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09 美咲先生の道徳心

 気がつけば何日前からか、あの子が不登校になっていた。当たり前かあんなにもイジメをされていて、来る方が逆に頭がおかしいと思う、真衣たちが、

「最近臭くなくなったね。」

「そうだね。」

と言う、いかにも心にトゲが刺さる口調で話していた。瞬間スグに笑っていた。

でも私はどこか退屈だった。ネット上にしても、何にしても、あの子の陰口を打てなくなると考えると、そう思えた。

私は、そんなにも、悪意のある人間なのでしょうか?

だってあの子が悪いんだよ、小学校5年生からずっとバスケの部活を一生懸命頑張っていたんだけど、中2の時、練習中にあの子がパスしたボールの威力があまりにも速くて、取れず手で弾いてしまって勢いのおさまらないボールのは、私の顔面めがけて飛んできて、その時つけていた、メガネに当たってしまってレンズが割れて目の中に入ってきてしまったのだ。

その時、とっさに、その子は、謝ってきて、私は「大丈夫」だと言って、その子をいたわったけど、その子は、私の事じゃなくて、メガネを弁償するという事だけのことを考えていて、「このメガネいくらで買ってきたの?」とか「どこのお店で買ったの?」とかばかり言ってきて。私の体の心配は全くというほど、しなかった。そして、その出来事を丸々とお金で解決しようとしてきたのだ。

それって人間的にどうかと思う。

そのうえ、目に違和感を感じて家に帰り自分の顔を鏡で見てみると、黒目のスグ横に赤く血が固まったようになったモノができていた。それ以来その赤い跡は、今でも消えてはいない。

女の子には、屈辱的だよ、こんなの・・・・。


 担当の美咲先生がどこか険しい表情をして現れた。

まだ若いのに、おでこにチョット棒状のシワを寄せて教室に入ってきた。

「チョット皆に伝えないといけない事があるの・・・。」

先生は、少し言いにくそうに言葉を詰まらせていた。

「実は、鈴木静子さんに急用ができて、他の学校へ転校する事になったの。」

「どうしてだよ、先生。」

「なんで急に・・・・。」

クラス中の皆が急にざわめき始めた、そして、その子をイジメられている事を分かってる一部の生徒達は、多分、その事だろうと勘付いていたのか。極度にバレないように顔を作っていた。

それが又おかしな顔で何だか笑えてきた。すると更に先生は、重苦しい胸を痛めたような表情をしていた・・・・本当は、分かっているクセに。

私は見ていたんだよ、先生があの子がイジメられている姿を見ていた事を・・・・

あの時先生は、真衣を探していた。

文化祭で出店するコスプレカフェというクラスの全員が一人一人違う衣装を着てオムライスやらホットドックやらドリンク類など販売するという。ごくありふれた、誰でも考えつくような、モノをやろうとしていた。

その時のコスプレの衣装を何が良いか考える為に先生が一人一人に意見を聞こうと聞き周っていたのだ。そして、ある生徒に真衣がどこにいるのか聞いて、そこへ向かって行くのを見た私はヤバいと思い、先生の後ろにバレないようについていったのだ。すると

どうだろう、明らかに見ていた。あの子がイジメられている姿を。

先生は、一瞬、笑顔になって真衣を呼ぼうとしたけど、その状況に気づいたのか言葉をかみ殺すように息ごもった。そして、後ずさりして、まるで、何もなかったかのように、その場を去ったのだ。

教師のかざかみにも置けない、卑劣で腐れきった、教壇。そこに立っている人間が本当に、全く信用できなくなりそうだ。でも、

この担任の場合は、仕方がないと思う、そう言っては、お終いだと思うけど、美咲先生は、真衣とスゴク中がよくて、中学校入学して、他の区からきた真衣には、誰一人、友達がいなかった。

だから、スゴク緊張して、立ち往生していた。それをみた先生は真衣の近くに優しく声をかけてきたのだ。

それ以来、真衣は休み時間や昼休み時間になると決まって職員室に来ては、先生とお喋りや自分の相談などを打ち明けたりしていたと言う。

その後に私は、真衣と友達なったんだけど「あの時、先生が声をかけてきたから、私は救われたんだ。」と言う真衣の先生への感謝の言葉が今でも印象に残っている。だから、私も、たまに真衣と職員室に行っては美咲先生と話しをした事、あったけ。

だから言うけど先生は、真衣との関係が崩れるのが正直怖いんだと思う。だから、あの時、あの子がイジメられている姿を見ないフリをしたのだろう。でも、

だからと言ってイジメを黙止していいのだろうか?

その先生の道徳心を私は疑ってはいられないのだ。そう考えていると、うちのクラスの佐々木が、結構な真顔で1人疑問を問いかけてた

「何で・・・鈴木は、今いないんだよ。ずっと学校にきてないだろう。」

「・・・・そうね・・・最近・・・何だか体調が・・悪いらしいの・・」

先生は明らかに動揺していて、一旦、言葉が詰まったがひねり出す様に言葉を探り出していた。

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