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08 精神異常なその顔

 駅の横には商店街があり、飲食店や洋服や、レンタルビデオ店に雑貨屋、文房具店から牛丼屋まである、そして、その中で様々な人々が行き交わる。

若い人から年老いた人、サラリーマンから主婦まで、学校の帰りの学生たちなど、その中にルナの義理の兄とルナの弟の姿があった。2人は、商店街の中央の角にある、ゲームセンターの中にいた。

「お兄ちゃん、うま~~い!!もう200コンボいっちゃたよ!!」

とルナの弟は、体を大きく揺らせながら言った。冷静に5つのボタンをそれぞれ、機械の指示通りに押すルナの義理の兄。

「え”~。」と思わず息が漏れた。

「もう少しでパーフェクトだったのにね。」

「・・・・・・・。」

「お兄ちゃん次あれやろう!!」

2人は、ダンスゲッチュという体を動かすゲームをやっていた。


「あれって確かルナの弟じゃない?ねぇ。」

「あっホントだ!?晴都くんだ。」

「・・・・でも隣にいるあの男って?確かどこかで見たことあるような?」

「ああ!!あの時ずっとこっちを見てきた気持ち悪い男だ!!」

「今も気持ち悪いけどね。」

「でも何で晴都くんと一緒にいるんだろう?」

「・・・・・もしかして、誘拐!?」

「大変じゃない!!警察に通報しなきゃ!!」

「待って!!警察よりまずルナに連絡した方がよくない!?」

「そうね。」

みずきと志保は、急いでケイタイを取り出しルナの義理の兄とルナの弟が一緒にいる写真を撮りメールを送信した。


 ・・・・・あっ!?みずきからメールがきた。なんだろう?

また今度の土曜日あいてる~~とかいうメールかな?つらいな。先週もそうだったしな~~かと言って断るのも友達付き合い悪いって思われたくないし、私は、あまり見たくもないみずきからのメールを見た。

「何これ!?」

思わず声が出た。あの男と晴都がデカデカと写メに写っていた。

すると急にケイタイが鳴り始めた。・・・・・みずきからだ。

どうしよう、でも今ここで電話を取らないと怪しまれるしな。

「ハイ、もしもし。」

「ルナ!!ルナ!!写メ見た!?大変よ晴都くんが、あの男と一緒にいるの!!」

「あの男?」

「ほら!!あの男よ!!私達のことずっと見てた、あの気持ち悪い男よ。」

もし、ここであの男が私の義理の兄だとバレたら、みずき達に白い目で見られるのは、目に見えてる。だから私はここで大げさに驚くしかなかった。

「え~~~本当!?それはヤバい、どうしよう!?」と言ったら、みずきが、

「警察呼んだ方がいいんじゃない。」と言ってきた

「えっ!?」

警察!?それは、さすがにヤバいんじゃないかと私は思ったけど、今は、それ所じゃない。

みずき達にあの男の正体をバレないようにって必死に叫び声とかあげて見たりした。

「キャーーーキャー――!!どうしよう!?晴都が晴都が!!私の弟、晴都が!!」

と結局はみずき達が警察呼んで、あの男は、連行されていったらしい。

翌日、学校へ行ってみると、ものスゴイ騒ぎになっていた。クラスのほとんどの生徒が私の周りに群がってきて息もできるスペースもない位、みんなが私の周りの酸素を吸っているのか。何だか急に息が苦しくなってきた。

「ルナ晴都くん大丈夫だった!?」

「月島、弟、変な男に拉致られたんだろう!!大丈夫か!?」

何だろう、この状況?

クラスのみんなに慰められている、そして、こんな時に限って学年一のイケテル男子も、初めて私の下の名前で呼んでくれた。

「ルナ、本当に大丈夫か!!」

嬉しいんだけど、何だか複雑な気分だ。

「大丈夫だよ、みずきと志保が警察の人を呼んでくれたから。」

「それで!!それでどうなったの!?」

それで、どうなったのって言われてもなぁ。

弟の話しによると警察に何度も、自分の兄だと言っていたらしい、だけど、その男のあまりにも表情の異常さに変質者だと思われ、弟の話しに聞く耳を持たなかったのだと言う。

あとで、母が急いで警察署に駆けつけてきて、

「私の息子をなぜ理由も聞かずに犯罪者扱いするの!?」

と大声で怒っていたらしい。でも、私は、警察の行動はごく正しいものだと思う。

だってあんなに、表情が壊れきっている人間を見ると何かしらの精神異常な行動をとると思われるだろう。当たり前に警察の仕事は、未然に犯罪行為を防ぐ事が仕事でしょう。


 その時私は、弟にしつこく、あの男とはもう一緒に外に出歩かないで、と話したんだけど弟は、本当に何年ぶりかと思うぐらい、久しぶりに私に反抗してきた。

「お兄ちゃんは、何も悪い事してないのに、何で一緒に外に行っちゃいけないの!?」

「だって、また今日見たいな事になったら大変でしょう。」

「だって・・だって・・」

弟は、今のこの、ふき溢れる感情をあらわにして、目頭からは、少しの涙がにじみ下をうつむいたまま小さな声で、ひくひくと声をあげていた。

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