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血塗られたノート

作者: 藤木 大成

ある小学校にゆう子という子がいました。

 

 ゆうこはいじめっこでした。いつもクラスのおとなしい子や、体の弱い子をいじめたりしていました。


 先生に注意されても、

 「ふん いじめられる方が悪いのよ」 

 と言って弱いものいじめをやめませんでした。


 ある日ゆう子が学校から帰ってきて、ランドセルを開けてみると、中に見たこともない1冊の古びて色のあせたノートが入っていました。

 「おかしいな 誰のノートだろう」

 表紙を見ると5年2組までは読めるのですが名前の所に赤黒いしみができていて読めません。

 5年2組、、、私のクラスだわ 誰のだろう こんな汚いノート」

 中を読んでみると日付が書いてあり何か日記のようでした。読んでみてゆう子は思わず

 「いやっ」と声を上げてしまいました。

 「何なのよこれは」とそのノートを投げ捨ててしまいました。

  

  2月3日

 今日、私の下駄箱の中にごみがたくさん入っていた。


  2月5日

 今日も誰も私とは口をきいてくれない。


 そう、それはいじめられていた子の日記でした。

「誰がこんなことを」

 ゆう子はさっさとランドセルを閉めると、そのノートをゴミ箱に捨ててしまいました。


 ところが次の日学校から帰ってランドセルの中を見ると、またあのノートが入っていました。

なぜ、捨てたはずのノートが、、、ゆう子は怖くなって、ランドセルを放り投げてしまいました。するとそのひょうしにランドセルの口からノートがすべり出て、パラっとページがめくれました。

  2月10日 

 もう生きていくことがいやになった。


 ゆう子はすばやくノートを拾い上げるとビニール袋にいれ、玄関を出て外のゴミ捨て場に出しました。これで完全にゴミ屋さんが持って行ってくれるわ。そう思うと少し気持ちが楽になりました。

 「もしかしたら昨日はお母さんがゴミ箱から出してランドセルに入れたのかもしれない

 きっとそうよ」

自分にいい気かせるようにそうつぶやきました。


 次の日、学校帰りゆうこは念のためランドセルの中を確認しました。

 「今日は入ってないわ やっぱりゴミ屋さんが持って行ってくれたんだわ」

 ほっとして家に帰りました。そして夕方宿題をやろうとランドセルを開けた時です。ゆう子ははっと息をのみました。あったのです。あのノートが、

 「どうして どうして」

 確かに学校で確認した時はなかったのに 震える手でノートを手に取ると大急ぎで玄関を出ました。

 「遠くに捨てなきゃ もっと 遠くに 遠くに」

 そう口にしながらわけもわからずゆう子は夢中で走り続けました。どこをどう走ったのかおぼえていません。疲れ果ててふと気が付くといつの間にか学校に来ていました。


もうあたりは真っ暗で、学校にも誰もいる様子はありませんでした。何かに引き寄せられるように校門の中に入ったゆうこの前に、一人の髪の長い青白い顔をした女の子が立っていました。顔ははっきり見えませんでしたが、目だけはらんらんと輝いていました。

 その子は蚊の鳴くような声で

 「私のノート 私のノート…返して」

 そう言いながらゆう子の方に近づいてきました。恐ろしさのあまりゆう子は逃げるように走りました。振り返るとその子はどんどん追いかけてきます。ゆうこは校舎の中に入り、階段を上り逃げ続けましたました。2階、3階、、、、とうとう屋上まで逃げたところで追い詰められてしまいました。女の子は一歩、また一歩、ゆうこに近づいてきます。よく見るとひたいからは血が流れていました。

 ゆうこは悲鳴に近い声で

「たすけて たすけて」と叫びました。

「ノート ノート」

そういいながらその子は近づいてきます。バサッと音をたててゆうこの手からノートが落ちました。すると急に強い風がビューと吹いてきました。そのひょうしに落ちたノートがパラパラとめくれました。そしてそのノートの最後のページが開きそこには 真っ赤な文字で

「ゆうこが憎い」

 と書いてありました。


 「ぎゃー」


と言う悲鳴を残してゆうこは屋上から落ちていきました。

 あくる朝、用務員さんによってゆうこの遺体が発見されました。

 そしてゆうこが落ちたと思われる屋上にはゆうこが普段使っている算数のノートが落ちていました。

 


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― 新着の感想 ―
[一言] あらすじで間違いがあります。 ×復習 ○復讐
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