猫耳犬耳兎耳猿耳サイ耳牛耳馬耳鷹耳麒麟耳川獺耳孔雀耳虎耳魚耳人耳象耳蟷螂耳少女になったドチっ子属性のAIに助けを求められた者です
「お願いします助けてください!!」
僕が猫耳さんの動画で癒されていると、画面の端からAIと思われる少女がビューンと飛んでいき、反対側の仕切りにぶつかり涙目になりながら叫んだ。
「うるさいな~今癒されてるんだから少しは静かにしてよ」
「…………………………その安っぽい猫耳を付けた少女の動画で癒されるのです?」
「…………………………う、うんAIには分からないかと思うけど人間っていうのはこう言う動画を見ると癒されるのだよ」
「…………ところでこのサイト、猫耳癒ってなっているのに何故、犬耳だったりウサギ耳があるのでしょう?……というか馬耳やサイ耳って需要あるのです?」
「需要あるから載ってるじゃないの?」
勿論全く需要は無いと思うが……
「じゃなくて!助けてください!!」
「助けてほしかったら僕の興味を移して見せるのよ……じゃないと消すよ?」
「ひぃっ!わかりましたよ!今の会話で貴方の趣味、性癖のデータは完璧に取れました!はッ!」
AIは一瞬、0と1の文字列に変わる。
「これで今流れている動画より好意を移せるはずです!」
「………………なにそれ?」
AIが付けていたのは世にも奇妙な耳だった。
「猫耳犬耳兎耳猿耳サイ耳牛耳馬耳鷹耳麒麟耳川獺耳孔雀耳虎耳魚耳人耳象耳蟷螂耳少女です!どう?可愛いでしょっ!」
「猫耳マスターとしてはっきり言っていい?」
「はい?」
キラキラした目で見つめるAI少女に僕はバカにした様な口調で言う。
「キモい。それ」
「ひぐっ……親父にもバカにされた事無いのに……」
十五分程泣いた後ポツリとそんなことを呟く。
「そもそもお前に親父なんているの?」
「ぐすっ……開発者を父と呼んで何が悪いのですっ!」
「まぁいいや。で、なんで助けて欲しいのよ?」
残念ながら興味は十分AI少女に移ったからね。
「へ?聞いてくれるのです?」
「聞かなくていいの?」
涙目だったのが次の瞬間、キラキラとした笑顔に変わる。
「………………」
「わ、私を匿って下さいっ!」
「嫌だ」
「なんでっ?」
…………なんでもなにも匿う意味も得も無いじゃん。
「私にも出来ることは沢山あるのですよ!」
AIは自分の横にあったファイルを何処からともなく取り出した包丁で粉々に切り刻み、これも何処からともなく取り出した鍋のなかに放り込んだ。
「ちょっと待て!それ僕の超秘蔵猫耳少女ファイル!!」
「大丈夫なのです!ちゃんとコピーは取っています!」
AIは体の後ろからファイルを取り出そうとして──こけた。
AIの手から滑ったファイルが飛んでいった先は自分のブログのファイル張り付け先。
今のご時世ファイルの圧縮は一瞬で終わる。
「あっ」
立ち上がろうとしたAIがまた転ぶ。
飛んでいったのは未だに手に持っていた包丁。
その包丁が投稿ボタンをポチっと押した。
「…………………………………………………………………………………………超極秘秘蔵猫耳少女画像が全世界に発信された、だと?」
「て、テヘペロ~」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!」
「ちょっ!まっ!今パソコン壊されたら私諸供全部消えてしまいます!ぎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
────そうして次の日から僕は猫耳マスターと呼ばれるようになった。
今までで一番ギャグを意識した作品だと思いますがやっぱり微妙ですね……
新酒呑童子の野望についてはもう少しで終わります……本当です!今クライマックスまで来てるんです!もう少々お待ち下さい!
本当にすみません!