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第29話 フロアボス戦


「えーと……料理?」


 何をしてるのかと言われれば、料理と答えるしかない。


「……あなた、なんでさっきから疑問系なの? っていうかぁ、なんでこんなところで料理なんかしてるのよ!」

「えーと……手持ち無沙汰だったから? い、いえ、だったからです!」


 また疑問系だと怒られると思ったので。すぐに言い直した。

 なんか、この人、苦手だ……


「はぁ…まったく非常識なパーティね」

「ここで料理をしてはいけなかったのでしょうか」


 ダンジョン内で料理をしてはいけないというルールは無かったと思うんだけど。


「いけなくはないけど、普通はしないわよ」

「でも、料理してるって、よく気がつきましたね」

「これだけ美味しそうな匂いが漂ってれば誰だって分かるわよ」


 匂いか! 当たり前と言えば当たり前か。魔法陣を隠す事ばかりに気を取られてたよ。


「ルール違反では無いんですね?」

「ルール違反じゃないわ。非常識だって言ってるの。それで……」

「はい?」

「それは売ってもらえるのかしら」

「は、はい?」

「だから、その料理は売ってくれるのかって聞いてるのよ!」

「あ、いえ、でも非常識って……」


 この女性の言ってる事が分からない。怒りに来たのかと思ってたんだけど。


「非常識だけど、そこに四人分の料理があるんでしょ! あなた達のパーティは三人なんだから一人分余るじゃない! それを私が買ってあげるって言ってるのよ!」


 やっぱり意味が分からない。僕は料理で生計を立ててはいないんだけど。

 この人って僕に文句を言ってたんじゃないの? なのに料理を売れって……


「えーと、僕は料理屋ではありませんが」

「そんなの分かってるわよ! あなたは料理もできる荷物持ちなんでしょ! だからダンジョンにも連れて来てもらえて分け前を貰うんでしょうから、その料理を私に売ればあなたの稼ぎにもなって嬉しいんじゃないの?」


 やっぱりよく分からない。なぜこの人に売らなきゃいけないんだ? というか、こんな料理が売れるの? そりゃポットちゃんとパンくんが作った料理は美味しいけど、売れるような食材は使ってないんだけど。


「えっと…もしかして、この料理が欲しいんですか?」

「ずっとそう言ってるでしょ!」

「それなら差し上げますよ。ただ暇だったので作ってただけですから、別に四つとも差し上げても構いませんよ」


 別に小腹が空いた程度なんで、食べなくとも構わない。

 それより、この人に売って、値段がどうとか言われる方が面倒な気がする。

 前にも言ったけど、母さんには面倒事に率先して関わりなさいとは言われたけど、面倒事を作りたいとは思ってないんだから。


「え!? あなた達が食べる分じゃ……」

「いえいえ、違いますよ。さっきも言いましたけど、手持ち無沙汰だったから暇潰しに作ってもらっ……作ってただけですから」

「そうなの?」

「はい」

「だったら、仲間も呼んできてもいい?」

「別にいいですけど、今並んでる順番はどうなるんですか? それに大した量はありませんよ?」


 確か、この人のパーティは次のはずだけど。


「そうね。だったら向こうで食べ……」

「それは辞めて下さい。ブラッキーさんとホワイティさんの集中が乱れますから」

「そ、そうね、彼女達はフロアボス戦に向けて集中してたわね。分かったわ、二人ずつ来るけど分けてもらえる?」

「はい、いいですよ」


 じゃあ、呼んで来るわね。と言って彼女は戻って行った。

 ブラッキーさんとホワイティさんって有名そうだったから名前で言っちゃったけど通じたね。やっぱり二人は有名なのかな?


 すぐにさっきの女性ともう一人の女性がやってきた。

 目当ては今出来上がった料理だ。

 二人の女性には料理しか見えてない。やっぱり妖精を見る力は無いみたいだ。ポットちゃんとパンくんの姿も鍋さえも彼女達には見えないみたいだね。


「では、頂くわね」

「ゴメンなさいね、この子が無理言ったみたいで。でも助かるわ、もの凄くお腹が空いてたんだもん」


 もう一人の方の女性は物腰の柔らかそうな女性で、僕にお礼を言って食べ始めた。

 こういう所は冒険者なんだろうね。どこででも食べたり寝たりできるのが冒険者の強みだから。


「お、美味しい!」

「ホント、なにこの美味しさは……町の食堂でもこんなの食べた事が無いわ」


 料理を絶賛してくれる二人。

 僕が作ったんじゃないんだけど、それでも友達が褒められて嬉しくないはずが無い。

 一気にかき込むように食べる二人の女性。女性としては、あまり褒められた食べ方じゃないけど、お腹が空いてるんなら仕方が無い部分もある。大した量の料理じゃないけど、少しは腹の足しになったんじゃないかと思う。

 おかわりは? って顔をされるけど、そんな量は作ってないからね。それに初めは料理してるのに対して文句を言ってたよね?

 今からフロアボス戦なのにまだ食うのかよ! って思わなくも無い。それも女性としてもそうだけど、冒険者としてもどうなのかと思うよ。

 まぁどうせ、目の前にいる男は僕だけだしね。分かってるよ、あなた達も僕の事は恋愛対象外なんでしょ?


 食べ終えると、お金を払おうとするから、それは遠慮させてもらった。

 こっちから差し上げると言った手前、丁重にお断りさせてもらった。

 その代わり、少し情報をもらった。


 彼女達は男二人女二人の四人パーティで『暁に輝く星アルデバラン』というそうだ。なんか、僕達のパーティ名より格好いい。

 

 少し話して分かったのは、僕が腕輪アームレットを着けてないから荷物持ちだと思われてた事。僕の事は『できない君』だと思ってたそうだ。それは、料理を食べた後でも変わってないみたい。料理は振舞ったけど戦闘は見て無いもんね。っていうか、ダンジョンではほとんど戦ってないから。

 だからだと思うけど、フロアボスも何度か倒してるパーティだったので、弱点なんかも教えてもらった。

 彼女達『暁に輝く星アルデバラン』は、週に三度はここのキングゼリーを周回してるのだとか。残りの日は十一階層以降を探索してる事が多いらしい。


 フロアボス―――キングゼリーの弱点は魔法全般で、特に火魔法に弱いそうだ。

 一応、僕も知ってたけど、この世界でも同じだったのは朗報だった。ブラッキーさんの適正魔法も火と風だから相性は良さそうだ。


 少し話すと交代すると言って戻って行く二人の女性。入れ替わりに二人の男性がやって来た。

 その人達も一気に食べきって戻って行った。

 その男性達は、町に戻ったらご馳走するぜと言ってくれたから、もし冒険者ギルドで会う事でもあれば素直に奢ってもらうとしよう。


「キズナ様~。もう終わり~?」

「まだいたい!」


 食材はもう無いから料理はできないけど、暇潰しのために来てもらったんだから僕としても二人にはいてもらった方がいい。二人の希望通り残ってもらおうと思う。

 でも、順番は次の次だし、いつまでもここにはいられない。


「うん、まだ還らなくてもいいんだけど、向こうに戻らないといけないんだ。僕は小声でしか話せないけど、それでいい?」

「やった~! いいよ~!」

「うん、それでいい!」


 ポットちゃんとパンくんを左肩と右肩に乗せ戻ってくると、ちょうどさっきご馳走したパーティが扉に入って行くところだった。

 次が僕達の番だね。早く終わってくれるといいな。

 僕達も扉のすぐ近くに移動したので、ブラッキーさんに確認してみた。


「ブラッキーさん。最終確認ですけど、やっぱり一人で戦うんですか?」

「もちろん! 絶対に手を出さないでね」

「わかりました。でも、危なくなったら加勢には入りますよ?」

「そうはならないわ! ホワイティには回復魔法や補助魔法を使ってもらうつもりだから」


 なるほど。それなら大丈夫…かな?

 今のブラッキーさんなら、キングゼリー程度なら負けないと思うけど。


 それから約三〇分後、フロアボスの部屋の扉が開いた。


 カッと目を開いて立ち上がるブラッキーさんが先頭になってフロアボスの部屋に入った。

続くブラッキーさんの後を追って僕も中に入る。

 先に入ったパーティ―――『暁に輝く星アルデバラン』は既に見えなかったので、先の階層へと進んだんだろう。

 その証拠に、この部屋の主であるキングゼリーが沸いてくるところだった。

 もし、『暁に輝く星アルデバラン』が倒されていれば、僕達はその続きとなっていたはずなのだから。


「ホワイティ! お願い!」


 気合十分のブラッキーさんがホワイティさんに補助魔法を頼んだ。

 その言葉に答えるようにホワイティさんが魔力アップ(弱)と速度上昇(弱)の魔法をブラッキーさんに付与した。ホワイティさんは回復魔法はまぁまぁだけど、支援魔法はまだ覚えたてだから仕方が無い。

 それでも無いよりはマシだから、ブラッキーさんに付与していた。

 ブラッキーさんも親指を立てて返事をしてるから、有り難く受け入れてるようだ。


 ホワイティさんが、僕達より三歩ほど前に進み出て杖を構えた。

 慎重に魔力を溜めてるところをみると、今の自分で放てる最大魔法で一気に方をつける気だ。

 うん、僕もいい作戦だと思う。

 相手は一体。しかも的が大きい。ならば外れる心配は少ないし、先手必勝が最善だと思う。


 ボシュッ! っと放たれた大きな【火球ファイアボール】がキングゼリーに命中した。

 今まででホワイティさんが放った中で、一番大きな【火球ファイアボール】だった。


 あれ? ちょっと逸れちゃったかな?


 僕の見立て通り、ホワイティさんの放った【火球ファイアボール】はキングゼリーの右1/3を抉っただけに留まった。

 ジュッ! っと火に焼けるような水が蒸発するような音をたててキングゼリーの身体が1/3消失した。

 だが、まだキングゼリーは死んではいない。


「ちっ! あれだけ集中したのに……」

「まだ大丈夫! ブラッキー、ここからが勝負ですよ!」


 悔しそうなブラッキーさんをホワイティさんが励ます。

 確かにホワイティさんの言うように、まだまだ挽回の余地はある。

 狙いが外れたとはいえ、キングゼリーもかなりの痛手を負っている。

 スライム系の魔物は痛みを感じないけど、ノーダメージというわけではないのだ。やはり傷を負う―――スライムの場合は身体の損失を負うになるけど、その場合は動きが鈍るのだ。

 今回は1/3も失ってるんだから、非常に動きは鈍い。

 しかし、スライム系は再生能力も高い。本来なら魔物の死骸や魔力を含んだ草なんかを吸収して再生するんだけど、ここには吸収できるものは何も無い。

 それなのに再生を始めてるところを見ると、ダンジョンに漂う魔素を吸収して再生してるんだと思う。

 実際に見た事が無いので予想でしかないんだけど、たぶん合ってると思う。


 僕もダンジョン経験者ではあるけど、スライム系の魔物を一撃で仕留められなかった事が無いからあくまでも予想なんだけどね。

 だって、あんなに分かりやすい弱点を外すはずがないんだから。

 スライム系の核―――魔石は身体の色と同じ色をしているから分かりにくいけど、全然見えてるから。

 ブラッキーさんには見えて無かったのかな? 単純に狙いを外しただけのような気はするけどね。


 さて、ここからどうするか。アドバイスを送ってもいいのだろうか。それも手助けに入れられたら困るから、助けを請われるまで黙ってるしかないかな。


「キズナ様~。あの人って下手糞なの~?」

「外したよね。下手糞だね」

「……」


 こんなの返事できないって。ポットちゃんもパンくんも声は誰にも聞こえてないけど、僕の声は皆に聞こえるんだから。


「あんなに大きな火なんていらないのにね~」

「そうだね。魔石が見えてるんだから、もっと小さな火でいいのにね」


 言いたい放題な妖精達だけど、僕もそう思う。だけど、キングゼリーに賭けているのを見ていただけに、妖精達に素直に同意もできなかった。

 だから、次の手としては、動きの鈍ったキングゼリーの核をしっかり狙う事。僕はそう望んでいた。

現状での最善策は鈍った動きのキングゼリーだから目を瞑ってでも当てられるだろうし、大きな火魔法を使う必要が無いのだから。


「あれあれ~? もったいな~い!」

「そうだね。あれって不味いのにね」


 ブラッキーさんが取った次の手は、MP回復ポーションを飲む、だった。

 悪手とまでは言わないけど、あまりいい選択とは思えない。また同じ魔法を使うんだろうか。

 せっかく動きを鈍らせたのに、また最大魔法を使うのだろうか。

 さっき放った魔法を見る限り、ブラッキーさんは最大魔法をしっかり制御できてない。今の【火球ファイアボール】もキングゼリーが避けたのではなくて、ブラッキーさんが狙いを外したのだから。


 ジリッジリッと近付いてくるキングゼリー。

 再生速度も僕が予想していたより早い。この部屋に漂う魔素は、そう多くないけど、このキングゼリーには相性がいいのかもしれない。


 再生していくのと比例するようにキングゼリーの移動速度も上がって行く。

 初めは二〇メートルほどあった距離も、今は十五メートルほどに縮まっている。


 ボシュッ!


 二発目の【火球ファイアボール】が放たれた。

 今度は左1/3が消失した。

 さっき消失した分も、まだ完全に再生されてないので、キングゼリーはだいぶ小さくなった。

 それでもジリッジリッとにじり寄って来るキングゼリー。また核を壊せなかったようだ。


 慌てて二本目のMP回復ポーションを飲むブラッキーさん。


「ブラッキー、慌てないで。もう一発撃てますから」


 コクリと頷き、ホワイティさんのアドバイスに返事をした。

 でも、次を外すと、と思うと、先に少し距離を取った方がいいと思うんだけど。

後ろは壁だ。でも、左右のどちらかに回り込めば、もう少し距離を置けると思う。相手の移動速度は非常に遅くなってるのだから。


 そんな不安を僕が抱いていたが、ブラッキーさんが三発目の自己最大の火魔法を放った。


 ボシュッ!


 距離も近いし三発目の慣れもあったのか、ブラッキーさんの放った火魔法はキングゼリーの身体のど真ん中に風穴を開けた。


「やったー!」

「ブラッキー! やりましたね!」


 喜ぶブラッキーさんに駆け寄るホワイティさん。

 でも、申し訳ないです、ホワイティさん。と心の中で思いながら八角鉄棍『スラ五郎』をホワイティさんの前に出し、前に出ようとするホワイティさんを止めた。


「キズナ? なんですか、これは」

「まだです」

「「え……?」」


 ホワイティさんだけじゃなく、こちらに振り向いていたブラッキーさんも僕の言葉に疑問を感じていた。

 でも、僕が二人を見ずに、ずっとキングゼリーを見てた事でハッとしたように振り返ってキングゼリーを見定めた。


「なっ……そんな……」

「まだ…生きてます……」


 そう、キングゼリーの核は初めから中央の一番下にあった。いくら左右や中央を攻撃しても核には掠りもしてないのだからキングゼリーは死なない。

 スライム系は核を自由に移動させられるが、今回は必要ないと判断したのか、一度も核の位置は動いてない。ブラッキーさんが勝手に核は身体のど真ん中にあると決め付けていただけだ。


 幸い、身体の半分以上を削られた状態だから、非常に移動速度も遅く、今からすぐに回避行動を起こしても何とか間に合うかもしれない。

 だというのに、ブラッキーさんは金縛りにあったように動かない。


 一度も攻撃を受けてないどころか、三度も先制攻撃をできたお蔭か、一度もキングゼリーから攻撃はされていない。

 だというのに、ブラッキーさんは全く動こうとしない。

 ブラッキーさんに何があったのだろうか。


「ブラッキー! まだです! あと少しで倒せます! 急いで!」


 ホワイティさんの声でようやく動いたブラッキーさんはMP回復ポーションを取り出した。

 だが、今回ばかりは、それは悪手だ。

 いくら身体の半分以上も失ったとはいえ、相手はスライム系の上位種だ。核が健在で動けるのであれば攻撃だって出来るのである。

 しかし、二人は半分以下の身体になった事でキングゼリーを倒したと思ってしまって集中力が霧散していたようだ。


 ブシューッ! っと一条の酸が飛んでくる。


 予想外の出来事に、ポーション瓶を口に付けたまま固まるブラッキーさん。ホワイティさんも同様に手で口を押さえて固まってしまった。小さな悲鳴まで上げていた。


 戦闘中にいきなりも何も無いだろうけど、瀕死の相手がそんな強力な攻撃なんて出来ないだろうと高を括ってたのかもしれない。

 たしかに他の魔物ならそうかもしれないけど、スライム系にそんな油断は通用しない。


 【風障壁幕ウィンドカーテン


 咄嗟に風の障壁魔法でキングゼリーの放った酸を防いだ。

 この場合、キングゼリーからは一条しか放たれなかったので、誰かを防御するのではなく、下から上へと吹き上がる風の幕で酸を直接防ぎ、酸がキングゼリーに戻って行くように仕向けた。

 狙い通り、上から自分の放った酸を浴びる事になったキングゼリー。

 これで、またキングゼリーの体積が少し削れた。が、核への影響は皆無だった。


 元々、倒すつもりもダメージを与えるつもりも無かったからね。

 ただ弾くだけじゃこっちも危ないから返してやっただけ。

 僕からするとキングゼリーの攻撃を予知してたから余裕を持って対応できたけど、ブラッキーさんやホワイティさんにはできなかったみたいだね。


 また体積が少なくなったキングゼリー。さすがに再生も追いつかず、未だ半分の大きさにも戻ってない。

 そんな中、キッ! と僕を睨みつけるブラッキーさん。

 なんで? とは思ったけど、僕が手を出したからだろうと予想した。


 でも、言わせてもらえるなら、さっきの酸って、結構ヤバかったと思うんだけど。

 ここは『ありがとう』じゃないの?


「ブラッキー。もう一息ですよ。思うところはあるでしょうけど、先に決着をつけましょう」


 ホワイティさんの声に、再び肯きキングゼリーと対峙するブラッキーさん。

 飲みかけだったポーションを飲み干し、瓶を無造作に投げ捨てた。


「一旦、距離を取りましょう」

「わかったわ。回り込むからホワイティも私の後ろに!」


 サッと走り出すブラッキーさんに続いてホワイティさんも走り出す。

 あれ? 僕は? もしかして、いらない子?

 いくら手を出すなと言われてても、パーティなんだから無視しないでほしいな。結構傷つくんだよ?


「キズナ様~。もうやっつけちゃおうよ~。あれってハッチーでしょ?」

「うん、ハッチーだよね?」


 ハッチーとは、『クロスオーバー』の世界で絶対に仲間にならない、言葉の通じない凶悪な魔物の事を言うんだ。

 僕の憶測では、村八分が語源になってるんじゃないかと思うんだけど、誰も語源については知らなくて、ただハッチーと呼ばれていたんだ。

 村八分って除け者って意味だったと思うけど、攻撃したりはして来ないから違うかもしれないんだけどね。


「うん、ハッチーだね。間違いないよ」


 ブラッキーさんもホワイティさんも少し離れたので妖精の二人に答えた。


「だったら被害が出る前にやっつけないと~」

「でもポットちゃん、ここはダンジョンだからいいんだよ? ね、キズナ様?」

「そうだね。ダンジョンの魔物はダンジョンから出られないからね。稀に溢れる事もあるみたいだけど、ここはそんなに魔物がいないみたいだから大丈夫じゃないかな」

「そうなの? 変なの~」


 そんな話をしてたらブラッキーさんの準備が整ったようだ。

 ここまで削られたら、後は中央下部しか残ってないから外さないよね。っていうか通常魔法で十分だから狙いも定まるよね。


 そう思ってたら、何を思ったのかブラッキーさんは今までの三発と同じ魔法を放った。

 準備段階の溜めから予測できてたから『なんで?』と思いつつも回避行動には移ってた。

 だって、ちょうど対角に当たる場所に移動したブラッキーさんが外したら、僕に直撃しちゃうから大慌てで移動したよ。

 僕の事をお構いなしに放つブラッキーさんもどうかと思うけど、しっかり現状を見てたホワイティさんも止めなかったのもどうかと思うよ。

 やっぱり僕っていらない子だった?


 走った直後だったためか、四発目の魔法はキングゼリーには当たらなかった。全く狙いが定まってない感じだった。

 だから、そんな威力いらないって! しかも避けてなかったら、僕に直撃してたコースだよ? フレンドリーファイアーって後ろからがよくあるみたいだけど、こういうのもあるから気をつけようよね!


 ブラッキーさんは最後まで最大出力の魔法に拘り、結局MP回復ポーションを十五本消化したところでキングゼリーを倒した。


 ホント、初撃で大ダメージを与えられてて良かったよ。

 キングゼリーって意外と素早い奴なんだ。僕なら余裕で勝つけど、ブラッキーさんやホワイティさんよりは早いから、初撃で削って速度が出ないようにできたからこれだけ外しまくっても勝てたんだよ。

 でも、逆にあれだけ遅くなったキングゼリーに対して、いつもの威力の火魔法を使ってたら、もしかしたらMP回復ポーションは使わずに済んだかもしれなかったね。

 なんで、あそこまで拘ったんだろ。

 ここをクリアしたら話してくれるって言ってたから、その内容に関係してるのかな?

 いや待て。一度だけだけど、僕も手を出したね。あれってどうなるんだろ。まさかノーカンなんて言わないよね?


いや、バテバテを引き摺りまくってます。

ホント更新が遅くてすみません。

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