの、これ! お金があったら幸せな気分になれると思ったのに、全然だよ。


 もやもやしたまま宿屋の寝床に入り、朝を迎えた。

 このもやもやを解消するにはダンジョンに行くしかない。森に行って友達になれるような魔物を見つけてしまったら、それこそもっとモヤモヤしてしまうだろう。

 だったら、ダンジョンの魔物を相手に憂さ晴らし、という結論になった。少しはレベルを上げて【クロスオーバー】を余裕を持って使いたいしね。

 僕のレベルは…五らしいから……


 前回、みんな纏めて喚んだのが響いたんだろうな。もう少し小出しにした方が良さそうだ。


 ブラッキーさん達は、もう少し二人だけで行動したいと伝言を聞いてるんで、単独でのダンジョン探索になる。が、僕はCランクだから単独でダンジョンに潜る許可も出る。

 踏破階層は十階層だから、十一階層から挑める。

 ブラッキーさん達は二十階層まで踏破してるみたいだし、僕も追いついておかないと、彼女達にまた十一階層から付き合ってもらうという手間になってしまう。

 少し貯金ができるぐらいまで踏破してみるかな。ダンジョンに潜む魔物次第だけど、時間と実力が許すところまで行ってみよう。


 ダンジョン入り口で冒険者カードを見せて入場の許可をもらった。

 ダンジョンに入るとすぐにある小部屋に入る。この部屋の床には直径二メートルほどの魔法陣が描いてあり、その上に乗り行きたい階層を念じると、念じた階層に転送してくれる仕組みになっている。

 帰って来る時は、隣の小部屋に転送されるようになっている。

 魔法陣に入れるだけの人数しか一気に転送されないので、パーティメンバーの人数もここで制限される。

 別便で転送された場合はパーティメンバーとされないので、一緒に戦っても経験値は振り分けられない。だから、四~五人でパーティを組むのが一般的だ。大きな人で重装備だと三人で満タンになってしまう。

 だから大きな人と小柄な人を混ぜて組むので必然的に役割分担が出来てるみたいだ。

 小柄な人ばかりで組んで行く人達もいるみたいだけど、盾役がいなくなるのでダンジョン探索はあまり捗らないようだ。


 さて、今回は踏破階層を稼ぐのが目的だから、サクサクっと十五階層まで出来る限り最短距離でやって来た。そして気付いた。ヒマだという事に。

 ダンジョンの単独探索の練習も何度かやった事があるから、一人に慣れてないわけじゃないんだけど、ここまで雑魚すぎると余裕があり過ぎてつまらない。

 ここまでで少しは経験値も稼げただろうから、誰かを喚んでみるか。


「う~ん、ダンジョンと言ったらやっぱりダンジョンマスターもやってる火炎龍のマグマダロスさんかなぁ。でも、レベルの高い人を喚ぶと、その分多くの経験値が必要になるから、もっとレベルの低い人がいいよな。たしかダンジョン創造神のダンジョックさんには子供がいたよね。うん、その子にしよう」


 たしか名前は……


「【クロスオーバー】ジョン君!」


 いつも通り小さめのゲートが現れ、ゲートの向こうから小さな影が現れた。


「キズナ様ー! やっと喚んでくれたー!」


 体長三〇センチほどの妖精サイズの男の子、ジョン君が勢い良く出て来た。


 ボフッ! っと、勢い余って僕のお腹に頭突きをかましてくれた。

 うん、全然痛くは無いんだけど、危ないから辞めようね。


「よく来てくれたね。でも、危ないから人に向かって突撃しちゃダメだよ?」

「はーい」


 うん、素直ないい子だね。

 たしか、ちょっとおっとり系の子だったはずなんだけど、結構活発な感じになってるね。

 ここがダンジョンの中だからかな? ホームグランドでは強い内弁慶的な?


「でもジョン君って飛べたっけ? 君、羽持ってないよね? どうやって飛んでるの?」


 僕も飛べないから気になって聞いてみた。もし、僕にもできるような技なら真似してみたいし。


「ダンジョン限定だよ。キズナ様と会う時って、いつもお外だったでしょ? お外ではボク飛べないから」


 そういう縛りがあったんだ。へぇ、ダンジョン内だと飛べるんだね。ダンジョン創造神の子だからできるんだろうな。それは真似できそうもないや。


「他にもダンジョンの中だったらできる事が多いから、何でも言ってね」


 ほぉ~、それは知らなかったよ。習ってなかったしね。これはジョン君を喚んで、当たりだったかもしれない。


「だったらさ、多少魔物が出てもいいから最短距離で行ける道は分かる?」

「わかるよー! ボクにまかせてー! 罠も止めちゃうねー!」


 おお! そんな事もできるんだ!


「じゃあ、ボクに付いて来てねー」

「うん、ありがとうね」


 そう言って先導してくれるジョン君だったけど、超高速で飛んでいくので付いて行くのがやっとだ。

 これでも足には結構自信がある。その僕が付いて行くのがやっとだなんて、ジョン君って凄く速くなったなぁ。


「ダンジョンの中だけだよー。お外では飛べないし、こんなに速くも移動できないよー。そんなボクに付いて来れるキズナ様の方が凄いと思うよー」


 あ、そうなんだ。ダンジョン特化型なんだね。

 それでも十分に凄いと思うよ。僕の事なんて褒めなくていいのにね。これでも足には自信があるんだよ。


「一度休憩にしようか」

「そうだねー、この先にセーフティゾーンがあるから、そこで休憩するー?」

「うん、そうしよう」


 ジョン君に案内され、セーフティソーンまでやって来た。その間、数秒。ジョン君って速いなぁ。


「ダンジョン内のボクの付いて来れるんだから、キズナ様だって速いよー」


 僕は足には自信があるからね。それに出会った魔物も数体だったし、倒した後に残る魔石はジョン君が遠距離操作で確保してくれるからイチイチ取りに行かなくてもいいから楽チンだ。


「結構溜まったねー」

「そうだね。でも、まだまだ入るよ」


 今回、ポーションを少なめにしてポケットに入るだけにした。背負い袋は食料を少し入れてるだけだから、まだ半分ぐらいは余裕がある。

 だけど、さっきから魔石が大きくなって来てるから、この調子で進むとすぐに満タンになってしまうかもしれないな。

 ま、お金はメメジーさんとこで結構稼いだので、少しぐらい取りこぼしてもいいと思うんだけど、お金を持つなんて前世以来だし、どの程度持ってれば安心できる額なのかもイマイチ分かってないので、稼げるだけ稼いでおきたいもんな。


「ジョン君、ここで料理したいんだけど火を出せる?」

「もちろんだよー。キズナ様の料理なんて久し振りだー! 嬉しいなー」


 ジョン君がサッと手を振ると、床からゴゴゴゴゴゴと釜戸がせり上がって来た。

 一般家庭で使われるような薪仕様の釜戸だ。


 他所のダンジョンでも力が振るえるんだね。ジョン君って、ダンジョン内じゃ無敵なんじゃない?


「ダンジョン操作は少しはできるんだよー。でも、魔物を倒したりはできないんだー」


 確かに戦闘は全部僕がやって、ジョン君は避けてるだけだったな。

 それでも、凄い能力だよ。ダンジョン内ではジョン君と遊ばなかったから知らなかったな。うん、今日ジョン君を喚んで大正解だよ。


 火の調節もジョン君にやってもらい、持って来た食材と小さな鍋で、簡単な煮物を作った。持って来た野菜を全部入れた、肉じゃが風の煮物だ。

 肉じゃがって、よく煮込んだ方がいいと言うけど、落し蓋をしてやれば結構短い時間でもしっかりと味が染みるからね。ようは味付けと調理法なんだよ。

 もちろん、魔法を使って圧力鍋の効果を再現したり、料理スキルで味付けや時短効果も使っての事だが、基本は同じである。


「やっぱりキズナ様の作る料理って美味しいねー♪」

「うん、やっつけの割りに美味くできてる。僕の腕もちょっとは上がったかも」


 ポットちゃんとパンくんに近付く日は近いのでは? と自画自賛状態のキズナであった。

 ポットちゃんとバンくんは妖精で、その上には料理の精霊や精霊女王といった面々もいるのだが、一度か二度しか会ってない面々の事などキズナの頭には無かったのである。


「さて、そろそろ行こうか」

「うん、美味しかったー。また作ってねー」


 食事後の食休みも終わり、再出発となった。

 体感時間だが、まだダンジョンに入って二時間ほどではないかとキズナは思っている。

 太陽や星が無いので、ダンジョン内では体感時間が狂いやすいのだが、その点もキズナは鍛えられていたので、大した誤差は無かった。実際、キズナがダンジョンに入ってからの時間は二時間弱であった。


「今って何階層なのかな?」

「えっ?」


 さすがに超高速で先導するジョン君に付いて行くのに必死で、階層まで数えてなかったので尋ねたんだけど、ジョン君も数えてなかったようだ。

 確か、二〇階層と三〇階層のボス部屋の前では少し待たされたから覚えてるんだけど、それ以降は詰まる事無く進んで来たからよく分からないんだ。


「ゴメンー、キズナ様と一緒なのが嬉しくて数えてなかったー」

「あ、別にいいんだ。今日は攻略階層の貯金をするつもりだっただけだから。それに、ジョン君なら何階層か分かるんじゃないの?」

「そうなの? でもゴメンなさーい、ここが何階層なのかわかんないやー」


 もっと浅い層だったら分かったのだそうだが、中層以降、読み取り難くなったようなのだ。

 もっとも、さっきの釜戸を出したような多少のダンジョン操作や、現在の階層の道や倒した魔物の落とすドロップ品や魔石についてはここまで同様に操作できると言う。

 そのへんの線引きがよく分からないけど、現状で何階層か分からないだけで、ここまでとやる事は変わらない。

 だったら、今日は時間の許す限り踏破するだけだね。ブラッキーさん達と合流した時にお荷物にはなりたくないからね。


「そういえば、ドロップ品が無かったね。このダンジョンってあまりドロップしないのかな?」

「え? 欲しかったのー? 欲しいのは魔石だけだと思ってたー」


 確かに言ってなかったけど…あったんだね。

 ここからはドロップ品も回収してもらうように言って、先へと向かって出発した。


 それから更に二時間、背負い袋がパンパンに膨れ上がっていた。


「もうこの辺でいいかな。まだ時間はあるけど荷物がいっぱいになっちゃったよ」


 こういう時にブラッキーさんの持ってた収納バッグがあれば便利なんだけどなぁ。高いだけじゃなく凄く希少でほとんど出回っていないらしいんだよなぁ。

 そういえば、今の僕ってお金持ち? もしかして買えたりしないかな。

 誰かに聞いてみよ。ラピリカさんかメメジーさんなら知らないかな。ブラッキーさんに代理で買ってもらうのもいいかもしれない。


「それって、前にスライムに運んでもらってなかったー? ここでも喚べるでしょー?」

「あっ、そうだね。でも……」


 今の僕ってレベル五だから、あまり使いたくないんだよね。

 でも、今日もレベルは上がったはずだから数回分ぐらいは稼げたんじゃないだろうか。

 う~ん、荷物のためにスランチ達を喚ぶか、それとも温存して貯金としておくか。

 問題はブラッキーさん達が、今どこまで攻略してるかなんだよな。

 その情報を知らないから、少しでも深層に行っておきたいし……よし、行くか! いつ合流してもいいように、できるだけ深層に行っておこう!


「決めた! スランチを喚ぶよ」

「じゃあ、まだダンジョンにいるんだねー。やったー!」


 喜ぶジョン君ににやけつつ、スランチを喚んだ。今回は背負い袋一つだから一人でいいかな。少しでも節約したいもんね。


「【クロスオーバー】スランチ!」


 ゲートの中からポンポン跳ねながらスライムが一匹出て来た。スランチだ。


「キズナ様ー!」

「スランチ。いつも運び役してくれてありがとう」

「それで、今日は何を運ぶの?」

「この背負い袋の中身だけって行ける? 背負い袋はまだ持っておきたいんだ」

「行けるよー! じゃあ、ボクの上で袋を逆さにしてー。中身だけボクが取り込むから」


 そんな事も…って今更か。自分より大きなオークも一旦取り込んでから運んでたもんね。

 容積的に合わないんだけど、そこは魔物の七不思議のひとつとして誰もツッコまないから、僕もツッコんではいけないと思うんだ。


 ザラザラザラーと背負い袋の中身だけをスランチに取り込んでもらい、一時預かりのために『クロスオーバー』の世界に還す。

 残ったのは空になった背負い袋とまだまだ遊べると、やる気満々のジョン君。もちろんキズナもやる気では負けてない。貴重なスキルを使ったのだから。


 念のために言っておくが、現在のキズナのレベルは七百オーバー。スキル【クロスオーバー】も千回は使えるだろう。

 だが、前回ラピリカにアバウトなレベル診断してもらった時に『五』と診断された。それも多めに見てとも言われたのだ。

 キズナは自信で【鑑定】ができないため、その診断を信じている。

 だが幸運な事に、この後ジョン君の助言により、キズナに思いもよらぬ味方が現れるのだった。


「キズナ様ー、この先は道が分かりにくくなってるので、お姉ちゃんを喚んでほしいんだー」

「お姉ちゃん?」

「うん、ボクのお姉ちゃんのメイだよー。お姉ちゃんならこの先の道も、この階層が何階層かも分かると思うんだー」


 ここでキズナは悩んだ。貴重な経験値を使ってスランチを喚んだばかりだ。これ以上、経験値を使うのは避けたい。

 しかし、この先に進むと決めてスランチを喚んだのに、今更道が分からず先へ進めなくなるのは困る。

 道が分からずともダンジョン探索は続けられるだろう。しかし、これまでよりグッとペースが落ちてしまう。

 もう昼も過ぎて、今日の後半戦になっている。ここで時間を無駄にするのは避けたい所だ。


 思い悩んだ挙句、キズナはメイを喚ぶ事にした。


「分かった。メイさんを喚ぶよ。メイさんなら分かるんだよね?」

「うん、絶対分かるよー」

「よし! それじゃ」


 なけなしのお金で最終レースに賭けるが如く、気合の入ったキズナがメイを喚んだ。


「【クロスオーバー】メイ!!」


 今までで一番気合の入った声で叫んだキズナ。

 気合を入れても入れなくても、効果は変わらないし消費される経験値も変わらないのだが、こういうのは気持ちが大事だろう。


 キズナとジョン君の前に魔法陣が広がり、中からゲートがせり上がって来る。

 今まで喚んだ妖精達はせいぜい高さ五〇センチ程度のゲートだったのに対して、今回は二メートル近い高さのゲートが現れた。


 そのゲートを見たキズナは、しまった! と後悔したが、時既に遅し。もう【クロスオーバー】は完成してしまったのである。


「キズナ様ー! やーっと喚んでくださったのですねぇ! 私達精霊クラスは喚んでくださらないのかと思ってましたわ! あれ? どうなさったのですか?」


 お前のせいだよ。とは言えず、ガックリと両手を地面につき、項垂れるキズナを気遣うメイだったのだが、キズナに喚んでもらった嬉しさの方が勝ってしまった。


「キズナ様! 私が来たからにはこんなダンジョンなんてさっさと制覇しちゃいましょう!」

「おー!」

「……」


 テンションMAXな姉弟に対して、未だテンションが上がらぬキズナであった。


 妖精クラスでレベル三〇(自己予測)からレベル五まで下がったと思ってるキズナが、精霊クラスを喚んでしまったのだ。今日はもう送還すら出来ないんじゃないかと落ち込んでいるのだ。

 逆によく喚べたな、とも思ってしまう。


「キズナ様、元気がございませんよ? それなら姉も喚んでくださいますか? なんでしたら父でも構いませんよ?」

「なっ! なんてことを……」


 もう既にレベル1になってるだろう僕なのに、なんでメイさん以上の人が喚べると思ってるんだ。僕に死ねと言ってるのか?


「そんな力なんて残ってませんから」

「何をおっしゃるのですか!? キズナ様の力があれば、私など後百回喚んでも問題ありませんよね?」

「え……?」

「え?」

「はい?」


 三人とも目が点になり、無言で見つめ合う。

 まずは疑問が先に立ち、キズナが静寂を破った。


「い、いや、メイさんを百回!? そんなわけないでしょ。だって、僕のレベルは五って……」

「五…の後には何が続くんですか? 十って事は無いでしょうから百ですか? 私の見立てではまだ上だと思いますが」

「えっ? メイさんって【鑑定】持ちですか?」

「いいえ? 持ってませんけど、ダンジョン内だとボンヤリとですが、力やレベルが分かる程度です。でも、誤差は三も無いありませんよ」

「マジ?」

「はい、マジです。レベルが百までならピタリと当たりますが、五百を超えると誤差はありますね。でも、それぐらいの人のレベル三程度ってほとんど当たってると思いませんか?」


 それでも、父は怒るのです。と、ちょっとプリプリして怒ったふりをするメイさん。

 僕よりちょっと年上って感じだけど、可愛らしい人だね。

 確かにレベルが五〇三の人と五〇〇の人って、そう変わらないよね。


 でもちょっと待って? 僕のレベルが五〇〇オーバー? いやいや、それは無いでしょ。


「あー、疑ってますね? では聞きますが、私を喚ぶのにレベルいくつぐらいの経験値が必要だか分かってますか?」

「えーと…五?」

「……」

「い、いや、十…かな?」

「約五〇です。スライムでしたら一もいりませんが、ジョン達の妖精クラスで三~五はいります。今のキズナ様でしたら父でも喚べると思いますよ」

「ご…ごじゅ……だったら僕のレベルは……」

「七百はあるんではないでしょうか」

「で、でも、レベルは九九までって……」

「それは『クロスオーバー』の世界でも同じですね。一般は五〇まで、上限解放した上位者が九九まで。でも、キズナ様は限界解放者ですから上限は無いのです。そういう加護をいくつもお持ちなのですよ」


 マジか……全然知らなかったよ。僕のレベルって、そんなに上がってたんだ。しかも上限無しで何処までも上がるって。

 たしかに、それぐらい無いと精霊クラスは簡単には喚べ無いよな。それが喚べたんだからメイさんの指摘は合ってるのか?

 う~ん、急にレベルが七〇〇だなんて言われても信じられないよ。


「キズナ様ー! 時間が無いんでしょー?」

「そ、そうだった、今日は行けるとこまで行くんだった。考えるのは後だね」

「行けるところまでですか? ではダンジョン制覇しちゃいましょう! 残りはあと十三階層ですから」

「「えっ!?」」

「知らなかったのですか? ジョン! あなたがいて、なんで知らなかったのですか!」

「ゴメン、お姉ちゃん。他所のダンジョンの深層って読みにくいんだもんー」


 姉に叱られシュンとするジョン君。

 ここまで協力してくれたジョン君が叱られるのは申し訳ない気持ちになるので、僕が言い訳を買って出た。


「ジョン君はまだ妖精なんだからこれからだよ。それよりもジョン君って速いんだ。それに倒した魔石の回収も全部やってくれたし、今日は凄く助けてもらったんだよ」

「うん! ちょっとドロップ品は忘れちゃったけどね!」


 それは言わなくていいんだよ。ほらぁ、優しそうになったメイさんの目がキッてなっちゃったじゃないか。


「今日は帰ったらお話しましょうね」

「えー、ヤダよー。お姉ちゃんのお話って長いんだもんー」

「いいえ、今日はしっかりと最後まで聞いてもらいます」

「えー、許してよー」


 今のは自爆だから自業自得だよね。最後にフォローは入れてあげるけど、ダメかもしれないね。ガンバレ、ジョン君!


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