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La promesse brillante  作者: 灰猫と雲
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乃蒼の章「恋バナ」

「ねぇのんちゃん。将来何になりたい?」

日曜日の夕方、そろそろ帰ろうか?と言い出してもおかしくなり黄昏時になっちゃんは私にこう質問した。なっちゃんと会って私は今までの泥の中にいた頃とは少しずつ変わっていた。もがいてもがいて、ようやく体半分を抜け出した、そんなような感じだった。たくさん諦めていたことも、なっちゃんがいれば出来そうな気がしていた。けれど今まで私は自分の将来をきちんと考えたことがなかった。まだわかんないと答えなっちゃんにも同じ質問をしてみた。

「ん〜、なんだろう?お医者さんもいいな。私小さい時病気で入院してたんだけど、手術して治してもらったんだぁ。私もそんなふうに誰かの病気を治すお医者さんになりたい。けどモデルもいいなぁ。綺麗に化粧して綺麗な服を着て人がいっぱいいるところで歩いたらきっとカッコいいよね?けど1番なりたいものは、お嫁さん!誰かを好きになって、その人にプロポーズされて、結婚して、ウェディングドレス着て、のんちゃんに友人代表で手紙読んでもらって、子ども産んで、幸せな家族になるの。それが1番の夢かな?」

きっとなっちゃんならなれると思う。お医者さんにもモデルにも、そしてお嫁さんにも。私は将来を考えたことがないけど、今の話を聞いてお嫁さんにはなりたいなと思った。けどそれを言ったら主体性のない子に思われるのが嫌だし、それに私が男の人を好きになるというのが全然想像出来なかったので口には出さなかった。

「結婚式の時、手紙読んでね?私のんちゃんにブーケ渡すから。知ってる?花嫁からブーケ貰った人が次に結婚できるんだよ?」

私よりも先に自分が行くと決めつけているようだけど、確かに私の方が早く結婚できるとは思わない。それに結婚式で手紙を読むのもなっちゃんからブーケを貰って結婚するのも、私の未来設計としてはとてもキラキラしていた。

「私達の旦那さんになる人はどんな人かな?」

2人で想像してみた。

「優しい人がいいな」

うんうん。それは絶対条件だよね。

「あと頭がいい人がいいな」

だよね。バカはいやだよね。

「家族を大事にしてる人」

優しい人なら家族も大事にしてるよ、きっと

「でもマザコンは嫌!」

わかる!絶対イヤぁ!

「エッチじゃない人」

マザコンと同じくらい嫌だ笑

「あと友達が多い人」

うん、私は少ないからそんな人に憧れるなぁ

「イケメンも外せない」

なっちゃんは美人だから大丈夫だよ

「けどモテない人」

イケメンはモテるよなっちゃん…

「それからね、甘い物が好きな人」

なんで?

「2人で一緒に甘いもの食べたら幸せになれるじゃない?」

私は丘の上の公園を思い出した。確かに甘いものを2人で食べたら絶対に幸せだ。

「ねぇ?もし2人で同じ人好きになったらどうする?」

え?…やだな。

「でも恋はいつでもハリケーンだってどっかの国の王女様が言ってたよ」

どういう意味?

「いつどんなきっかけで恋をするかわからない、って意味だと思う」

交通事故みたいな?

「そうだね。だからのんちゃんも私も同じ人を好きになるかもしれない」

…嫌だ。それなら私は諦める。

「一緒だね」

え?

「私も相手がのんちゃんなら諦める」

だったらその人は笑

「うん、その人なんだか可哀想だね笑。こんな可愛い2人から好かれてるのに、2人から諦められちゃうなんて」

私達はまだ見えない遠い遠い未来を想像して一緒のことで笑いあった。勘違いされたら困るから言えないけれど、もしも私が男だったら絶対になっちゃんを好きになる。是が非でも、なっちゃんを振り向かせたい。なっちゃんに好きになって貰って、甘いものを食べながら生きている幸せをこれでもか!ってほどに噛み締めてみたい。

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