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煉獄で生きる  作者: レゼ・モノクロ
和馬編1
9/29

班分け、作戦開始。

「買い物だ」


ミニバスに全員集まった直後、これから何をするのか遼之介は一言で表した。


「確かに100%オフだけど流石に説明を省きすぎだろおい」


そりゃそうだ、と遼之介は改めて説明を始める。


「さっきの説明通り、このミニバスを使って近くのショッピングセンターまで向かう。主に必要なのは食料や水、それから工具と武器だ」


「お金とか殆ど持ってないのだけど、大丈夫なの?」

美咲がそう言い返す。


「普通に考えてまず営業を続けている訳が無いし、何より物資を移動させる時間も無かったこのパンデミック状態だ。むしろ心配なのは‥‥」

「どんな危険があるか予想がつかない所、ですね?」

山田くんが言葉を続ける。


「あぁ、だから中では必ず二人以上で動いてもらう。携帯は繋がらないから、時間で集合を決めよう」


まずは、と遼之介は続けて作戦を説明する。

「ショッピングセンターの屋外にこのバスを止めたら、全員で中に突入。1階の食品店に行く班と工具武器を探しに行く班に分かれる」


「食料班はカートを2つ使って食料と水をミニバスに運ぶんだ。野菜とかは絶対にいれるなよ、腐り始めてる可能性がある。缶詰やお湯だけで調理出来るのが良いはずだ」

「じゃあたしが食料班やる!」

美咲がすかさず立候補する。


「じゃあ委員長が食料班のリーダーだ。あとは朝倉姉妹も委員長と一緒に行動してくれ」


わかりましたー、と返事が聞こえ、遼之介は続きを説明する。


「工具、武器の班は俺と山田、それから酒井先生とで行う」


「ん?俺と鈴鹿は何をすればいい?」


「まぁ落ち着け。工具武器の班は現地で俺が指示を出すから特に言うことは無い。で、和馬と鈴鹿の2人にはやってもらいたいことがある」


それは、と聞き返す前に遼之介は答えてくれた。


「それは、ショッピングセンターのどこかにいる可能性の高い生存者の捜索だ」


「‥‥いるのか?」


「昨日の夜、お前の双眼鏡でショッピングセンターの屋上から煙が出ているのを観測した。多分火を炊いて起こしたんだと思う」

なるほど、というかいつの間に使ってたんだ。


「わかった。中に入ったら屋上に向かうよ。見つけたらどうすればいい?」

「和馬、お前に任せる」


「えっ」


「お前に任せる。助けるべきかそうでないか、そもそもまともに話が出来るのかすらわからない。こういうパンデミックモノを扱った映画に良くいる危険な奴かもしれない。だから現地で確認する和馬の判断に任せる」


「俺でいいのか?遼之介がやったっていいんじゃ」


「鈴鹿を助けたお前の判断、俺がそこにいたなら助けなかったかもしれない。お前はこういう選択の時に自分を信じられる奴だ。だからこそお前に任せる」


‥‥俺、そこまでの大物じゃないんだけど。

むしろこの話を聞いてドヤ顔してる鈴鹿のほうが大物に見えるね。

でも。


「遼之介が信じてくれるなら、応えない訳にはいかないな」


遼之介は特に返さない。

だが、これで編成は決まりだ。


「よし、全部確認が終わったな。じゃあ酒井先生、いっちょ飛ばしてくれ!」


酒井先生はエンジンを掛ける。

そしてミニバスはゆっくりずつ加速していき、ショッピングセンターへの道を進み始めた。




ショッピングセンターの入口前の道路にそのままミニバスを停め、俺達全員ミニバスから降りる。


「集合場所は入口のドア前、時間は今から一時間後に1回、その後情報交換してもう一度散開、さらに一時間後に集合して脱出だ」


それを聞いて俺はスマホの時計を見る。

16時を過ぎた所だ。

みんなそれぞれの形で時間を確認する。酒井先生は腕時計、俺や他の高校生達は携帯、鈴鹿は俺のスマホを見ようとぴょんぴょん跳ねていた。

俺は画面を見せるために腕を下げる。


「よし、全員確認したな?じゃあ‥‥いくぞ!」


まず1階の入口を抜けた俺達は、早速二手に分かれる。

1階で食料を確保する食料班と、それ以外という形だ。

入ってすぐにチラホラとゾンビ共の姿が見えるが、どれも動きは遅く、広い通路ならまず捕まることはないだろう。


そして俺と鈴鹿は2階への階段を登り始める。

「和馬、コイツを持っていけ!」


1階に残る遼之介から長い棒の様なものを渡される


「のぼり旗のポールだ!適当に調整して武器代わりに使え!」


のぼり旗‥‥良くスーパーなどの駐車場にある広告旗の事だが、そのポール部分を武器に使う発想は無かった。


そして俺と鈴鹿は、2階への階段を慎重に上がり始めた。

ゾンビ達「俺達、いつもスルーされてないか?」

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