イケメンって適応すごいよね
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言っておかなければならないことがあった。
このゲームは見た目の変更が
できない
つまり、
ブサイクはブサイク
ブスはブス
ということである。
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(初モンスター遭遇)
やってしまった。そう思った。
だって、可愛い女の子だと思ったやつは野生のゴブリンで、僕は左手を間抜けにあげた状態。挙げ句の果てに「元気?」とか言ってる。
そりゃ元気だろ!ゲームやってんだから!
数瞬前の僕の行動を反省しながら次にやるべきことを考えなければ……
っておい!何猿ども引き返してんだよ!人を顔で判断するとか倫理観までカスだな!
その中でも3人くらいは残って声をかけるか悩んでいるみたいだ。
マジか。すごいな。
とりあえず僕はサインボールを拾った。
上げた手は下ろした。
まるで今まさにキャッチボールしようとしたけど失敗しちゃいましたぁ、的な感じで。
幸いゴブリンは気づかなかったのか、周りやけに人いるなぁみたいな顔してこっちに目もくれずに去っていった。
……セーフ。危ないところだった。
僕は可愛い彼女が欲しいとは思っているが、モンスターのテイマーになろうと思ってきたわけじゃない。
……あっ、あのゴブリン蜜柑の髪飾りしてる……
……支援セットでワンポイントを選ぶなんて可愛いとこあるじゃないか……
そうして去っていったゴブリンとその後ろ姿をみつめるゴブリン愛好家三名を背に僕は他の女の子を探すことにした。
したのはいいが……なんだこの異常事態は……!
僕が見たものは、そう、テニサーよろしくいけてる男共とそこまで見た目のよろしくない女がペチャクチャ喋ってるのを遠目から眺めるTKMの……えっ、あれ何サー?なんて呼べばいいんだろう。中心にいけてる奴ら、その離れた外周にTKM共が、そう、確かに円、つまりサークルを描いていた。
まるで、、、原子みたいだ……
そんなサークルが幻想的な緑の都市の広場にに点々と
存在していた……
落ち込むわぁぁ……まるで現実を見せつけられたみたいだ……
知ってた、俺ブサイク。好きなこと、科学。そしてネクラ。
しってた、知ってたからこそ!ここでは!!!ここでは!と思ったのに!!!!
現実はなんて残酷なんだ……
あっ、ちなみに野球ボールは財布的なやつね。声かけてもらうためのやつね。キャラ作成の時に初心者支援セットみたいなやつでアクセサリー的なアイテム選べたのよ。それよ。
まー、もうどうでもいいけどね。
もー疲れた。
やーっぱこっちの世界でもだめじゃん。
あーあ、つまんない。ゲームやめちゃおうかなっはー。
……せっかく30万もしたから普通に攻略するか……
こんな高いから女子ユーザー少ないんじゃねえのか!ちくしょう!
よしっ!普通にやるぞ!切り替え切り替え!
………ってこの時まで思ってたんだ。
………ここから僕はこのゲームを通じて新しい一歩を進み出すことになる。
ドン!
いたっ!
……なんだなんだ?誰だよぶつかってきたのは?
そう思って顔を上げる。
……ったく、ゲーム初心者が興奮しすぎだって
普通、こういう時は
金ピカの靴が見えた
……初心者脅して金でも奪い取るか??
あるだろ?お約束ってやつ、登校中にぶつかる的な
赤色のスカートが見える
……んっ?これはもしかして
主人公が運命を掴み取る的な素敵な物語的なさ
青色のセーターが見える
……まさか、ついに!!ついに!!
ありふれててちょっと特別な出会いをさ
黒色のロングヘア
…………………………………………ん?
でも"彼"は普通じゃない。
………こいつ、まさか
普通じゃない2人が出会ったのはきっと運命だった
……男……か……?
主人公は
金色ブーツに赤色スカート、青色セーターに黒ロング
その全てを兼ね備えた
ブサイク男と出会った
そう、この物語はブサイク童貞二人組が、彼女が欲しいという己の欲望を満たすために、素敵な世界を作り上げていく、そんな素敵な物語