1話 始まり
「創真、少しいいか?」
そう呼ばれ、振り返ると親父がいた。
「ああ、大丈夫だ」
親父はこの黒崎組の組長で、頭がキレるし、腕っ節は強い、器もデカいときた、俺にとっちゃ最高の親父だ。
「頼まれて欲しいことがある」
「なんだ?改まって?」
「永瀬組を襲撃してもらいたい」
なるほど...カチコミってわけか
「なんだそんな事か、構わないぜ」
鉄砲玉である俺はそんな事くらいしか出来ないしな。
「で?他は誰が行くんだ?」
「・・・」
「親父?」
親父は申し訳なさそうに言った
「行くのは創真、お前1人だ」
「・・・そいつはまた...」
無茶を言ってくれるもんだ。
親父は凄く悲しそうな顔をしていた。
「すまない...」
恐らく、俺は捨て駒みたいなもんなんだろう。
この襲撃で相当な深手、最悪死ぬかもしれない。
だが、こんな小さなヤクザ組織が生き残っていくためには、多少の犠牲を払ってでもシマを広げて力を付けてなきゃならない。
大事な家族と家を守るためだ、そのためなら喜んでやらせてもらおう。
俺は自信満々に言った。
「おいおい、親父がそんな顔してどうすんだよ、いつもみたいにドシッと座って待っててくれ」
決め顔もつけて、
「パパッと終わらせて帰ってくるさ」
確かにそう、言ったのだった。




