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Put an End to the Infinite Loop  作者: 自鳴琴
8/8

エピローグ

後日談のようなもの

読まなくても内容的には問題ないです

 事故のほとぼりが冷めたころ、俺はある人物を訪ねるために、〈ツウィス界〉のとある小さな村にやって来た。

 本当は訪ねる必要もないのだが、あの事故で彼の『能力』を使ってしまったので、久しぶりに会いたくなったのだ。

 小さい村のなかで、目当ての人物を探すのは簡単だった。

 彼は彼の通う初等学校の校庭で、友人達と一緒にサッカーをしていた。

 俺は彼らの邪魔をしないように、建物の影からそっとその様子を見た。


 探し人の名前はマルルイニ――マルー。『不幸のスペシャリスト』だ。彼の能力は、自分が『不幸』を被ることで周囲に幸せを与えるというものだ。

 俺は、事故が起きた瞬間……いや、成実を助けようとした瞬間、咄嗟にその能力を使い、周囲の『不幸』を自分に集中させた。

 だから、意識不明になる程の大怪我をするという『不幸』が俺に降りかかった。

 彼の能力のせいであんなことになったとも言えるが、彼の能力のおかげで周りに一切被害が出なかったのだろう。さすがに幸せにするようなことはなかっただろう――いや、俺が認知していないだけかもしれない――が、他に損害が出なくて良かったと俺は思っている。


 マルーに会って行こうかと思っていたが、楽しそうに友人と遊んでいる彼の姿を見ていると、彼の日常に自分が干渉してしまうのが申し訳ないように思えて、会わずに帰ることにした。

 踵を返そうとすると、足元にボールが転がって来た。それと同時に声がかかる。

「イクさん!」

 どうやらマルーに見つかってしまったようだ。ボールを拾い上げて、彼に笑いかける。

「こんにちは。マルー」

「今日はどうしたんですか? 僕に何か用ですか?」

 俺からボールを受け取ってお礼をいうと、マルーは俺を見上げてそう訊いてきた。相変わらず前髪が不揃いだが、初めて会ったときに頭に巻かれていた包帯は、もうしていない。

「ちょっと様子を見に来たんだよ。最近どうだ?」

「イクさんのおかげで、前より怪我することが少なくなりました」

 こっちは最近大怪我したばかりだがなと苦笑しそうになるのを、くっと堪える。彼に罪はない。

「それはよかった」

 屈託なく笑うマルーの頭を、俺はちょっと荒っぽく撫でる。マルーは照れくさそうにはにかんだ。

「あ、そうだ。イクさんも一緒に遊びます?」

 俺がマルーの頭から手を離すと、彼がボールを掲げてそう言った。

「いや、もう帰るから。じゃあな」

「そうですか」

 もう一度マルーの頭をぽんぽん撫でて、俺は彼に手を振った。

「さようなら。またいつでも会いに来てくださいね!」

 マルーは少し残念そうにしたが、すぐに笑顔で挨拶をし、友人達の方へ駆けて行った。

「マルー!」

 俺が呼び止めると、マルーは足を止めて振り向き、まだ何か、と不思議そうに俺を見た。

「ありがとう」

 マルーは何のことだろうかと小首を傾げていたが、俺は構わず踵を返した。

 なぜ俺が礼を言ったかを知れば、彼は俺が『不幸』になったことを知ることにもなる。それを知ればマルーが悲しむことは容易に想像できるので、彼に教えるつもりは毛頭なかった。


 帰路につきながら、彼の屈託のない笑顔を脳裏に思い浮かべて、俺はそっと頬を緩ませた。


―――END


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